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2006年08月31日

苓桂朮甘湯と苓姜朮甘湯

桂枝乾姜を使うかの差で主治が変わる、方剤っておもしろいけれどよくわからない、でも弁証が合っていれば、たちどころに症状がとれていくので感激することしきりです。
苓姜朮甘湯を飲み始めて1週間、まだふくらはぎの冷たいしこったような感覚と、足裏のスースー感はとれたとはいえませんが、かなり温かみと柔らかさが戻ってきたような気がします。

さて、苓桂朮甘湯と苓姜朮甘湯と両方持ってるんだけど、どっちがいいの?と友だちに聞かれてしまいました。
はて、両方お持ちとはどういう所以でしょうか。
まあ、そのへんの憶測は置いておいて、つくづく双方を眺めてみました。

苓桂朮甘湯 苓姜朮甘湯
主治 胸脇部が脹る、咳嗽、呼吸促迫、めまい、動悸、舌苔白滑、脈弦滑など 身体がだるい、腰や下肢が冷えて痛む、口渇はない、食欲は正常、排尿は正常、舌苔は白滑、脈は沈
病機 脾陽不足で水飲が心下に停聚した状態。 寒冷や多湿環境のために寒湿が侵襲し、肌肉に停積した状態。
方意 主薬は茯苓で、温陽化気の桂枝の補助のもとに、水飲を温化し利小便によって除去する。 辛熱の乾姜は温中散寒に働く。健脾除湿の白朮・茯苓は運化を強めて利水し、乾姜とともに寒湿を除去する。
金匱要略 それ短気し微飲あるは、まさに小便よりこれを去るべし。心下に痰飲あり、胸脇支満し目眩するは、苓桂朮甘湯これを主り。 腰以下冷痛し、腰重きこと五千銭を帯びるがごとし、甘姜苓朮湯これを主る。
説明 脾陽虚のために水湿の運化が不足し、湿が集まって水飲を生じる。水飲が心下に集まり停滞し、胸脇部の気機を阻害すると胸脇部が脹り、肺を阻害すると息切れや咳を生じ、心を阻害すると動悸、清陽の上昇を阻害するとふらつきや目眩が現れる。 脾は肌肉を主り水湿の運化を主るので、肌肉の寒湿は温中散寒を通じて除去するのがよい。一般的な寒湿の病変では、脾陽が阻害されるので食欲不振や下痢になったり、津液散布が阻害されるので口渇するが水分はほしくなかったり、腎の気化がうまくいかないので排尿がうまくいかなかったりするが、これらの症状がないのは水湿が肌肉にあることを示している。

『中医臨床のための方剤学』参考

双方の方剤とも健脾利湿し、体を温めて体内の寒湿を取り除くのは同じですが、一番具合の悪いところがどこなのかを考えて選ぶ必要あり、ですね。

2006年08月30日

ヨクイニン緑茶(水毒の場合)デトックスダイエット2

ヨクイニン緑茶材料ヨクイニン緑茶総論にて列記した薬草茶の順番ではありません。
そのときの気分と、家にある材料から選んでおります。

今回は水毒をデトックスするお茶、はと麦と緑茶が材料なのでトライしやすいといえます。
材料は、はと麦100g、緑茶3g、水600ccで、沸騰したら弱火で15分煮ればオーケーです。

はと麦100gは結構多いのではと懸念しつつ、(なんせ500g入りの袋の5分の1ですからね)、魔女の鉄鍋さんの体験のようになるのではとドキドキしながら作りました。
こういう薬茶を作っているときって、夜中に作ることが多いので、それこそ魔女がイモリの黒焼を入れて..〇〇、〇〇、と次々に大鍋に投入していくのを想像してしまいます。
材料が多くても少なくても、夜中に作るとそう思っちゃうってことです。

さて、ヨクイニン緑茶のお味は、ホンノチョッピリの緑茶のおかげで、かなり飲みやすくなるってことがわかりました。
ちょっと茶粥のようなイメージ、とでも申しましょうか。
熱いお茶の状態ならかなりいけます。
飲みやすいとさえ、言っちゃいます。

コーンポタージュただ、お茶にしてしまうと、残ったはと麦がもったいない。
もち、コーンポタージュとオムライスの中のチキンライスに入れましたが。

普段は、玄米を炊くときに一緒に入れているので、エキスと実の行方を考えずに主食としていただいています。
別々にしたら、他にどうすればいいの?
ハンバーグ、ミネストローネ、コロッケ、つくね、シュウマイ−−−何だか、ごまかして食べるようではありませんか。
(夫は、以前は、はと麦入りのご飯を炊くと、蛙の卵と良く言ってましたが、そういえば最近は聞かなくなりました。馴れたのかしら。)

2006年08月29日

デトックスダイエット1(総論)

デトックスダイエットのセミナーに行ってきました。
内容が総合的で盛り沢山だったので、ちょっと消化不良気味ですが、先生は別件で詳しくこの内容を何回かに分けて行うつもりもあるようです。

薬茶のほかに、ツボマッサージや体操(金魚体操やヨーガ等)、アロマなども奨励されていましたが、私は薬茶を試してみることにします。

その前に、総論として、
デットクスとは何か?
解毒、排毒のことを指し、毒素とは人の健康を阻害する物質のこと、中医学的には毒素は邪気の一種とのこと。

では、デトックスするためには、
毒素の侵入を防ぎ、体内の循環を促進し、毒素の排泄を促す。
体内の解毒工場である肝機能を保護し、ストレスに弱い肝のためにストレスを解消するようにし、胃腸の機能も高めなければなりません。

毒素による肥満は、3タイプあります。
○瘀血(ドロドロ血)
血液循環が悪いことによる肥満

○水毒
水分代謝障害による余分な水分を蓄積した肥満

○痰湿
脂肪代謝障害による余分な脂肪分を蓄積した肥満

これらに対応したダイエット薬草茶としては、
◎瘀血型
○ 当帰茶
○ 桃仁紅花茶
○ 芍薬茶

◎水毒型
○ ヨクイニン緑茶
○ トウモロコシ鬚茶
○ 車前子茶
○ 木通茶

◎ 痰湿型
○ 半夏茯苓茶
○ 陳皮茶
○ 生姜茶
○ 茯苓山薬茶

が紹介されてました。
次回より、追って実際に薬草茶を試してみたいと思います。

追記:そのままさらっと流していると、ふんふんなるほどって感じかもしれません。
が、いまさらいうまでもありませんが、まず弁証ありき、です。
分けた三つのタイプ別に、お茶は処方されています。
決して、汗や便で排泄させること自体が、目的ではありません。
人が排泄物を外に出すためには、汗で出すか小便か大便で出すかしかありませんが、汗で出すイコール解表、小便イコール利水、大便イコール瀉下、ではないことにご注意ください。

2006年08月24日

マンゴープリンて簡単なのね

マンゴープリンああ、マンゴープリンが食べたい。
でも、市販されているものは何かしら添加物が入ってるし。
仕方がない、自分で作ろうっと。

と、冷凍食品売場でマンゴーを買い込み、脇屋友詞さんの『香港のデザート』を参考に作ってみたら、あら簡単、あっと言う間にできちゃった。
冷凍食品を使うってとこがミソですね。
冷蔵庫で冷やす前にすでに、かなり固まります。

材料は、
冷凍マンゴー2袋(400g)、水200cc、砂糖70g、ゼラチン10g、生クリーム50g

作り方は、
材料の水の中からゼラチンをふやかす分をとりわけてゼラチンをふり入れ、残りの水を火にかけて砂糖とゼラチンを煮溶かす(沸騰させない)。
マンゴーは、少し解凍し、ボールに入れ泡立て器でつぶす。
それに砂糖とゼラチン入りのお湯を入れ混ぜ、冷たい生クリームも加えてさらに混ぜる。

実は、これの前に生クリーム200cc、砂糖120g で作ってみました。
しかし、これはクリームが入りすぎてババロアみたい。
マンゴープリンとはほど遠いお味でした。

マンゴーは暑いところでとれるので、体を冷やすのかと思いきや、平性(温めも冷しもしない)でした。
味は甘、酸で、帰経は肝、脾、理気、止咳、健脾の作用があります。
(参考:中華養生薬膳大全)

凉性で、帰経が肺、胃、と書いてある本もありますが、出典が記載されていないので何だか怪しいと私は思ってます。
本によって異なることが書いてあるときどうしたらよいか、これについては稲田先生が、
「時代が後のものの方が、情報が新しく、改定された情報ということで正しいのではないでしょうか。」
と、おっしゃっています。
でも、これを採用するには、出典を明記してくれないと比較のしようがありません。

2006年08月22日

苓姜朮甘湯(りょうきょうじゅつかんとう)

体全体が寒く感じるけど、それでも比較すると腰から下、大腿部や脛、ふくらはぎ、足背、足裏が、まるで冷たい水の中に入っているようです。

暑い外でテニスをした日なんて、喉が渇くので当然水分を取り、2時間で1升ぐらいは飲んでます。
だからといって、摂取した水分がすべて体の中から排泄されるわけではなく貯まっていて、下半身にそれが著しい。
だから下半身が重いし、デスクワークをしていると重力で当然下に水は溜まっていくので、冷房の入っていない室内でも、何だかふくらはぎ辺りがスースースカスカ冷たい感覚。

それは、まるで、体全体が冷たい水をたたえている瓶(かめ)のよう。
だから、冷房の入った場所に行くと、その寒冷感はさらに強く、他の人が多少涼しすぎるわぐらいのときに、私一人はフリースの膝掛け、ウールのブラウス、ウィンドブレーカーを上にはおり、諸陽の会である頭に風が来て頭痛がしそうになると、さらにフードもかぶっています。
外からは目立たないように、冬用のキャミとスパッツも付けてます。

一昨年具合が悪くなったときは、外の日陰でさえ寒すぎるくらいだったので、それに比べればまだましと思っていたのですが、どこもかしこも冷房している屋内のこと。
母とランチを食べにレストランを探すにも、冷房のきつくないところをチェックしなければなりません。
これは、尋常なことではありません。

冷しすぎの社会が悪いー、といっても、今現在の状態に体が堪えられなければ日常生活もままならず。

こんなときは牛車腎気丸(八味地黄丸に牛膝と車前子が入って下半身の利水ができて、もちろん体を温めます)かなあ、と漢方薬局に行き、症状を説明することしきり。
すると、ご夫妻ともども、「それだったら苓姜朮甘湯」とおっしゃいます。

どうやら、下半身が冷たい水の中にいるみたい、という症状のときにぴったりの方剤のようです。
散薬になっているのでお湯で飲めばオーケー、しっかり1日3回15日飲むつもりです。

『中医臨床のための方剤学』をひくと、こう書いてありました。
主治:腎著(寒湿停着肌肉)
『金匱要略』には、
腎著の病は、その人身体重く、腰中冷え、水中に座するが如く、形は水状のごとく、かえって渇せず、小便は自利し、飲食故のごときは、病は下焦に属す。身労し汗出で、衣裏は冷湿し、久久にしてこれを得る。腰以下冷痛し、腰重きこと五千銭をおびるがごとし、甘姜苓朮湯これを主る。

腰重きこと五千銭をおびるがごとし、で、思わずそのとおりと笑っちゃいました。
いいえて妙です。

組成は、乾姜、茯苓、白朮、甘草なので、別名は甘草乾姜茯苓白朮湯、甘姜苓朮湯、腎著湯となっています。
苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)というのもあり、生姜ではなく桂枝に代わり、こちらの主治は、水飲・脾陽不足、と記載されています。
脾に効くか、腎に効くかの差が出てるんですね。
一味で処方する意図が変わる、方剤っておもしろいですねえ。

2006年08月21日

炭健体(使い捨てカイロの代わりに)

足の裏を温められるというので、炭健体というグッズを仕入れました。
暑いはずの夏に、なんで冷房対策グッズをいろいろ買い込まなければならないのか、冷え冷えになっている我が体が恨めしい。

しかし、そうはいっても、巷で冷え性のための商品が夏に売られていること自体ニーズがあるということ、冷えで悩んでいる人は結構多いとお見受けしましたよ。

さて、この炭健体というグッズ、ソラマメのような形をしていて土踏まずのところに当てて靴下を履きます。
すると、カイロのように熱くはなりすぎず、人間の熱によって遠赤外線が発生するというしろものです。
小さいので、土踏まずに当てていてもあまりじゃまにならないし、ホニャホニャ温かくなって結構気持がいい。

低温やけどの心配はないけれど、カイロほどの熱は発生しないので、腓腹筋(ふくらはぎ)や大腿(もも)近辺の寒けには対応できません。
(風寒が、ジャンジャン上から降ってくる地下鉄では、ももが寒かった。)
圧倒的な熱エネルギーで他の部分もカバーするのか(この場合やけどしそう)、じわじわと温めてとりあえず軽減するのか、用途に応じて選ぶということでしょうか。

やさしく手洗いすると長持ちするそうです。
興味を持った方は、store-mix.com をごらんくださいませ。

2006年08月16日

レモングラスミントローズ茶

レモングラスミントローズ昨日のレモングラスナツメ茶がおいしくなかったので、口直しに、スペアミントと玫塊花(まいかいか)をミックスしたお茶です。

それぞれ個性の強いもの同士、一つが主張しすぎることなくきれいにミックスされました。
おいしいお茶はスッスッと喉を通っていく、あっと言う間に空になりました。
バラが緑の中に浮かんで、絵的にもグッドです。

2006年08月15日

檸檬香芽紅棗茶(レモングラスとナツメのお茶)

レモングラスナツメ茶材料レモングラスナツメ茶夏だからプランターに植えているレモングラスもぐんぐん伸びています。
レモングラスはミントといっしょにお茶にするとおいしいけれど、他の組み合わせは。。。

『茶飲養生事典』をめくると、おもしろい組み合わせがありました。

材料:馬郁蘭(マージョラム)、檸檬香芽(レモングラス)各2枝、紅棗5粒、龍眼乾5顆、葡萄乾10粒、水700cc

作り方:紅棗、龍眼、葡萄に水を加えて沸騰したら弱火にして5分煮る。火をとめて、マージョラム、レモングラスを加え、5分たてばできあがり。

お味は、レモングラスが勝っていて、ナツメのほんわかした味が後に来る感じ。
ナツメや龍眼、干しぶどうもしっかり食べて、と、結構いけると思いました。
でも、冷えるとおいしくな〜い。
私には、冷えてもおいしいお茶が、おいしい基準です。

レモングラスは、清々しい香りがあり、憂いを除き、心神を安定させて止痛作用がある、と書かれています。
紅棗は大棗よりちょっとこぶりで、お茶に入れるには赤くて小さく使いやすいです。

2006年08月14日

オケラの根って何だっけ(チャングム)

思い込みで書いたりしないように、調べてから記述しているので、Blogおよびサイトに記載していることを私が覚えていると誤解されませんよう。

意識的に記憶の容量に制限を設けないようにすれば、どんどん入るのではないかとは思っているのですが、加齢には勝てず覚えているはずでも取り出せないことが多い。
地道に繰り返すか、好奇心を全開にして楽しむしかないですね。

一昨日のチャングムは、疫病ではなく食中毒だったということをチャングムがつきとめる、という話でした。
「それでは、処方を変えなければ。
生姜を煎じて、〇〇とオケラの根を...」

生姜は生姜湯にして患者に飲ませ、さらにオケラの根とその他の煎薬を与えていました。
(生姜湯に関してはチャングム公式ページをごらんください。)

オケラ、オケラ...オケラって、生薬は何だっけ?

ああ、情けない。
大量の情報が頭に叩き込まれると、一つ一つの印象の強いものしか残りません。
いわれとか付属の情報が付いていると、ちゃんと覚えてるんですよね。

オケラとは朮(ジュツ)のこと、白朮蒼朮があります。(神農本草経参照。)
皮を剥いたものを白朮、そうでないものを蒼朮といったようですが、市販されているものは、白朮がオオバナオケラ、蒼朮がホソバオケラかシナオケラです。

効能から考えると、朝鮮半島でのオケラは白朮らしいのですが、京都八坂神社で大晦日に行われるオケラ参りのオケラが白朮のことだとは知りませんでした。
厄除けの意味があったんですね。
(生薬の玉手箱参照)

2006年08月11日

どこもかしこも冷房しすぎじゃないの

電車の弱冷房の車両は、とってつけたような車両。
どこが弱冷房なのかわからない。
飛行機の中と同じとしか思えないものもあります。
ちなみに飛行機は23度に設定されているそうです。

隣の車両とのドアがない弱冷房車なんて、いったいそんなのあり?
風が吹かなければまだ体感温度が下がるのはひどくないのですが、どの位置にいってもビュービュー風が吹いているので帽子でガードしないと頭痛が起きてしまいます。

そして、オフィスは個別のエアコンがついているので、ちょっと暑いと思うとすぐエアコンつける人がいる。
お上が、「エアコンの設定温度を28度にしましょう」と声をあげても、どこ吹く風。
外からいきなり室内に入ったときは暑く感じても、馴染めば問題なし。
エアコンつけたい人、消したい人で攻防するのは、いい加減にやめてほしい。

そして、中医学を学んでいる教室が冷えすぎなのはどうかしてる。
「天地人」、人は天と地の間で生きていて、自然の中で暮らしている。
エアコンのどこが自然なのさ。

夏は暑いのが当たり前。
だらだら汗をかきながら授業を受けたいとは決して思いませんが、誰かがくしゃみしたり、服を一枚増やしたりするほど冷やすのは行き過ぎです。

中国人の先生方は、「日本人は冷たいものを食べ過ぎ、だから脾胃を傷めるのよ」と、よくおっしゃいますが、冷房に関してはかなり無頓着としか思えません。

夏は老廃物を汗から出して、普段活動している腎の機能を助け、腎を養生する季節。
ここで、エネルギーを貯めずして、いったいどの季節に腎を養生するのさ。
日本人は、腎虚が多いと聞きます。
精をつける(腎精)ということは、食物からだけでなく自然のリズムにしたがって生活するということも大切なことです。
体の冷やしすぎは、インポを助長、もしくは作ると思います。
出生率が下がっているのにも影響しているのでは?、と疑っている私です。

2006年08月09日

ツボの位置って、中国と日本では違うの

何げに「兪穴学」の本を見ていて、ハッと気づきました。
太陰脾経のツボである
府舎(ふしゃ)」「腹結(ふっけつ)」「大横(だいおう)」「腹哀(ふくあい)

が、体の中心線から4寸になっています。
はて、3寸5分では?

調べてみると、日本では3寸5分、中国標準では4寸なのだとか。
中国語で書かれているツボの位置を計算すると、3寸5分になるんですけどね。

計算といっているのは、腹哀穴の位置が日月穴の下となっており、日月穴期門穴の下で、期門穴でやっと左右の表記あり、不容穴から1寸5分、そして不容穴は体の中心から2寸とあるからです。
何で4寸が標準になったんでしょう。

期門穴も、日本では「第9肋軟骨付着部下際」に対し、中国標準では「第6肋間で前正中線の外方4寸」です。
期門穴は肝経の募穴である要穴なので、第6の方が肝臓の位置を考えると効きそうな気がします。
古典を検証していると、変更した方がよいことが多々出てくるのでしょうか。

漢方も、元々は中国から伝来したものですが、現在では中医学の考え方と異なる部分もいろいろあります。
たとえば、虚実の考え方など、漢方では虚は虚弱体質のようにいわれますが、中医学では虚とは気が不足している状態をさし、実とは正気が邪気と戦って負けている状態をいいます。

最初は中国から伝わっていますが、それぞれ進んでいく過程では異なる部分も出てくる。
とはいえ、ツボの位置が違うなんて、整合性をとってほしいわ。

中医学を学ぶ者としては、中国標準にせざるをえないので、経穴データベースの作り直しです。

2006年08月07日

黄耆(おうぎ)に虫がつきました

以前、朝鮮人参に虫がついて虫食い穴だらけになったことがあります
今度は、黄耆に虫がついてしまいました。
天ぷら油などのストックしておくポットなどについていたりするとっても小さい黒い虫です。
補気の中薬は、虫もおいしいのか、他の中薬に比べると虫がつきやすいのでしょうか。
当帰もつきやすいそうです。
当帰も血中の気薬といいますものね。

黄耆についたその虫は、洗ったら水の中では死んでしまいました。やれやれ。
ざるにあげて水切り用にボールで受けてと。

ここまではよかったのです。
翌日もその翌日も、そのままにしてそのざるの中から煎じ薬を作りました。
しかし、そのまた翌日になったら、
アーッ、かびだらけーっ

何と、見たことないくらいのすごいかびが生えていて。
いかん、何ともったいないことをしてしまったのだ。

漢方薬局で買いなおすときに、この話をすると、
「洗っちゃ駄目。陰干しすれば、虫は出て行くよ。」
と、またもや言われてしまいました。
「それに、虫を気にせず煎じちゃえばいいじゃないの。」とも。

「えーっ、いっぱいいたら気持悪いですよー。」
(庶虫)虫(しゃちゅう)だってあるじゃない。」
「まあ、そうですけど。補気の薬を食べた虫だから、補気になるかな。」

とは、言ってみたものの、やっぱり虫は気持ち悪い。
蝉退(せんたい)ぐらいなら、まだ許せるけれど。

人によっては、昆虫が入っている方剤だと聞くと、もう飲むことはできない方もいるそうです。
先生としては、『こっちのほうが効くんだけどなあ』と思いつつ、別の方剤をお出ししたりするそうです。
昆虫系の中薬って、活血の薬が多いような気がしますねえ。

2006年08月04日

眠り浮草

眠り浮草手で触れたりすると葉が閉じてしまうオジギソウってありますよね。
浮草なのに、手で触れたり暗くなると葉を閉じる『眠り浮草』。

一応、上につけているのは植物育成ランプのはずなのに、その蛍光灯がついていても夜になると勝手に葉を閉じてしまいます。
朝6時では、外は明るいのに蛍光灯をつける前は、やっぱりお休み状態です。
眠るのが好きなんでしょうか。

この写真は夕方6時頃、まだ外は明るかったし蛍光灯もついていたので、葉は開いています。
熱帯産とのことなので、冬にはだめになりそうですが、茎の白と赤い根、葉の緑の対比が美しいイタリアンな浮草です。

2006年08月03日

玉屏風散をお茶がわり

玉屏風散材料玉屏風散玉(ぎょく)のような貴重な宝石で作った屏風を体にはりめぐらすという意味の「ぎょくへいふうさん」。
花粉症のときに予防に飲むとよく効くといわれ、「衛益顆粒」という名前で市販されています。
組成は、黄耆、白朮、防風の三つですが、黄耆、白朮が益気に働き、防風が体の表面の表(ひょう)を走っていくといいます。

一昨年冷房病になった私は、昨年は何とか乗り切りましたが、今年は絶不調です。
最低週2回はセミナーを受けているので(多い週は4回)、建物に入った冷房やきつい電車の冷房、オフィスの冷房と、体表を守る衛気が損傷を受けている状態。
特に諸陽が集まるといわれている頭に冷房の風をもろに受けるようなことがあると(特に電車です)、暑くて開いている毛穴が風邪(ふうじゃ)と寒邪をもろに受け、さあいらっしゃい状態になってしまいます。

アレルギー体質の人は、腠理(そうり・いわゆる毛穴の意味、それだけではないともいわれていますが)の開閉がうまくいかず、気虚で自汗ぎみの人が多いのです。
自汗というのは、人が汗をかいていないときでも毛穴が開いているので、勝手に汗がだらだら出る状態です。
気は固摂といって、体の外に出てはいけないものを出さないようにする働きがあります。
気が不足している人は、その機能が落ちているので、閉まらなければならないときでも毛穴が開きっぱなしになり、邪を体内に入れてしまいます。

お風呂上がりに汗をかいていて、風にあたりすぎて湯ざめするときの感覚とでも申しましょうか。
汗をかいているということは、体温が上がっているので自律神経がそれを調節しているということですが、私の場合、暑いから汗が出るのでしょうが、汗をかいているからこそ逆に涼しい、という感覚なんです。
体表はしっとりしていても冷たいような、開いた毛穴に風があたるので気持ちが悪く、悪風(おふう)を起こします。

ここのところ、完全に風はだめです。
頭に冷気が降りかかるものなら、後で何時間かは軽い頭痛がするくらい。
もうこの状態は、『衛表不固』の状態です。

こうなったら、玉屏風散に頼るしかない。
しかし、衛益顆粒を買うにもお金が乏しい、そうだ手持ちの中薬で作れるんじゃないの、ということを思い出しました。

ネットに載っていた組成を参考に、
黄耆 15g、白朮 10g、防風 8g、当帰 8g
を1300ccの水で煎じました。

当帰は、味にインパクトを与えて、かえって飲みやすいと思い、加味した組成を使いました。
冷めると飲みにくいけれど、温かいうちはセミナー中もお茶がわりにガブガブと。
あー、体が温まるわー。
玉屏風散の温まり方というのは、体の中から温めるというより、体表から奪われていく熱を閉じ込めることによって、自分自身の体温で温めるという感じです。

ホッカイロも毎日長時間使うと低温火傷を起こすし、自分自身の体温で温められればそれにこしたことはありません。
頭に降りかかる冷風は、スカーフや帽子やバンダナで頭皮をおおい、損傷している衛表を守って、と。
これで、何とか夏を乗り切れるかな。