白朮(びゃくじゅつ)
- 分類
- 補気薬
- 出典
- 神農本草経
- 処方用名
- 白朮、生白朮、炒白朮、焦白朮、野於朮、於朮、冬朮、ビャクジュツ
- 基原
- キク科 Compositae のオオバナオケラ Atractylodes ovata DC. の根茎。
このほか、日本薬局方ではオケラ A. japonica KOIDZ. の周皮を除いた根茎を規定しており、日本では一般にこれが流通している。 - 性味
- 苦、甘/温
- 帰経
- 脾、胃
- 効能
- 補気健脾、燥湿利水、止汗安胎
1.脾虚気弱、運化不調による食欲不振、泥状便、脘腹膨満、倦怠無力などの症に用いる。
白朮は補気健脾の主薬で、人参、茯苓、炙甘草などを配合して、脾虚気弱の治療によく使用する。例:四君子湯。
党参、乾姜、炙甘草を配合して、理中湯となり、脾胃虚寒、脘 腹冷痛、泥状便の症状に適用する。
脾虚で胃に不消化物(食滞)があり、食欲不振、脘 腹が脹って苦しいときに、白朮の健脾の効能に、枳実の膨満を除く作用を加えた枳朮丸を用いる。
2.脾虚により水湿停留して痰飲水腫となるなどの証に用いる。
白朮は補気健脾することができ、燥湿利水もできるので、痰飲水腫を治療する良い薬物である。
たとえば、桂枝、茯苓、炙甘草を配合した苓桂朮甘湯は、痰飲を除くことができ、陳皮、大腹皮、茯苓皮を配合して水腫を消退することができる。
3.脾虚による水湿停留して痰飲水腫となるなどの証に用いる。
白朮には益気健脾、固表止汗の効果があり、黄耆に浮小麦を配合して自汗症に用いる。
4.妊婦の脾虚気弱、胎気不安証に用いる。
白朮には補気健脾による安胎の効能があるので、妊婦に使用することもできる。
妊娠して内熱があれば、白朮に黄耆を配合して、清熱安胎の効果を用いる。
気滞胸原膨満を兼ねる者に、蘇梗、縮砂、陳皮などの理気薬を配合する。
気虚倦怠無力を兼ねる者に、党参、茯苓、炙甘草などの補気薬を配合する。
血虚、眩暈、動悸を兼ねる者に、熟地黄、当帰、白芍などの補血薬を配合する。
腰がだるい、腹部が痛い、胎気不固を兼ねるものに、杜仲、川続断、阿膠などを配合して、保胎の効能を強めて用いる。 - 注意
- 白朮には燥湿傷陰の作用があり、中焦有湿の症に適する。
陰虚内熱あるいは津液消耗による燥渇者には禁忌とすべきである。 - コメント
- 白朮は、気を補い利水できるので、私の証にとっては出番の多い中薬です。
蒼朮はホソバオケラやシナオケラの根茎で、芳香化湿薬です。
本によっては、何薬かという分類は微妙に異なったりしますが、植物や動物の有機体は、いろいろな成分を含んでいるもの。
どの薬効が高いかによって、分類する人の差が出てくるのでしょう。
しかし、アバウトなところと、変に細かいところが混在する世界、初心者にとってはわからないことだらけです。
白朮は、京都八坂神社が大晦日に焚くおけら(白朮)で有名です。
おけらの火をつけた火縄を消えないようにクルクルまわしながら、人々は家に持ち帰り、かまどの火として無病息災を願います。
私も一度火縄をクルクルしながら、タクシーの窓に火縄を垂らしてホテルに帰ったことがあります。
普通、火のついたものをタクシーに持ち込むなんてことはできないはずですが、さすが京都、何の問題もありませんでした。
白朮は、服や本のかびを防ぐためにいぶして使ったそうです。 - 参考
- Atractylodes ovata の画像
Atractylodes japonica の画像