麝香(じゃこう)
- 分類
- 開竅薬
- 出典
- 神農本草経
- 処方用名
- 麝香、射香、寸香、元寸、当門子、元寸香
- 基原
- シカ科 Cervidae のジャコウジカ Moschus moschiferus L..k 雄の袋状腺囊の分泌物。市場品は通常多くの混入物により喜捨されており、ジャコウ特有のムスコン臭が強く、尿臭のないものが良品とされる。
- 性味
- 辛/温
- 帰経
- 心、脾
- 効能
- 開窺醒神、活血散結、止痛、催産
1.熱入心包による意識傷害、卒中、驚癇などの閉証に用いる。
麝香は香気が強烈なので、開竅通閉の効果が著しくて、救急蘇生の主薬として使用されている。
清熱の薬物を配伍して凉開の方剤となる。
たとえば、犀角、牛黄などを配伍して至宝散となる。
虚寒の薬物を配伍して、温開の方剤となる。
たとえば、蘇合香、丁香などを配合した蘇合香丸。
2.内服あるいは外用し、掻痒腫毒の治療に用いる。
麝香には活血散結、消腫止痛の作用があり、解毒、活血薬を配伍すると、以上の症状に効果がある。
たとえば、醒消丸は麝香に雄黄、乳香を配合したものである。
麝香の活血散結の効能を利用し、他の活血袪瘀薬を配伍して腹腔内腫瘍、月経閉鎖の治療に用いる。
3.心腹の激痛、打撲損傷および痺証の疼痛などに用いる。
麝香には活血散結、通絡止痛の作用があるので、内服も外用も効果がある。
たとえば麝香に木香、桃仁などの行気活血薬を配伍した麝香湯は、狭心症の治療に用いる。
4.死胎あるいは胎盤が排出されない場合に用いる。
麝香には催生および子宮興奮作用があり、桂皮を配合して使用する。例:香桂散。 - 注意
- 妊婦には禁忌。
- 参考
- Moschus moschiferus の画像