当帰(とうき)
- 分類
- 養血薬
- 出典
- 神農本草経
- 処方用名
- 当帰、全当帰、西当帰、当帰身、当帰尾、当帰髭、酒当帰、土炒当帰、トウキ
- 基原
- セリ科 UmbelliferaeのAngelica sinensis DIELS の根。
根頭部を帰頭、主根部を当帰身(帰身)、支根を当帰尾(帰尾、当帰髭)、帰身、帰尾を含めたものを全当帰という。
日本産は日本野生の同属植物ニホントウキ A. acutiloba KITAGAWA を栽培化したもので、現在日本市場の主流を占める。 - 性味
- 甘、辛/温
- 帰経
- 心、肝、脾
- 効能
- 補血、活血、止痛、潤腸
1.血虚による各病症に用いる。
補血に良い効果がある。
常に補気薬を配合する。
たとえば、当帰補血湯は、すなわち当帰と黄耆の配合で、血虚証に用いる。
2.生理不順、閉経、月経痛に用いる。
当帰は、補血、活血のほか、止痛作用もよく、婦人科の主薬である。
たとえば当帰に川芎、熟地黄、白芍を配合したものが四物湯で、生理を調える基本方剤である。
閉経には、桃仁、紅花など化瘀通経薬を加えて、生理痛には、香附子、延胡索などの降気止痛薬を加えて用いる。
3.虚寒による腹痛、瘀血による疼痛、打撲傷、痺証の疼痛やしびれなどに用いる。
当帰は血虚、血瘀による疼痛に適して、かつ散寒の作用もある。
たとえば当帰建中湯、当帰生姜羊肉湯は、どちらも当帰を虚寒による腹痛に使用したものである。
瘀血による肢体の疼痛を治療する活絡効霊丹は、丹参、没薬、乳香を配合したものである。
大黄、桃仁、紅花を配合した復元活血湯は、打撲、捻挫の外傷に使用する。
関節の痺痛あるいは四肢のしびれには、羗活、桂枝、秦艽などの虚風湿薬を配合する。例:蠲痺湯。
4.慢性化膿症に用いる。
当帰は活血、補血、止痛の効能によって腫脹を消退し、膿を排出し、組織再生を促進するので、 外科の常用薬でもある。
たとえば仙方活命飲は、銀花、赤芍薬、炮穿甲などを配合した、消腫止痛の作用のある方剤である。
黄耆、人参、熟地黄、桂皮などを配合した十全大補湯は、膿を排出し組織再生を促進する効果がある。
5.血虚腸燥による便秘に用いる。
多くは肉蓯蓉、生何首鳥、麻子仁などの潤腸薬を配合する。 - 注意
- 湿邪停滞による腹脹、水様便には禁忌である。
- コメント
- 血中の気薬と呼ばれる当帰。
私もハンドルネームを当帰膠としているとおり、ずい分お世話になっております。
婦人の妙薬で、日本人にとっては当帰芍薬散はあまりにも有名な方剤です。
味は麦茶っぽいというか、独特のものがありますが、私は好きな味です。
当帰を煎じて砂糖を加え当帰シロップにしたものは、黒蜜代わりに使えて便利です。
妹は、結構おいしいとの評でした。 - 参考
- Angelica sinensis の画像
Angelica acutiloba の画像