苓姜朮甘湯(りょうきょうじゅつかんとう)
体全体が寒く感じるけど、それでも比較すると腰から下、大腿部や脛、ふくらはぎ、足背、足裏が、まるで冷たい水の中に入っているようです。
暑い外でテニスをした日なんて、喉が渇くので当然水分を取り、2時間で1升ぐらいは飲んでます。
だからといって、摂取した水分がすべて体の中から排泄されるわけではなく貯まっていて、下半身にそれが著しい。
だから下半身が重いし、デスクワークをしていると重力で当然下に水は溜まっていくので、冷房の入っていない室内でも、何だかふくらはぎ辺りがスースースカスカ冷たい感覚。
それは、まるで、体全体が冷たい水をたたえている瓶(かめ)のよう。
だから、冷房の入った場所に行くと、その寒冷感はさらに強く、他の人が多少涼しすぎるわぐらいのときに、私一人はフリースの膝掛け、ウールのブラウス、ウィンドブレーカーを上にはおり、諸陽の会である頭に風が来て頭痛がしそうになると、さらにフードもかぶっています。
外からは目立たないように、冬用のキャミとスパッツも付けてます。
一昨年具合が悪くなったときは、外の日陰でさえ寒すぎるくらいだったので、それに比べればまだましと思っていたのですが、どこもかしこも冷房している屋内のこと。
母とランチを食べにレストランを探すにも、冷房のきつくないところをチェックしなければなりません。
これは、尋常なことではありません。
冷しすぎの社会が悪いー、といっても、今現在の状態に体が堪えられなければ日常生活もままならず。
こんなときは牛車腎気丸(八味地黄丸に牛膝と車前子が入って下半身の利水ができて、もちろん体を温めます)かなあ、と漢方薬局に行き、症状を説明することしきり。
すると、ご夫妻ともども、「それだったら苓姜朮甘湯」とおっしゃいます。
どうやら、下半身が冷たい水の中にいるみたい、という症状のときにぴったりの方剤のようです。
散薬になっているのでお湯で飲めばオーケー、しっかり1日3回15日飲むつもりです。
『中医臨床のための方剤学』をひくと、こう書いてありました。
主治:腎著(寒湿停着肌肉)
『金匱要略』には、
腎著の病は、その人身体重く、腰中冷え、水中に座するが如く、形は水状のごとく、かえって渇せず、小便は自利し、飲食故のごときは、病は下焦に属す。身労し汗出で、衣裏は冷湿し、久久にしてこれを得る。腰以下冷痛し、腰重きこと五千銭をおびるがごとし、甘姜苓朮湯これを主る。
腰重きこと五千銭をおびるがごとし、で、思わずそのとおりと笑っちゃいました。
いいえて妙です。
組成は、乾姜、茯苓、白朮、甘草なので、別名は甘草乾姜茯苓白朮湯、甘姜苓朮湯、腎著湯となっています。
苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)というのもあり、生姜ではなく桂枝に代わり、こちらの主治は、水飲・脾陽不足、と記載されています。
脾に効くか、腎に効くかの差が出てるんですね。
一味で処方する意図が変わる、方剤っておもしろいですねえ。