草根木皮みな薬
 

薬膳や中医学を勉強している方、
知りたい方に送る薬膳や中医学情報

衛気営血弁証

衛気営血弁証は、清代の葉天士が「温熱論」で提示した温病の弁証方法で、温熱の邪が入裏傷陰する過程と治療方法を示し、傷寒との違いを明らかにした。一般に、邪は衛分〜気分〜営分〜血分の順に深く伝入し、心包に入って心神を蒙閉する「心包証」もみられる。
衛分証は、病位がもっとも浅く持続も短く病状は軽く「表証」に相当する。
気分証は、邪が裏に入り邪正相争が激しく起こる熱盛の時期で、病状は重い。
さらに邪熱が傷陰妄血すると営分証、血分証の段階になり、陰液虚損、心神擾乱、出血などが出現する重篤な状態に入り、病変が真陰、真陽に及ぶと死亡することが多い。

病証 病機 症候
衛分証(表熱) 風熱犯肺。
湿邪は上に受け、首先に肺を犯した状態で、湿熱の邪が手太陰肺経を侵襲し、衛気と争って肺衛を阻害した。
発熱、微悪風寒、頭痛、無汗あるいは有汗、咽の発赤腫脹と疼痛、軽度の口渇、咳嗽。
気分証 邪熱阻肺。
邪熱が肺経気分に入り熾盛になり、肺の宣粛を阻滞している状態。
発熱、強い口渇、汗が出る、咳嗽、呼吸促迫、胸苦しい、胸痛。
気分大熱(陽明熱盛)。
熱邪が陽明に入り邪正が激しく相争し、裏熱が熾盛のため津液を灼消するとともに汗として外泄させ、傷津を引き起しつつある病態。
高熱、激しい口渇、冷たい水分を欲する、顔面紅潮、多汗。
熱結腸胃(陽明熱結)
陽明で熾盛になった邪熱が腸内の糟粕と結びついて燥屎を形成し、腑気を阻鬱し神明を上擾する病態。
日晡潮熱、時にうわごと、便秘あるいは悪臭のある水様下痢、腹満、腹痛、拒按。
営分証 邪入営分。
邪熱が血分に侵入した軽浅の段階で、血中の津液を耗損するとともに心神を擾乱する病態。
夜間に増強する発熱と熱感、焦躁、時にうわごと、口渇がない、不鮮明な斑疹。
血分証 血熱動血。
邪熱が迫血妄行させる病態。
営分証の症候以外に、皮下出血(斑)、吐血、鼻出血、血便、血尿、不正性器出血。
熱盛動風。
邪熱が厥陰肝経に内陥し、引決を灼傷して肝風内動を引き起こした状態。
高熱、ふらつき、頭の脹痛、手足のひきつり、痙攣。
熱灼真陰。
温病末期で、邪熱が肝腎精血を耗損して真陰にも及んだ状態。
持続する微熱と熱感、手足心熱、口や咽の乾き。
心包証 邪熱が津液を煎熬し伴生した痰や元来の痰濁と結びつき、痰熱となって心包を蒙閉する病証。 意識障害、うわごと、昏睡、舌のこわばり、身体の灼熱感、喘鳴、四肢の冷え。