生姜糖
生姜湯ならぬ生姜糖です。
生姜のすりおろしと麦芽糖を鍋にかけて火を入れ、ざっと濾して、再度麦芽糖の瓶に詰めました。
作りたては、生姜がとっても辛く、新鮮な生姜が香りを放っているという感じです。
お正月を前にして、風邪をひかぬよう生姜で体を温め、麦芽でお餅の消化をよくしようという目論見です。
生姜はお腹の調子も整え、魚や蟹の中毒もなくしてくれます。
一石二鳥の食物ですね。
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生姜湯ならぬ生姜糖です。
生姜のすりおろしと麦芽糖を鍋にかけて火を入れ、ざっと濾して、再度麦芽糖の瓶に詰めました。
作りたては、生姜がとっても辛く、新鮮な生姜が香りを放っているという感じです。
お正月を前にして、風邪をひかぬよう生姜で体を温め、麦芽でお餅の消化をよくしようという目論見です。
生姜はお腹の調子も整え、魚や蟹の中毒もなくしてくれます。
一石二鳥の食物ですね。
チャングムが醤油や塩、塩辛などを味見している場面で、
ハン尚宮の声「この他にも豆に栗、豚肉、ナマコ、ワカメ、それに西瓜にも塩味が含まれているのよ。だから味付けする時は気をつけなさい。料理が冷たいほど塩味を強く感じるの。」
このセリフを聞いたときは、五行の水に属する鹹(塩辛い)の性質がある食品なのかと思いました。
「鹹」は海産物に多く含まれています。
当然といえば当然、海の水が塩辛いのだから、そこに住んでいる生物も鹹の性質を持つものが多いということです。
しかし、豆、栗、西瓜のところで、詰まってしまいました。
調べる基準のものは、中国の薬大で使われている教材ですが、鹹とは記載されていません。
栗の出典は、千金方食治編で、甘、温ですが、Webで食物本草では鹹、温だという記事を発見しました。鹹という考え方もあるのかと。
豆に関しては、大部分は甘でした。出典は、それぞれ異なり、日華子本草本草図経、救荒本草、名医別録、開宝本草、本草綱目などです。
材料 | 性味 | 四気 | 帰経 |
大豆 | 甘 | 平 | 脾、大腸 |
小豆 | 甘、酸 | 平 | 心、小腸 |
黒豆 | 甘 | 平 | 脾、胃 |
緑豆 | 甘 | 涼 | 心、胃 |
栗 | 甘 | 温 | 脾、胃、腎 |
西瓜 | 甘 | 寒 | 心、胃、膀胱 |
豚肉 | 甘、鹹 | 平 | 脾、胃、腎 |
なまこ | 鹹 | 温 | 心、腎 |
ワカメ | 鹹 | 寒 | 化痰軟堅 |
チャングムの中で、最高尚宮がチェ内人にチェ一族の話をするところがあります。
五代前のチェ・マリ尚宮が、状勢を察知し新勢力に加担するために、床ずれに苦しむ文宗大王に豚肉をずっとお出しし、そして最高尚宮になった、というのです。
これに対し、チェ内人は「床ずれにはお肉は御法度のはずです。」と言います。
床ずれに豚肉?
一瞬、何のこっちゃという感じですが、これを考えてみます。
www.mcn2k.co.jp/mcn/situmon/situmon2.html参照
床ずれとは、圧迫などで血行が悪くなり、皮膚に栄養、代謝障害が起こり、この状態が長時間あるいは繰り返されることで、身体の接触面にただれが起こる、もしくは皮膚や内部組織が腐った状態になることです。
原因としては以下の要因が挙げられます。
1.圧迫(体にかかる圧力分散不良による血行障害)
2.湿潤(発汗や失禁)
3.摩擦・ずれ
4.栄養不足や加齢、むくみ等による内的要因
外的に湿邪がある湿気の多い季節にも床ずれは発生しやすいし、内的に湿や水の多い人はむくみやすく、痰湿によって起る病といえそうです。
そこで、豚肉ですが、性味は甘、鹹で、滋陰、潤燥、益気とあります。
使用注意には、『温熱痰滞内蘊者慎服』。
体内に痰湿が留まっている人は、あまり食べないようにとのことです。
豚肉には、気を増す作用もあるので、一般人には、元気をつける食べものとしか映らないところが、ミソかもしれません。
体に悪いものを食べさせられているという意識がないからです。
豚肉はこのように説明できるとしても、肉全般が床ずれには御法度の意味が、よくわかりません。
肉は消化吸収するのに時間がかかるので、良くないということでしょうか。
玫塊花(ハマナス)からできている中国製のお酒が、この写真の玫塊露酒です。
焼き豚を作るのに必要で買ったものですが、玫塊花の香りがして、嗅ぐといい気分になります。
さすが、リラックス効果のあるマイカイですね。
香りが良いので、焼き物にはよくこのお酒が使われるということですが、白酒(パイチュー)にハマナスの花の香りを移しているようです。
製法は定かではありません。
私の想像ですが、果実酒の作り方と同じで、乾燥したマイカイカをお酒に漬けるのではないでしょうか。
白酒は蒸留酒なので、度数はかなり高いです。
ハマナスは原種のバラで、学名は、Rosa rugosa Thunb. var. pleva REG.、葉の色は明るい緑色で茎には細かい棘がびっしりついています。
花は赤に近いピンクで、性味は甘、微苦、温、その芳香で気の滞りをなくし、ストレスにやられやすい肝気の通りを良くしてくれます。
買ってきた烏龍茶が今いちなんてときはありませんか。
そんなときは、桂花(キンモクセイの花)を足して桂花烏龍茶にすると、馥郁とした香りが際立ったお茶になります。
もちろん、桂花烏龍茶そのものも市販されていますが、烏龍茶と桂花をそれぞれブレンドすると自分好みのおいしいお茶ができあがりますよ。
桂花は辛温で、化痰、散瘀、温中散寒、暖胃止痛。
からんだ痰をとり、お腹を温めてくれます。
烏龍茶には脂肪を分解する効果があるので、桂花と合わせると、さらに血液を滞りなく流れるようにしてくれます。
ミン内人「今夜のお夜食はあの貴重なタラクチュク(牛乳粥)ではありませんか」
退膳間(トェソンカン)に忍び入ったチャングムとヨンセンは、大事な王様の夜食をひっくり返してしまいました。
急遽、ハン尚宮はミン内人に命じて、残っている食材を調達させますが、蓮根と生姜しかありませんでした。
そこで、ハン尚宮が作った夜食は、ヨングンウンイ(蓮根の澱粉で作った重湯)とカンナン(生姜をみじん切りにし、砂糖と蜂蜜で煮て、生姜澱粉でまとめ、松の実の粉をふりかけたもの)でした。
それに対して、提調尚宮(チェジョサングン)から、「王様の気力が衰えているご様子なので、内医院(ネイウォン)からタラッチュクを作るように言われたんだろう?」と非難されてしまいます。
カンナンは生の生姜から沈殿させて作った澱粉が必要な料理。
すでに作ってあった牛乳粥の代わりに、急に急いで作れるものかどうかは怪しいところですが、そのカンナンに対し、中宗は、
「内医院に喉の痛みに良いからと生姜の飴煮を勧められているのだが、嫌で口にしなかったら、こんなものまで作ってきたか。」と言いつつ、嫌いな生姜の匂いもそれほどしないので、おいしいといって召し上がります。
生姜は辛味を持ち、温性で、脾、胃、肺に良い食物で、寒さによる感冒、嘔吐、解毒、痰をとり咳を止める作用があります。
風邪のひき始めには、特に効果的な食品なので、ネギといっしょに料理したり、黒砂糖を入れて生姜湯にしたりするのがおすすめです。
ただし、陰虚内熱 (喉が渇きやすく、掌などがほてりやすい) の人は、さらに体の中の津液(生理的な水分)が不足してしまうので、なるべく摂らないようにしたほうがいいですね。
牛乳は、当時非常に貴重なものだったようですが、肺によく、潤いをもたらし、体力回復を促します。
が、脾胃虚寒者(疲れやすく食欲不振、お腹がしくしく痛み温めると軽減する)や、痰湿のある人には慎むようにと本には書かれています。
蓮根は甘、寒で、消化器系に働きかけ食欲を増し、下痢を止めるといわれています。
お夜食としては、貴重な牛乳に対して、粗末ともいえる蓮根と生姜の食材ですが、食物の人間への働きかけを考えると、蓮根プラス生姜のほうがより効果的なような。
幼いチャングムにハン尚宮は、百日間山菜を取ってくる訓練をさせます。
その中でハン尚宮は次のように言っています。
「芹の独特な香りは食欲を促すうえ、胃を丈夫にするの。また毒消しの働きもあるから、ふぐ料理に芹を入れるのはそのためよ。これは三つ葉ね、これは香りが独特で塩を少なめにしてもおいしく食べられるの。だから消渇(ソガル、糖尿病)患者にはとてもいいのよ。これはクサノオウ(白屈菜)よ。絶対食べてはいけないものです。」
芹の性味は、甘、辛、凉で清熱利尿、止血、止帯の作用があり、三つ葉は甘、微凉で散瘀(滞ったものを散らす)の作用があります。
三つ葉が糖尿病患者にいいというのはここで知りましたが、確かに消渇という名前がついているように喉の渇きを訴える症状がある病ですし、塩が少なくても食べられる食物は適していると思います。
ちなみに、糖尿病患者に良い食品は、
とうもろこし、えんどう豆、緑豆、アロエベラ、セリ、山芋、椎茸、舞茸、西瓜、フナ、なまこ、天花粉(シナカラスウリの根)、 枸杞の実および根、地黄(ジオウの根)、天門冬(クサスギカズラの根)、五味子(チョウセンゴミシの実)、烏梅(未成熟の梅の実を燻蒸したもの)、葛根、知母(ハナスゲの根)、高麗人参、莵絲子(ネナシカズラなどの根)、黄精(ナルコユリなどの根)、黄耆(チャングムの中にも出てきたキバナオウギ)、
といわれています。
幼いチャングムとヨンセンが退膳間に潜り込み、チャングムの母の料理日誌を探し回ったとき、ハン尚宮とミン内人に見つかり、ヨンセンは腕に怪我をしてしまいます。
蔵に閉じ込められてしまったチャングムが、ヨンセンに手当したのが、トモエグサとキンミズヒキでした。
ハン尚宮の「お前が見つけて貼ったの?」という問いに、チャングムは「はい、血がとまらなかったので...。」と答えます。
トモエグサはオトギリソウ科の植物で、黄色のビヨウヤナギに似た花が咲き、花弁の先が少しねじれています。
手持ちの本の中には載っていませんでしたが、止血や頭痛に使うようです。
キンミズヒキは仙鶴草、竜牙草、脱力草ともいわれ、バラ科の植物、収斂止血、補虚強壮の作用があります。
蔵の中に松ヤニはなかったんでしょうか。あ、蔵はきっと食品倉庫ですね。
大地を守る会のカタログの一面に、大納言小豆の紹介がありました。
それによると、ぜんざい100gとすると、中国産ではなく国産の小豆を食べるとCO2が0.2poco削減できるそうです。
1pocoはCO2にして100gなので、20gの二酸化炭素が削減できるということになります。
個人的には、スーパーの買い物袋を拒否する運動なんかより、食品トレーを廃止してくれたほうがゴミの量が減ると思うし、食物が運送される距離が短い方がCO2発生量が少ないということに共感を覚えます。
国産の食物を応援して自給率を増やさないと、健全な食生活ができなくなることを危惧しているからです。
しかし、以前にもいったように薬膳を勉強していたら中国産の食品や中薬を購入する機会が非常に多い。
このギャップに自己矛盾を感じるのです。
昨年、BSで放送されていた『チャングムの誓い』が、秋から地上波で始まりました。
家はBSが見れないのですが、ありがたい親切な友だちがDVDに録画してくれて、それを楽しみに見ていました。
ですから、ストーリーは全部知っているのですが、チャングムだけは何回見てもおもしろい。
夫曰く、「君が2回もドラマを見るなんて、めずらしいね」。
そうなんです。
チャングムは、初めて見た第1回目のときから、このなかに登場する中医学関係のことばにぐっと引き寄せられました。
自分が中医学を勉強しているせいですが、非常にためになるドラマといえます。
中医学を勉強していたり、それを職業になさっている方は、皆興味深くチャングムを見ていることでしょう。
でも、1回目で見ているときは筋を追っているので、細部まできちんと聞くことはできません。
画面を見るのに忙しくて。
2回目は、もうすでにストーリーは知っているので、ゆっくり些末な部分まで聞いています。
夫の友人は、ゴルゴ13を1回目は筋を追い、2回目は細部までゆっくり見るのだそうですが、緻密に作り上げられたドラマや漫画は、何回見ても楽しいですね。
それで、いつかチャングムの中の中医学を調べてみようと思っていて、1年たちました。
自分も少しだけ中医学がわかるようになったので、少しずつ調べてエントリーするつもりです。
薬膳料理は、中医学理論をもとに作られるもので、中医学と切っても切り離せないものなので、チャングムでは料理編と医女編に分かれていますが、どちらも基になる考えは同じです。
料理を作るのも、医術を施すのも、職業としては異なるものと思われるかもしれませんが、中医学的には違和感のないものです。
さて、第1回目に登場する廃妃ユン氏やチャングムの母ミョンイを毒殺するのに使われているのが、附子湯(プジャタン)です。
そして、大妃に毒を盛る仕事をいいつかったチェ内人(後のチェ尚宮)が、仕込んでいたのは生の草烏(そうう、チョオ)と川芎(せんきゅう、チョングン)。
附子も草烏も、両方ともトリカブトの根ですが、附子は子根、草烏は母根です。
草烏は烏頭と呼ばれ、川烏と草烏とあり、川烏は四川省産、草烏は野生のものとあります。
毒性の強さは、附子、川烏、草烏の順に強くなりますが、方剤や中薬として使われているものは炮製(方法はいろいろあります。炒ったり、蒸したり、焼いたり、醗酵させるなど)されており、毒薬としてではなく薬として使える状態になっています。
一方、附子湯を解毒するのに使われている甘豆湯(カムドゥタン)と緑豆ですが、ハン内人(後のハン尚宮)がミョンイを助けるために使ったのがどちらなのかはわかりません。
「ミョンイ、あなたが附子湯は甘豆湯と緑豆で解毒できると言っていたのを思い出したのよ」ということばからでは、どちらを使ったのかはわからないからです。
甘豆湯は甘草と黒豆を煎じたもの。
黒豆も緑豆と同じで解毒効果があります。
甘草は薬性を緩和する働きがあり、方剤にはたびたび登場するもので、帰経は十二経に作用するといわれています。
経絡は、奇経を除けば正経で十二(肺経、大腸経、胃経、脾経、心経、小腸経、膀胱経、腎経、心包経、三焦経、胆経、肝経)あります。
附子の帰経も十二経です。
帰経とは、その薬なり食品なりが、選択的にその経絡に効くということですが、数ある中薬の中でも帰経十二経はそうありません。
そう考えると、甘豆湯の方が解毒薬としては効きそうな気がしますが、急いでいたハン内人が煎じることができたのは緑豆なのではないかと思われます。
緑豆は、川で倒れていたミョンイを助けた後のチャングムの父が、解毒薬としてやはり煎じて与えたもの。
緑豆は、巴豆、附子あるいはその他の熱毒の薬物中毒を解毒するのに効果がある、とあります。
緑豆もやしや緑豆春雨に使われる緑色の小さな豆で、性は寒、体を冷やす効果があるので、夏の暑気あたりに冷たく冷やして緑豆汁粉にしたり、その清解毒作用により熱を持つ腫れ物などに使います。
中華食品店や中華街などに行くと購入できますが、冬は体が冷えるのであまりお薦めできません。
冬でも体がほてってしようがないという方には、良いですよ。
先日の『上沼恵美子のおしゃべりクッキング』のことこです。
いとうかずえさんが、
「銀杏の殻って、封筒に入れて、端をちょっと切り、電子レンジで1分ぐらいかけると弾けるんですよね」といい、
畑先生は「えっ、ほんとですか?」
で、番組は何事もなかったように進んでいきました。
が、しっかり私は聞いてしまいました。
早速試してみましたが、家の電子レンジでは1分では、ウンともスンともいわず。
さらに、もう1分。
その結果が上の写真です。
パンクしたのもあり、全然無傷のものもあり。
母が試したときは、上手くいったそうな。
さすが、うちの母です。しっかり、テレビを見てます。
それにしても、みんな、銀杏の殻割りには、苦労しているのね。
ご飯部分は、ごく普通の卵チャーハンですが、上にかかっている具がとってもリッチ。
海老、干し貝柱、焼き豚、鶏肉、干し椎茸、青ネギ。
本当は、これに鮑を入れるように(なければ入れなくても可)とあり、焼き豚は焼き鴨の代わりで、青ネギはアスパラの代替品なのです。
この通信教育は、毎回提出したいのはやまやまなのだけれど、材料を揃えるのが大変で、見送ることが多いです。
しかし、出来は、
あんのとろみが緩すぎたのを除けば、
バッチリ、ご飯部分はパラッと、あん部分は味の出る食材パレードなので、と〜ってもおいしかったー。
あ、こんなこと書いていると昼食後だというのに、また食べたくなってきた。
このチャーハンを分析すると、気を増し、体を温めて、体内を潤してくれるチャーハンですね。
このチャーハンのことを思い出すと、元気が出てきちゃうという、すっごいチャーハンです。
材料 | 性味 | 四気 | 帰経 | 効能 |
---|---|---|---|---|
海老 | 甘 | 温 | 肝、腎 | 補腎壮陽、通乳、托毒、祛風痰 |
干し貝柱 | 甘、鹹 | 平 | 腎、胃 | 滋陰補腎、和胃調中 |
焼き豚 | 甘、鹹 | 米 | 脾、胃、腎 | 滋陰、潤燥、益気 |
鶏肉 | 甘 | 温 | 脾、胃 | 温中、益気、補精、添髄、降逆 |
干し椎茸 | 甘 | 平 | 胃 | 益胃気、托痘疹、止血、補気益腎 |
これは、つぼみ菜入りの坦々麺です。
赤い唐辛子色をしていないのは、私が辛〜いのが苦手なため。
これでも、結構食べると辛いのです。
ところで、坦々麺が薬膳料理なのかと、疑問に思うかもしれません。
生薬を入れた料理ではなくても、食べ物には何らかの人間に働きかける効果があるのです。
古来から、『薬食同源』ということばがあるように。
ちなみに、『医食同源』ということばは、新宿医院院長の新居裕久さんが作ったことばといわれています。
この方が、日本人には馴染みやすいと考えて作られたのだとか。
中医学を勉強し始めると、薬と食品が同じ源のほうがわかりやすいのですが。
薬なのか食品なのかは、厳密に区別できるものではなく、日本でもなぜこれが薬品に分類されているのか、なぜこれが食品として分類されているのか、疑問に思うものも少なくありません。
しかし、基本的には、人間に対して効き目が大きいものが薬品として、効き目が穏やかなものが食品とされています。
したがって、効き目が穏やかな食品で作る薬膳は、長く毎日食しながら、その人の体調を調えていくことができるのです。
逆にいうと、早く働きかける必要があるときは、生薬も加えます。
まあ、生薬入りの薬膳料理を食べても、少量だったり、1回食べただけだと、その効果を感じることは少ないのですが。
コースで何皿も食べると、たいがいの人が温かくなりポカポカしてくるとか、清熱の料理だと、後でだんだん涼しくなってくるとかを経験することができます。
そこで、やっと坦々麺の話。
坦々麺は、胡麻、唐辛子(または辣油)、豚肉、ネギ、菜っ葉、漬物(雪菜、野沢菜、搾菜など)が主材料です。
そこに、醤油、酢、スープが加わります。
胡麻は栄養豊富で不労長寿の健康食品、唐辛子は消化を助け血液の循環を促し、豚肉は気を増し潤いをもたらし、ネギは体を温め発汗作用があります。
もし、とても辛い坦々麺を毎日食べたら、体の中には熱が蓄積されていき、陰虚の人にはますます体の中の水分が不足していくでしょう。
人間の持っている元々の体質も考え、日々の体調に合わせて、それに適した料理を食べることが大事なのです。
レシピは「漢方実用大事典」学研
当帰15g、芍薬8g、牡丹皮7g、茯苓8g、龍眼肉15g、香附子7g、紅花10g、山梔子5g、薄荷5g、柴胡5g、菊花5g、大棗10g、ホワイトリカー1リットル、氷砂糖適宜
生理不順、血色不良、貧血、美容、保健強壮に良い、と本には記載されていました。
このお酒を作るのには、お金がかかります。
12種類もの生薬を必要とし、このお酒を仕込むとき、家にはなかった芍薬、牡丹皮、香附子、山梔子、薄荷、柴胡を買わなければなりませんでした。
私は冷え性なので、これらの凉性の生薬はあまり必要としないからです。
薬種は、単方のほうがストレートに入れた薬の味が伝わるし、一般的に飲みやすいと思います。
複方は、何種類もの薬を入れた分、味は複雑で、どちらかといえば薬臭く飲みにくいものです。
この楊貴美酒もそのくちで、お酒の縁の色が黄色いのは、紅花から黄色が出ているのです。
何とも形容しがたい味で、後口は薄荷が入っているので喉がスースーします。
しかし、何年も前に初めて味見をしたときからすれば、生薬慣れしたというか、違和感がなくなってきました。
実は、以前にも楊貴美酒を作ったことがあるのです。そのときは、全部の生薬を手に入れなければならなかったので、(それも少量ずつ)、さらに大変でした。
血を増し、血色をよくして肌を美しく、効果は顕著
なんていうキャッチフレーズを書かれると、ついその気になってしまいますね。
しかし、薄荷のスースーが味的にはどうも気になり、つい、楊貴妃は喉を傷めやすかったのかしら、なんて想像してしまいます。
中薬 | 性味 | 四気 | 帰経 | 効能 |
---|---|---|---|---|
当帰 | 甘、辛 | 温 | 心、肝、脾 | 補血、活血、止痛、潤腸 |
芍薬 | 苦、酸 | 微寒 | 肝、脾 | 養血斂陰、柔肝止痛、平抑肝陽 |
牡丹皮 | 苦、辛 | 微寒 | 心、肝、腎 | 清熱涼血、活血散瘀 |
茯苓 | 甘、淡 | 平 | 心、脾、腎 | 利水滲湿、健脾安神 |
龍眼肉 | 甘 | 温 | 心、脾 | 補心脾、益気血 |
香附子 | 辛、微苦、微甘 | 平 | 肝、三焦 | 疏肝理気、調経止痛 |
紅花 | 辛 | 温 | 心、肝 | 活血祛瘀、通経 |
山梔子 | 苦 | 寒 | 心、肺、胃、三焦 | 瀉火除煩、清熱利湿、凉血解毒 |
薄荷 | 辛 | 凉 | 肝、肺 | 疏散風熱、清利頭目、利咽、透疹 |
柴胡 | 苦、微辛 | 微寒 | 心包、肝、三焦、胆 | 和解退熱、疏肝解鬱、昇挙陽気 |
菊花 | 辛、甘、苦 | 微寒 | 肝、肺 | 疏風清熱、解毒、明目 |
大棗 | 甘 | 温 | 脾、胃 | 補中益気、養血安神、緩和薬物 |
クリスマスは近い。
けれど、クリスマスだときっとお腹がいっぱいでケーキは食べられない。
事前に食べておこうと(後になったら、歳末やお正月になってしまいます)、苺を買ってショートケーキを作りました。
だけど、例によって普通のショートケーキではありません。
生地にアーモンドプードルを加え、クリームに『婦宝当帰膠』を入れました。
これだけ聞いたら、おいしくなさそうと思うでしょうが、そんなことはないんです。
当帰を煎じて砂糖を加えた当帰シロップは、ちょっとメープルシロップ的でおいしいので、青山の薬膳レストランの「麗心」では、当帰入りのパフェがメニューにあるんですよ。
婦宝当帰膠の中身はというと、
当帰が大部分で、
後は地黄、芍薬、川芎、(ここまでは四物湯の組成です)、黄耆、茯苓、甘草、党参、阿膠
です。
どうです、薬膳料理に良く使われる生薬ばかりですね。
お味は、軽めでスイスイ食べれるし、苺は「あまおう」にしたので、とっても甘かったでーす。
でも、婦宝当帰膠は、生クリーム2箱中に大さじ1杯しか入れなかったので風味ぐらいにしかなりませんでした。大さじ2杯ぐらい入れたほうが、きっとおいしいと思います。
くるみの蜜揚げがちょっと油っぽいので、いんげんと和えてみたら、これがバッチリ。
胡麻もまぶさっているので、インゲンのくるみごま和えとなりました。
家人も、香ばしくっておいしいとの評。
普通のごま和えやくるみ和えだと、あまり好まないというのに、くるみ揚げの意外な変化球ができて、驚きです。
ナッツは油で揚げると、カシューナッツなどもとっても香ばしくなりおいしくいただけますね。
食材 | 五味 | 四気 | 効能 |
---|---|---|---|
インゲン | 甘 | 温 | 温補腎陽 |
砂糖をまぶして作るくるみの蜜揚げは、砂糖をまぶすこと自体が結構難しい。
渋皮をとらなかったせいだとはしても、大量の砂糖をくるみにかけ、
ザルの下にはかなりの量の砂糖がこぼれます。
そう感じていたら、何と手持ちの本「プロのためのわかりやすい中国料理」の中から蜜につけてから作るレシピが載っていました。
これなら、おいしく作れそう。
けれど、食べたいと思い立ってもその日のうちには食べれません。
1. くるみは水からゆで、脂肪を抜きザルにあげる。
2. 鍋にグラニュー糖、水、麦芽糖を入れ火にかけシロップを作った中にくるみを入れ、20分煮る。 ボールに移し、1〜1日半置く。
3. くるみのシロップをきり、中高温の油で揚げ、バットに広げて煎りごまをまぶす。 少し温かいくらいで密封保存する。完全に冷ますと湿気ることがある。
先日、銀座「星福」の薬膳クラブの前菜で、くらげとともにくるみの蜜揚げが入っていました。
友だちがたいそう気に入り、レシピを知りたいとのこと。
そんなレシピあったかなと、
資料をひっくり返してみると、
ああ、ありました。
おつまみにもいいし、何といっても西太后が大好きだったというくるみです。
頭をよくする(健脳)効果があるといわれているのと、独特の渋みが後をひくので、
私も大好物の木の実です。
ナッツの中では、一番好きかもしれません。
常に、家の台所には常備して、切らさないようにしています。
くるみの蜜揚げの作り方1
1. 薄皮をむいたくるみを熱湯で1〜2分ゆがき、ザルにあげて湯をきり、熱いうちに砂糖を適量まぶす。
2. くるみを170度ぐらいの油で、きつね色になるまで揚げる。
油をきり、バットに広げて煎りごまをまぶして冷ます。
冷めたら保存瓶に乾燥剤とともに入れて保存する。
自分でも作ってみた結果は、おいしいけれど、かなり油っぽくなってしまいました。
先生が作っているところを見ていたときは、この作り方で先生はおいしく作ってたんですけどね。
それに、砂糖がまぶさっただけなので、揚げ油に入れると下にだいぶ砂糖が沈んでしまい、
くるみからはがれてしまいました。
渋皮をとらずに調理したせいなのですが、渋皮を取り去ったものを売っていると聞きましたが、
いったいどこで購入できるのか。
ちなみに、横浜中華街のメインの通りに面していて、市場通りの入口にある「源豊行」では、
「渋皮を剥いたくるみはあるけれど、うちは扱っていません」といわれてしまいました。
菊花は、食用として売られている黄色のものや、紫の「もってのほか」がよく知られています。
ここで、お茶として使っているのは、「杭菊花」という名称で北京で購入したものです。
色は黄色で、杭州産の菊花という意味です。
もう一種類、同仁堂で「貢菊花」として白い花の菊花が売られていました。
白い方が値段は高かったのですが、お店の人の説明では、黄色の方が味は濃く出るといわれました。
その説明のとおり、白い方は菊花が苦手な人でもプーアール茶といっしょにして菊花プーアールなどにすると、ほとんど気にならないくらいの柔らかな香りです。
黄色の方は味も香りも濃く出ています。
写真のお茶の水色を見ると、薄黄色になっているのが、おわかりになるでしょうか。
菊花は、辛凉解表薬の中に分類されており、風邪薬に使われていたり、目の疲れをとる明目の効果があるといわれています。
本によると、黄菊花は味苦で泄熱に長じ、疏散風熱にすぐれ、
白菊花は、味甘で清熱に長じ、平肝明目にすぐれている、とあります。
冬に風邪をひいたり、熱のあるときや、目が疲れているときは、お薦めの一杯です。
写真では飾りとして二つの花びらを入れていますが、ポットに適当につまんでお湯をさしたものから蓋椀に注いでいます。
お茶にする前の菊花の色はかなり黄色いのですが、お茶にすると花びらから色が抜けるのです。
食材 | 性味 | 四気 | 帰経 | 効能 |
菊花 | 辛、甘、苦 | 微寒 | 肝、肺 | 疏風清熱、解毒、明目 |
写真の一番手前が、グラニー・スミス。
時計と反対廻りに、富士、陸奥、ジョナゴールド、津軽です。大地の『りんご七会』という企画で、
7回違う品種が続けてくるというものを注文したおかけで、いろいろな種類を味見することができました。
一番初めは、「紅玉」、次は「秋映え」でしたが、それらはとうに食べてしまいましたので、
この写真の中にはありません。私は酸味があるタイプが好きなので、秋映えは結構好みでした。
シャリシャリしていて、紅玉のように何となくスカスカした食感でないところも気に入りました。
最後を飾ったグラニー・スミスは、オーストラリア産で世界中で広く栽培されているそうです。
写真の色が悪いのですが、さえざえとした緑色をした青りんごで、栽培農家の原さんに言わせると、
この品種は個性的で、他の品種と間違えることはまずなく(色、味、酸味、歯触り)、日本で栽培されている紅くて甘いりんごとはまるで違います。
日本にはかなり昔に入ってきた品種と思われますが、市場での評判以前に生産者の「青くて酸っぱいりんごは売れない。」という思いがあったのか、大きな市場のりんご担当者が知らなかったりする。
そうです。
甘いだけのりんごが苦手な私は、りんごも酸っぱさがないとおいしくないと考えています。
それも、野菜をたくさんとれないときや、体の中の水分補給のためとしての位置づけもあります。
りんごや果物の大部分は、津液(体の中の必要な水分)を生み出すものが多いので、
乾燥した季節にはぴったりだからです。とくに、りんごは保存がきくというところが、とっても便利。
このグラニー・スミスが入っていた箱には、「りんご七会」通信が添えられており、
日本のりんごは、「甘くおいしく大きく」と、ある意味スイーツと同じように考えられているけれど、肉食中心の欧米ではお弁当に小さいりんごが入っていて、ビタミン・ミネラル類の補給としての位置づけがあると書かれていました。
(例として、チャーリー・ブランウンのお弁当にはりんごがいつも入っていたとありました。)
甘い富士を毎日朝食として食べ続けたことがあるのですが、甘いだけだと何日か立つとだんだん食べるのが楽しくなくなり、嫌になってくる。甘いものって、お菓子の感覚。
毎日食べるものは、酸味もあって適度にいろいろ味が重なっていないと飽きが来ます。
富士って、たまにお菓子を食べたくなるときには甘くておいしいと思います。
酸っぱいりんごを好む地域は、食文化の違いもあるのだと知りました。
『食の世界遺産』て、なあに?
世界遺産に食品まであったとは、知りませんでした。
その食の世界遺産に、短角牛が認定されたとか。
すばらしい!! ブラボー!!
あまりお肉は好きではない私ですが、短角牛のフィレステーキやサーロインステーキは、
絶品なんですから。
共同通信社によると、日本短角種の牛や雪菜などの伝統食材9品目が、スローフード協会国際本部(イタリア)が進める「味の箱舟」計画に認定された。
大量生産される画一的な加工食品という大洪水から伝統食品を救う計画で、いわば世界遺産の食材版。日本からの認定は初めて。これまでに世界で700品目以上が認定されている。
伝統食品のような食材が消えてしまったら、画一的になりすぎて、
食品を選ぶ楽しみがなくなってしまいます。
スローフード協会は、味の方舟計画なんていう活動もしてたんですね。偉い!
外食も中食もほとんどしない我が家。
おうちご飯が一番おいしいと思っています。
外食することを考えたら、ちょっとばかり食材が高くても、結局は安い。
そして素材に対する安心感を得ることもできます。
後は、料理の腕を磨くだけですね。
追伸:12/2の銀杏ポテトの写真は、短角牛のフィレステーキです。
先日、珍しく、近所のスーパーに生きているさいまき海老を売っていました。
おおっ、車海老のちっちゃいのが売られてる。
それもポリ袋ではなく、いかにも市場で使われてます風の茶色の紙袋に入れてくれるので、たった2尾ですが、買ってしまいました。
ところが、ちょっと前に生き車海老の剥き方を教わったはずなのに、すでにすっかり忘れ、何と背側から頭をぽっきり折ろうとしてしまいました。十字を切りつつ。
毎日、生き物をいただいている人間は、切り身やすでに死んでいる食材を調理していると、殺生したものをいただいていることをすっかり忘れてしまいますが、目の前に動いているものを殺生するのは勇気がいります。
それでも、結局、殻ごと頭もカリカリになるまでソテーしていただいてしまいました。
甘味があって、身がプリプリして、冷凍海老にはない生気までもらって満足感いっぱいです。
鮮度が良いということは、『気』もいっぱい残っているということ。
野菜だって果物だって、日にちがたつにつれ『気』もどんどん消耗していき、くたびれていきます。
疲れているときは、自分の中に『気』を取り込むために新鮮なものを食べる。
これって大切なことですね。
休日の遅い昼食は、ペンネ・アラビアータで温まることにしました。外は、雨が降ってきて、どことなくうそ寒い。
唐辛子の四気は、熱。
食べると汗も出てきて、体表に邪があれば汗とともに外に出してくれます。
この季節は、燥邪と寒邪にやられることが多いので、風邪をひきやすい時期です。
風邪をひきそうと感じたら、冬は辛味を持ち、温の性質を持つ食品を食べると良いのです。
でも、あくまで風邪をひきそうと感じたときだけですよ。
冬は体内の奥深くに精気を貯蔵しておかなければなりません。
汗をかくということは、汗とともに気もいっしょに外に出ていくので、しょっちゅう汗をかいていると気も消耗していきます。
聖護院大根の葉、それもまな板からはみ出るくらい長いものがあったので、軽くゆでて沢山のニンニクとともにアラビアータにしました。
聖護院大根は、火を通すとフニャフニャなほど柔らかくなりますが、葉の方は普通の大根葉と同じくシャキシャキしていました。
アラビアータに入れると、青みも補充できて違和感がありません。
そして、Alce Nero(アルチェ・ネッロ)のドライトマトソースを使ったので、あっと言う間にリッチでおいしいアラビアータ のできあがり。
食材 | 性味 | 四気 | 帰経 | 効能 |
唐辛子 | 辛 | 熱 | 心、脾 | 温中散寒、開胃除湿、駆虫殺菌、温通瀉血 |
にんにく | 辛 | 温 | 脾、胃、肺 | 解毒殺虫、止咳袪痰、宣竅通閉、健脾開胃、肥満防止 |
大根 | 辛、甘 | 凉 | 肺、胃 | 消食化痰、下気寛中 |
トマト | 甘、酸 | 微寒 | 肝、脾、胃 | 生津止渇、健脾開胃、消食 |
梅酒は、甲類であるホワイトリカーを使うものとばっかり思い込んでいたら、森下竹千代先生から、薬酒の実習のときに、黒糖酒で作るとおいしいとうかがい、試してみたものです。
奄美大島で作られる黒糖酒は高価でしたが、できあがった梅酒のできばえは、
「おいひ〜」
という声が思わず飛び出るほど。
そのマイルドで、鼻腔に抜けていくふくいくとした梅の香り。一口飲んでみると、まるでジュースみたい。
変な例えですが、違和感なく喉を通っていくということなのです。不味いものや体によろしくないものって、何だか喉にひっかかるという経験したことはありませんか。おいしいものや体に良いものは、抵抗なくすんなり体におさまっていくのです。
今まで飲んだ梅酒の中で『最高』の称号をつけちゃいます。
なお、梅は、体の中を潤し、咳や下痢を止める働きがあり、お酒はその効果を増す働きがあります。
食材 | 性味 | 四気 | 帰経 | 効能 |
梅 | 酸 | 平 | 肝、脾、肺、大腸 | 生津、止咳化痰、止瀉止痢 |
酒 | 甘、苦、辛 | 温 | 心、肝、肺、胃 | 通血脈、御寒気、行薬勢 |
引き続き、銀杏の取り合わせです。
お肉のつけあわせに、皮つきポテトに銀杏、柚子たっぷり。
で、咳を止めて気を回す目的です。
またまた、変な合わせ方と、言われそうですが、いろいろ銀杏を使っていると、意外と銀杏て、
いろいろな組み合わせができるものなんだなと気づきました。
あの、ほろ苦くてクチュッとした噛みごたえ、大人が好む味だと思いませんか。
伝統的な日本料理の食材としてだけでなく、活用範囲のある食材です。
銀杏を使ったゼリーなんて、どうだろうか。
材料 | 五味 | 四気 | 帰経 | 効能 |
---|---|---|---|---|
銀杏 | 甘、渋、苦 | 平 | 肺、腎 | 斂肺気、定喘嗽、止帯濁、縮小便、駆虫 |
柚 | 甘、酸、 | 寒 | 脾、肝 | 消食下痰、理気平喘、開胃健脾、解酒 |
じゃがいも | 甘 | 平 | 胃、大腸 | 益気健脾、調中和胃、解毒消炎 |
友だちのところに『便秘のときのパウンドケーキ』を持って行ったので、家にはパウンドケーキはありません。
口寂しくなって、今度は津液 (体の中の生理的な水分) を生み出して、風邪の季節には良さそうな食材を入れてみました。
それは、
銀杏と百合根とりんごです。
直感で銀杏はパウンドケーキに合うと思いました。でも、その他にも潤いをもたらすものを合わせたくて、百合根を選びました。百合根は、和菓子にも使われませんか?
出来ばえは、
結構、全体的にイケテルお味でございました。ほろ苦い銀杏が甘いパウンドの記事にマッチしてましたよ。
ただ、百合根は準備段階として、崩れない程度に少し甘煮にしてから加えた方がよかったかもしれません。
パウンドを口に入れる
モグモグ...あっ、銀杏が歯に当たった...ん、何このホクホクしてるけど、味のないものは...あっ、百合根ね...あま〜い、りんごだわ。
て、感じです。
りんごは、事前に桂枝(シナモンパウダーが切れてました)を加え、少量の白ワインと水で砂糖煮にしたので、残念ながら水分をたっぷり含んでいたので、生地の下の方に沈んでしまいました。
ちなみに、シナモンイコール桂枝ではなく、ニアリーイコールです。東洋の植物と西洋の植物は、学名まで調べるとぴったり合うものは少ないようです。
肉桂は幹皮、桂枝は若い枝です。私が使ったものは、中華街で購入したものですが、まるで牛蒡のように丸まって細かったので桂枝だと思いました。
材料 | 性味 | 四気 | 帰経 | 効能 |
---|---|---|---|---|
銀杏 | 甘、渋、苦 | 平 | 肺、腎 | 斂肺気、定喘嗽、止帯濁、縮小便、駆虫 |
百合 | 甘、微苦 | 平 | 心、肺 | 潤肺止咳、清心安神 |
りんご | 甘 | 凉 | 生津、潤肺、消炎、止渇、健脾益胃、潤燥、抗動脈硬化、降圧 | |
桂枝 | 辛、甘 | 温 | 心、肺、膀胱 | 発汗解表、温通通陽 |
りんごの四気、五味は、中国で「苹果」といわれているものです。
「林檎」ということばが『本草綱目』に載っているらしく、そちらの四気、五味は、甘/凉で、生津、潤肺、消炎、止渇、健脾益胃、潤燥、抗動脈硬化、降圧の働きがあるらしいです。まだ、本草綱目は調べておりません。
追記:翌日、パウンドケーキを食べたところ、できたてのときはホクホクしていた百合根が乾燥して硬くなっていました。やはり、百合根は甘煮にして一度水分を含ませなければならないようです。