草根木皮みな薬
 

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黄耆(おうぎ)

黄耆
分類
補気薬
出典
神農本草経
処方用名
黄耆、綿耆、綿黄耆、箭耆、生黄耆、炙黄耆、オウギ
基原
マメ科 Leguminosae のキバナオウギ Astragalus membranaceus BGE.、ナイモウオウギ A. mongholicus BGE. などの根
性味
甘/温
帰経
脾、肺
効能
補気昇陽、固表止汗、托毒排膿、利水退腫
1.脾肺気虚あるいは中気下陥の証に用いる。
脾は生化の源であり、肺は一身の気を主るものであるので、もし脾肺気虚であれば、食欲不振、泥状便、息切れ、無力などの症状が現れる。
中気下陥の証を兼ねれば、慢性下痢、脱肛、子宮脱などの症状が現れ、気虚で血液を統摂することができなければ、便血、崩漏などの症状が現れる。
黄耆は補気の主薬で、脾肺の気を補うことができるし、陽気を昇挙することもできるので、以上の諸症状の治療に使用することができる。
ただし気虚の症状によって、違った配合を考えなければならない。
人参と配合して、久病後の虚弱に用い、白朮と配合して、脾気虚弱による食欲不振、泥状便あるいは慢性下痢に用い、当帰と配合して、気血両虚証に用い、附子と配合して、気虚陽衰、畏寒、汗が多いなどの症状に用いる。
中気下陥による慢性下痢、脱肛、子宮脱などの症状に対して、黄耆と人参白朮升麻などを配合し、補気昇陽の作用を強める。例:補中益気湯
気虚で血液を統摂することができず生じた便血、崩漏などの症状に対して、人参龍眼肉、酸棗仁などを配合する。例:帰脾湯
2.衛気虚による自汗症に用いる。
黄耆には益気固表の作用があり、牡蠣小麦麻黄根を配合して、牡蠣散となり、自汗症の治療に用いる。
乾地黄黄柏など滋養降火の薬物を配合して、陰虚による盗汗にも効果がある。例:当帰六黄湯
3.気血不足による自潰排膿しない癰疽、自潰したが傷口がなかなか癒合しない癰疽の治療に用いる。
黄耆には托毒生肌の効能があり、当帰穿山甲p角刺などを配合して、方剤は透膿散となり、自潰排膿できない癰疽に使用する。
当帰人参桂皮などを配合して、方剤は十全大補湯となり収斂、生肌に使用する。
4.浮腫、小便不利に用いる。
黄耆は利尿して浮腫を消退させることができるので、気虚、水湿停滞による肢体の浮腫、顔面の浮腫、小便不利の症状に、防已白朮などを配合する。例:防已黄耆湯
黄耆に桂枝、白芍、生姜大棗を配合した黄耆桂枝五物湯は、肢体のしびれに使用し、羗活防風当帰姜黄などを配合した蠲痺湯は、肩と上肢の風湿痺痛の治療に使用する。
黄耆を主として、また当帰川芎桃仁紅花などの活血化瘀薬を配合し、方剤は、補陽還五湯となり、卒中後遺症の半身不随に用いる。
黄耆に乾地黄、麦門冬天花粉などの養陰生津薬を配合し、益気生津の効果を強めて、消渇証に用いる。
注意
補気昇陽の効能があり、熱象を扶助しやすい。
また止汗の効能もあるので、表実邪盛、気滞湿阻、食積内停、陰虚陽亢、癰疽の初期などの昇降には使用すべきではない。
コメント
朝鮮人参と並んで二大補気薬として有名ですが、日本人にはあまり馴染みがありません。
『宮廷女官チャングムの誓い』の中で、チャングムがキバナオウギの栽培に成功するというシーンがありますが、16世紀の朝鮮王朝では非常に高価で貴重な薬だったようです。
参考
Astragalus membranaceus の画像