十二正経、任脈・督脈の流注
手の太陰肺経 | 中焦 (胃のあたり) に起こり、下って大腸に絡し、還って胃口を循り、隔を通過し、肺に属し、喉部に至り、横行して胸部外上方 (中府) に至り、腋下に出て、上肢内側前縁に沿って下り、肘を過ぎ、腕に至って寸口に入り (魚際) を上り、第一指橈側末端の (少商) に出る。 その支なるものは、手腕の橈骨茎状突起後方の (列缺) から分出し、直行して第二指の橈骨側末端に至り、(商陽) で手の陽明大腸経と交わる。 |
---|---|
手の陽明大腸経 | 第二指の橈側末端 (商陽) より起こり、手背を通って上肢外側前縁に至り、肩に上り、第七頸椎棘突起の下 (大椎穴・督脈) を経て下り、鎖骨上窩 (缺盆・胃経) に入り、胸中に入って肺に絡し、隔を通過して下行し、大腸に属す。 分支は、鎖骨上窩 (缺盆・胃経) から上行し、頸部を経て頬部に至り、下歯中に出て左右に別れて口を挟み、(人中穴(水溝・督脈)) で左右が交叉し、鼻孔を挟んで鼻翼両則の (迎香) に至り、足の陽明胃経と交わる。 |
足の陽明胃経 | 鼻傍の (迎香穴) に起こり、鼻を挟んで上行し、鼻根部で左右が交叉し、目の内眦 (睛明・膀胱経) で交会し、鼻外側に沿い下行して上歯の中に入り、還って出て唇をめぐり、下って (承漿穴・任脈) で左右が交叉し、分かれて下顎の後下方に沿って下り、(大迎穴) を経て、耳前を過ぎ、髪際に沿い前額に至り、(神庭・督脈) で交会する。 分支は、(大迎) の前から下行し、頸部の喉頭外側の (人迎) に至り、喉をめぐり (大椎穴・督脈) で交会し、折れて前方に行き (缺盆) に入り、隔を下り、胃に属し、脾に絡す。 直行支は、(缺盆) から体表に出て、乳中線に沿って下行し、臍を挟み、下行して鼠蹊部上方の (気衝) に入る。 別の分支は、胃の下口から分かれ、腹部深層を経て、下行して (気衝) に至り、直行支と会合したのち、大腿前側を下行し、膝蓋に至り、下腿外側前縁に沿って下行して足背に至り、、第二趾外側端 (児[) に入る。 他の分支は、膝下三寸の (足三里) に起こり、下行して第三趾外側端に入る。 もう一つの分子は、足背の (衝陽) から分かれ、前行して第一趾内則端に入り、(隠白穴) で足の太陰脾経と交わる。 |
足の太陰脾経 | 第一趾内側端 (隠白) に起こり、趾内側に沿い、上行して内果前方に至り、脛骨後縁に沿い上行し、内果の上方八寸で交叉し足の厥陰肝経の前に出、大腿内側縁に沿い上行し、腹壁を経て (腹哀) で腹中に入り、脾に属し胃を絡す。 分支は、(腹哀) の外側から分かれ、外上方を行き腋前 (周栄) に至り、のち下方に折れて腋下の (大包) に至る。再び前上方に折れて、 (中府・肺経) を経て裏に入り、上行して咽を挟み、舌本に連なり、舌下に散じる。 別の分支は、胃から直上して隔を通過し、心中に注入し、手の少陰心経と交わる。 |
手の少陰心経 | 心中に起こり心系に属し、横隔膜を下って小腸に絡する。
分支は、心系から分かれ、食道を挟み、上行して目系に連なる。 直行支は、心系から直行して肺に上り、腋下に出て、上肢の屈側後縁に沿い、肘を過ぎ、腕関節尺側の豆状骨を経て、第五指橈側末端 (少衝) に至り、手の太陽小腸経と交わる。 |
手の太陽小腸経 | 第五指尺側末端 (少沢) に起こり、手背・上肢尺側後縁に沿って上行し、肘を過ぎ、上行して肩甲をめぐり、(大椎穴・督脈) と交会し、前行して (缺盆・胃経) に入り、心に絡し、食道に沿い、隔を下り胃に至り、下行して小腸に属す。 分支は、(缺盆・胃経) から頸に沿い頬に上り、目尻から耳中に入る。 別の分支は、頬から別れて眼窩下縁を経て目の内眦に至り、(睛明)で足の太陽膀胱経と交わる。 |
足の太陽膀胱経 | 目の内眦 (晴明) に起こり、額を上行し、頭頂の (百会・督脈) で交会する。 分支は、頭頂で分かれ、両則に下行して耳上角に至る。 直行支は、頭頂で分かれて後方を後頭骨に至り、頭蓋内に進入し、脳に絡し、再び外に出て、分かれて項を下り、下行して (大椎・督脈) で交会し、脊柱を挟み再び左右に分かれ、腰 (腎兪) に至り、腎に絡し、膀胱に属す。 別の分支は、項で分かれ、肩甲内側を経て下行し、(附分) から脊柱を挟み下行して、股関節に至り、大腿後側を経て膝窩に至って、前の分支と会合し、下り腓腹筋中に至り、外下方に向かい足の外果後部に至り、足背外側に沿い第五趾外側末端 (至陰) に至り、足の少陰腎経と交わる。 |
足の少陰腎経 | 第五趾の下に起こり、足底心 (湧泉) に斜行し、内果後部に至り踵の中に入り、下腿脛骨後縁に沿い上行して膝窩内側に至り、再び大腿内側を上行して尾骨先端の (長強・督脈) に交会し、脊を貫いて腰に至り、腎に属し、膀胱に絡す。 分支は、脊内から分出し、会陰を経由して上行し、腹を経て胸を通り、鎖骨下の (兪府) に止まる。 直行支は、腎から上り、肝と横隔膜を貫き、肺に入り、咽を循って舌本を挟む。 別の分支は、肺中で分かれ、心に絡し、胸中に注ぎ、手の厥陰心包経と交わる。 |
手の厥陰心包経 | 胸中に起こり、心包に属し、下行しながら上焦、中焦、下焦と歴絡する。
分支は、胸中で分かれ、横行して腋下三寸の (天池) に至り、上って腋下に至り、上肢屈側の中線に沿って肘に入り、腕を過ぎ、掌中 (労宮 ) に至り、第三指尺側を循って末端 (中衝) に出る。 別の分支は、掌中 (労宮) から分かれ、第四指尺側に沿って先端に出、(関衝) で手の少陽三焦経と交わる。 |
手の少陽三焦経 | 第四指尺側末端 (関衝) に起こり、指の同側に沿って手腕背面に至り、前腕伸側中線を経て、肘を過ぎ、肩に上り、前方に向かい (缺盆・胃経) に入り、胸中に分布し、心包に散絡し、隔を通過し、順次上焦、中焦、下焦に属す。 分支は、胸中で分かれ、上行して (缺盆・胃経) に出、項を上り、耳後に沿い直上して耳上角に出、前行し額を経て眼窩の下に至る。 別の分支は、耳後で分かれ、耳中に進入し、耳前に出て、目の外眦に至り、足の少陽胆経と交わる。 |
足の少陽胆経 | 目の外眦に起こり、耳前の (聴会) を過ぎ、上行して頭角に至り、耳後 (完骨) に下り、折れて上行し、頭額部を経て眉上 (陽白) に至り、再び後方に折れて (風池) に至り、下行して肩に至り (大椎・督脈) に交会し、前行して (缺盆・胃経) に入る。 分支は、耳後で分かれ耳中に進入し、耳前に出、目の外眦後方に至る。 別の分支は目の外眦で分かれ、下行して (大迎) に至り、折れて眼窩の下に至り、さらに折れて後下方に向かい、頬を過ぎ、頚に下り、(缺盆・胃経) で本脈と合し、裏に入り下行して胸中に入り、隔を貫き、肝に絡し、胆に属し、脇内を下行して鼠蹊部に出、陰毛の際を通り、横行して(環跳)に至る。 直行支は、(缺盆・胃経) から腋を下り、側胸に沿い、股・膝・脛を過ぎて外果の前に至り、足背に沿い第四趾外側末端 (竅陰 )に出る。 もう一つの分支は、足背 (臨泣) から分かれ、第一趾の爪後の発毛部に出て、足の厥陰肝経と交わる。 |
足の厥陰肝経 | 第一趾背側の発毛部外側端に起こり、足背に沿い、内果上方八寸で交叉して足の太陰脾経の後に出、膝を過ぎ、股の内側中線に沿い上行して陰毛中に進入し、陰器を通り、小腹に至り、外上方に向かい第11肋骨に至り、腹に入り、胃を挟み、肝に属し胆を絡し、上って隔を貫き、脇肋に分布し、喉に沿い、鼻の内竅に進入し、上行して目系に連なり、額に出、上行して頭頂部で督脈と会する。
分支は、眼球のあたりから頬に出て、口唇をめぐる。 別の分支は、肝から分かれ、上って隔を貫き、肺中に注ぎ、手の太陰肺経と交わる。 |
任脈 | 小腹の (中極) 下面 (女性では胞中) に起こり、下り会陰に出、腹部正中線に沿い、直上して咽喉に至り、さらに上に向かい (承漿) に至り、上口唇をめぐり、上って (齦交) で督脈と相会し、さらに上に向かって顔面の両則をめぐり、両目の下で止まる。 本経脈は、さらに各陰経脈と交会する。 分支は、小腹正中から脊を貫き、上方に向かい背部を循行する。 |
督脈 | 小腹(下腹中央)内に起こり、下行して会陰に出、後方に向かい尾底部に進入し、(長強) から脊柱を循り上行し、頸部に至り (風府) から脳に入り、また項部から頭部正中線に沿って上り、前方へ下行し、上歯の (齦交 ) に止まる。 本経脈は脊裏に入り、諸陽経と交会して脳に入る。 第一支は、尾骨端で足の少陰腎経、足の太陽膀胱経の脈気と会合し、脊を貫き腎に属する。 第二支は、小腹から直上して臍を貫き、さらに上行してここを貫き、咽喉に至って衝脈の脈気と会合し、上行して頬部に達し、口唇をめぐり、鼻で連結する。 第三支は、足の太陽膀胱経とともに目の内眦に起こり、上行して前額に至り、頭頂で左右が交会して脳に入り、再び分かれて頚項を下り、脊柱両傍に沿って下行し腰中に至り、腎と連係する。 |