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2006年06月30日

茴香(フェンネル)入りのパン

茴香パンよく、夫がランチにいくイタリア家庭料理屋さんが出しているフェンネル入りのパンを作ってみました。
キャラウェイシードより、私はこちらの方が好みです。

小茴香(しょうういきょう)は、胃が冷えて痛んだり、お腹が張ったとき、健胃薬として用いるとあります。
ハープとしては、フェンネルシードとして知られています。
葉っぱは細長く、ディルと似ているので、間違えてしまう人もいるみたい。

ちなみに、ディルは和名「いのんど」と書いてありました。
あまり馴染みのない名前ですねえ。
セリ科の植物は薬効があるものが多いです。


2006年06月29日

見た目で涼しく水鉢を

水鉢
夏の間だけ浮草の入った水鉢を楽しもうとセットしたのが、一昨年のこと。
それを見た夫が、「水草だけだと虫が湧かない?」と言い出したので、何だかそれを想像していやーな気分になっているところにスーパーの店頭でコップに入ったコッピーを発見し、水鉢に入れました。

夏の間だけのつもりだったのに、水位が下がっても(要するに飼い主がさぼっているのです)コッピーは生き続け...
3年目の夏を迎えました。

夏になると、水を見ているだけで涼しくなる。
安上がりだけど、優雅で想像の世界に連れて行ってくれます。


2006年06月27日

鼠尾草茶

セージティー薬材: 鼠尾草、蜂蜜各適量
作法:
1. 将鼠尾草罝入壺中、沖入熱開水。
2. 放凉後、再加入適量的蜂蜜調味即可。

葉っぱを見て、何の草かわかった方もいらっしゃるのでは?
そう、セージ、Salvia officinalis です。

本には、セージは、『腹痛、喉痛救星』というサブタイトルがついており、乳汁の分泌を妨げるので授乳中の方には禁忌となっております。

バラの鉢の下草として植えたはずのセージですが、ぼうぼう伸びて母屋を乗っ取りそう。
地際ギリギリまで刈っても、春になると再び元気に生えてきて。
あれ、なぜセージを植えたんだっけ。
そうだ、天ぷらがおいしいと聞いたからだった。

2006年06月26日

肉桂と桂枝とシナモンはどこが違うのかな

アバウトに言ってしまえば、同じものです。
世間一般には、そのように通っているでしょう。

しかし、中医学から見ると、特に方剤の組成からすると微妙に分けて考えられています。
シナモンはCinnamomum zeylanicum.、
肉桂はCinnamomum cassia BLUMEおよびその他同属植物の幹皮、
桂枝はCinnamomum cassia BLUMEの若枝またはその樹皮、ということになっております。

同じ植物の部位によって、働きが違うと考えられており、枝の部分である桂枝は「走而不守」、幹である肉桂は「守而不走」だそうです。
桂枝は枝部分にあり、幹より上の部分にあるので、軽く走っていき、温経通絡、陽気を通して気血の流れをよくする働きがあり、
肉桂は幹の部分にあり、温補腎陽、桂枝が表の部分で発汗させるのに対し、裏を温める効果があり、下焦(肝・腎)に効くのだそうです。(昨日のセミナーの受け売りですが)

中国人て、おおらかで大陸的アバウトそうに見えて(失礼)、自然から学んでいる繊細な面を持っているんですね。
とても、学ぶことが多いです。

2006年06月25日

ミントティーですっきり爽やか

ミントティーこちらのお茶は、スペアミントとペパーミント、それにレモングラスをポットに入れて熱湯を注いだものです。
要するにハーブティーですが、このうっとおしい梅雨の季節にはぴったり。

レモングラスは、中国語では「檸檬香芽」とも香芽草、檸檬草ともいうようです。
その働きは、
香草中的消痛剣客
殺菌したり、鎮痛作用があると書かれています。

ミントはご存じ薄荷ですが、中薬で使われている薄荷は中国や日本で自生する薄荷で、ペパーミントやスペアミントではありません。
園芸店に行くと、他にもミント類はいっぱい売られていて、オレンジミント、オーデコロンミント、レモンミント、ジンジャーミント、アップルミント、ペニーロイヤル、などなど。

同じ本によると、薄荷の働きは、随所可得的提神妙薬と書かれています。
夏の季節に薄荷の芳香は凉を呼び、東西を問わず飲まれていて、西方では「芳香薬草之王」といわれているとか。
中医学的説明は、薄荷のページでご覧くださいませ。

2006年06月24日

『君臣佐使』は方剤だけではない

方剤(漢方薬)の組成は、

『君臣佐使(くんしんさし)』

ということばで表現されます。

君主、大臣、地方長官、庶民にたとえた、それぞれの薬の役割がその方剤の内容を決めているのです。
でも、この『君臣佐使』は、方剤に限って使われていることばではありません。

鍼灸処方においても、主穴(君穴、臣穴)に佐穴、使穴をプラスして配穴されます。

病を主る之を君と為し、君を佐く之を臣と為し、臣に応ず之を使と為す。
「素問・至真要大論篇」

よく見ると、この文章、薬について限定しているわけではないですね。

鍼灸配穴の例として、
処方名:醒脳開竅方
組成:主穴−内関(双)人中三陰交(患部)
    配穴−極泉(患部)、尺沢(患部)、委中(患部)
効能:醒脳開竅、補益肝腎、疏通経絡
主治:中風
解説:内関−養心安神、疏通気血
    人中−調督脈、開竅健脳安神
    三陰交−補腎滋陰(熄風)、養脳填髄
    極泉・尺沢・委中と配すると−開竅醒神通絡

どうです。
方剤も配穴も同じようでしょ。
みんな、同じ古典から引用しているのが、中医学のおもしろいところですね。

2006年06月23日

万人向きのジャスミンの香り

ジャスミン
園芸店で鉢植えとして売られているもので、一番ポピュラーなジャスミンは羽衣ジャスミンかもしれません。
どんどん、蔓が延びていって繁殖力旺盛、そして何ともすごい香りを放つ。
このジャスミンの香りは、好き嫌いが分かれるところです。
私にとっては、トイレの芳香剤のよう(羽衣ジャスミンさん、ごめんなさい)。

カロライナジャスミンは黄色い花で、垣根にしているところもあるけれど、香りは弱い。
マダガスカルジャスミンは、白くて小さい花で茉莉花(まつりか)に似ているけれど、寒さに弱い。

そして、私の大好きなジャスミン(茉莉花)は、香りが一番優れていると思ってます。
タイに行くと、お寺さんのお供えにジャスミンの蕾を糸で通したものが売られていますが、その本物のジャスミンはなかなか鉢植えで売られているのを見たことがありませんでした。

それを、第一園芸で見かけたときは、思わずニタリ。
ああ、やっと、会いたいと願っていた植物に会えた、という感じです。(かれこれ3〜4年は立ってます)

香りに敏感な母にジャスミンの鉢植えをプレゼントしたところ、玄関に置いているので、やって来た人や通りがかった人たちが、「良〜い香り」というそうです。
なぜか、誘われちゃう香りなんですよね。
クリーニング屋さんも、ラーメン屋さんも、「うーん、良い匂い。なあに、この花?」と聞くので、母もご満悦です。

そして、私の場合は、
夜寝る前に5分ほどヨーガをやるとき、暑いので窓を開けると、暗闇の中からベランダに置いたジャスミンが語りかけて来る(ほんの三つ四つしか咲いてません)。
「私は、ここにいるわよ。」
闇夜に隠れていると、視覚に邪魔されないので嗅覚も鋭く、側頭葉にビンビンに刺激が来ます。

嗅覚は五感の中では、一番原始的といわれている感覚です。
気が巡っていくのを感じるとき.....

ジャスミンは、

精神抑鬱、心煩易起食納現象、曖気呑酸、納呆、腹脹、悪心欲吐、胃脘痛、神経官能症、慢性胃炎、上腹脹痛、納谷不香、失眠多夢
に効き目があるといわれています。

2006年06月21日

ブラボー!!!!

薬膳リングのお仲間で、研究科のメンバーでもある「薬膳の力」さんがエキサイトブログのピックアップブロガーで紹介されました。

http://blog.excite.co.jp/pickup/4042616

ブラボー!!!

写真もメチャきれいで、思わず引き込まれてしまうお料理をいつも作ってらっしゃる方なので、読んだ方は女性だと思い込んじゃう人もいるみたい。
初めて彼のブログを見たときの私も、オオーッ、なんておいしそうな写真なんだー
って感動しましたよ。

改めて、ブログって更新することに意義があるのね、と思う私でした。


2006年06月19日

そういえば女性専用車って寒いですね

以前にも電車の冷房がきつくて困るということを書いたことがありますが...

つい最近の朝日新聞で、女性専用車両の冷房がきつくて困るという記事が載っていました。
弱冷房の車両だと女性専用車両とはわかりにくく、わかりやすい最後尾の車両にしたために、弱冷房にならないとかなんとか。
今の弱冷房の車両を女性専用車両にすると、男性でも弱冷房を必要としている人が困るとか。
そんな理屈ってあるの?
最後尾も弱冷房車にしてしまえばいいのにというのが、私の意見ですが、どうも鉄道会社はそういうつもりはないらしい。

冷房の設定は車庫でしかできないとか、なんとか。
混乱を避けるためとか、なんとか。

暑いとお客通しのトラブルが発生しやすいから、ギンギンに冷やしておこうという魂胆が見え見えです。
まるで、冬眠させれば、生物が活動状態をおとすとでもいいそう。

我々は、混乱なく輸送されなければならない家畜と同じなんでしょうか。

人は自然の中で生活しているので、暑くなれば体がそれに対応するようにできています。
電車も冷房、オフィスも冷房、お店も冷房では、夏は暑いからそれに対応した薬膳を、なんて理論は成り立たなくなりますよね。
体は冷やしすぎると、良いことはありません。

2006年06月14日

風寒の風邪、風熱の風邪

『喉や節々が痛くて熱があるけど食欲はある』ときに、どんなものを食べたらよいか、というお問い合わせをいただきました。

薬膳を勉強していないときなら、一般的に常識だと思われる「ネギや生姜を入れた味噌汁」に、私も走るかもしれません。
でも、風邪(かぜ)といっても、風寒の場合と、風熱の場合があるんですよね。
その違いは、悪寒があるかどうかなんですが、寒邪にやられると、ぞくぞく寒けがして悪寒がする、
して、その際は体を暖めなければならないのですが、
風熱の場合は、逆に体を冷やさなければならないのです。

食物の味としては、辛味を持つもので、体の表面にいる邪気を汗で発散させます。
辛味を持つ食物というのは、食べて辛いものだけではありません。
うど、カブ、こんにゃく、シソ、セリ、大根、なども辛味を持っています。
中国三千年の経験医学上、先人たちの調べた結果が食味表というリストになっています。

葛根(かっこん)は辛涼解表薬とされており、まさしく風熱の風邪(かぜ)に使われます。
ですから、体を温めたい場合は生姜や黒砂糖などを入れなければなりません。

理論を勉強していても机上の論理、実際、質問されて、ハッとした私でした。

2006年06月12日

陽経の五兪穴

5月25日の五兪穴の陰陽で、なぜ陽経の方が木火土金水ではなく、金水木火土になるのかわからないと書いたのですが、それに対する答がわかりました。

金は木を克する関係、『陽は陰をコントロールする』からという説明を鍼灸機理の先生から聞きました。
なるほどね、水は火を克し、木は土を克し、でずっとつながっています。

この理論は、難経六十四難の

是剛柔之事也.
陰井乙木.陽井庚金.
陽井庚.庚者乙之剛也.
陰井乙.乙者庚之柔也.
乙爲木.故言陰.井木也.
庚爲金.故言陽.井金也.
餘皆倣此.

が元になっているようですが、乙木とか庚金とか、十干で説明されると、私などはかえってわかりません。

甲(きのえね) 乙(きのと) 丙(ひのえ) 丁(ひのと) 戊(つちのえ) 己(つちのと) 庚(かのえ) 辛(かのと) 壬(みずのえ) 癸(みずのと)

十干が五行に配当されていて、それぞれ陽木、陰木、陽火、陰火...とあり、だから陰経の井穴は乙木、陽経の井穴は庚金というようです。

こうなってくると、そのうち、易も学びたくなりますね。
はからずも、6月3日のチャングムでは、「易経を学んだ方がよい」と言われていましたね。

2006年06月07日

更年期障害(腎陰陽両虚の場合)のメニュー

更年期障害で、腎陰陽両虚の症状はどうなるか。
当然、陰虚と陽虚の症状が現れます。

めまい、耳鳴、物忘れ、寒熱定まらず(どちらが出るかわからない)、顔にのぼせ、汗が吹き出てきたり、風が吹くのを嫌ったりする、腰や背中が冷たい

こういうときは、陰も陽も不足しているので、補わなければなりません。

我々の席の斜め後ろのグループが出してきたメニューは、

〇 小籠包(しょうろんぽう)
豚皮、豚肉、貝柱、ニラ、白きくらげ、海老、卵黄
〇 当帰入りスープ
当帰、鶏、ニラ、卵

でした。
いきなり、小籠包なんてめんどうな料理名が書かれたので、それを見ていた何人かから「誰が小籠包なんて作るのよー」なんて、声も飛び出して。

しかし、陰を補う滋陰効果のある豚皮を使った料理ということで、小籠包を出してきたのは秀逸。
あの、ジューシーな肉汁は豚皮のおかげなんですよねー。
とーっても手間がかかる料理なのを知っている私は、聞いただけで「ショエー」と、引いてしまいますが、メニュー出すだけなら何でもOKよね。

鶏や海老やニラなど陽を養う食材と、貝柱、豚肉、卵黄など陰を養う食材とうまく組み合わせてますねえ。
陰陽両虚になるときは、精血も不足しているので、それに効果的な当帰(とうき)も使ってるようです。

2006年06月05日

更年期障害(腎陽虚の場合)のメニュー例

腎虚には腎陰虚と腎陽虚があります。
その他、両方虚している場合の腎陰陽両虚というのがあります。

陽虚というのは、いわゆる陽気が不足している状態で、陽気は体を温めているので、これが不足すると冷え性やだるい、やる気がないといった症状が現れます。

更年期障害のその他の症状としては、
顔色が悪い、むくみがある、夜トイレによく起きる、尿漏れ、サラサラしたうすいおりものがある
などです。

我々の席の右側に座っていたグループが出したそのメニューは、
〇 鶏の炒めもの
鶏、黒木耳、胡桃、生姜、ネギ
〇 鯉とニラの酢味噌和え
鯉、ニラ、松の実、酢味噌
〇 鰯のつみれスープ
鰯、金針菜、白菜、ごぼう、ネギ、生姜、ニンニク

いろいろ、食材が入ってますねえ。
ネギ、生姜、ニンニクを使っているのは、中華料理だからです。
薬味に使うくらいの量なら、方針に影響はないということでしたが、おいしくなければ薬膳とはいわない、のポリシーを考えると使用材料を明記したくなっちゃうといったところでしょうか。
ごぼうも凉だけれど、他の食材との兼ね合いを考慮すると入れてもいいのではないでしょうか、と先生はおっしゃっていました。

胡桃は、陽虚の人にはよく使われる食材です。
鯉は、むくみに非常に効果的だと多くの本に記載されています。
妊婦がむくんだりしたときは、良いのだそうですよ。

そうそう、治療法は、温腎扶陽。
腎を温めて、陽気不足を改善せねばなりません。

陽を補うことのできる食材としては、
胡桃、ニラ、海老、どじょう、羊肉、豚レバー、鹿肉
などがあります。

2006年06月02日

更年期障害の薬膳メニュー(心腎不交)の場合

前回に引き続き、更年期障害といっても、心腎不交の場合の薬膳メニューのご紹介です。

症状としては、
腰や膝がだるい、眩暈、耳鳴、急にほてっては汗がダラダラ出る、不整脈、胸がほてってムカムカする、不眠、夢が多い、などが現れます。

研究科の私たちの後ろの席にいた方たちのグループが出したそのメニューは、
〇 お粥
米、百合根、緑豆、胡桃
〇 デザート
白木耳、枸杞、西瓜、氷砂糖

でした。

心腎不交とは、心の火と、水臓といわれている腎のバランスが体内でとれずに起る減少です。(五行で心は火、腎は水ですね)
腎の水が不足して、体内の火が燃え上がり、それが心神を動かすのでイライラしたり、眠れなかったり、さらに上に行くとめまいや耳鳴が起きたりします。

だから、施膳としては、腎陰を補い心の精神不安を鎮めなければなりません(滋腎寧心安神)。

百合根は精神をリラックスさせる効果があり、枸杞、きくらげ、西瓜は腎陰を補います。
砂糖は、黒砂糖は温で、氷砂糖は平性で陰を養うといわれています。

誰かが、「胡桃はどうなんですか」と質問したような記憶がありますが、
緑豆は清熱解毒で帰経は心、胡桃は温性でも、帰経は腎なので入れてもよいでしょうと、先生がおっしゃったような気がします。

典型的なメニューを作るとすると、胡桃は補陽なので体を温める場合に使うことが多いのですが、薬ではなく食べ物なのだからと鷹揚な部分もあるのです。