草根木皮みな薬
 

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神農本草経中品

No. 名前 読み 味/性 説明 主治
121 雄黄 うおう、ゆうおう 苦/平 鶏冠石のこと、天然に産する硫化鉱物 主寒熱鼠瘻、悪瘡、疽、痔死肌、殺精物悪鬼邪気、百虫毒、勝五兵。錬食之、軽身神仙。一名黄金石。生山谷。
注)勝五兵−五兵。古代五種兵器。
錬−水煮。
122 雌黄 しおう 辛/平 三硫化砒素の塊 主悪瘡、頭禿、痂疥、殺毒虫蝨、身痒、邪気諸毒。錬之久服軽身、増年不老。生山谷。
123 石硫黄 せきいおう 酸/温 硫黄のこと、普通は黄色のかたまり 主婦人陰蝕、疽、痔、悪血、堅筋骨、除頭禿。能化金、銀、銅、鐵奇物。生山谷。
注)奇−特殊。
124 水銀 すいぎん 辛/寒 銀白色の金属光沢を持つ液状金属 主疥瘙痂瘍、白禿、殺皮膚中虫蝨、墮胎、除熱、殺金、銀、銅、錫毒、鎔化還復為丹。久服神仙不死。生平土。
注)白禿−『諸病源候論・毛髪病諸候・白禿候』謂在頭生瘡、有虫、白痂、甚痒、其上発并禿落不生、故謂之白禿。
125 石膏 せっこう 辛/微寒 天然の含水硫酸カルシウム 主中風寒熱、心下逆気、驚、喘、口乾舌焦不能息、腹中堅痛、除邪鬼、産乳、金創。生山谷。
126 磁石 じしゃく 辛/寒 天然磁石のこと、磁鉄鉱 主周痺風湿、肢節中痛、不可持物、洗洗酸痟、除大熱煩満及耳聾。一名玄石。生山谷。
注)周痺−身体多所発痺。
洗洗−洗同酒。
127 凝水石 ぎょうすいせき 辛/寒 寒水石といい紅石膏や方解石が用いられる 主身熱、腹中積聚邪気、皮中如火焼、煩満、水飲之。久服不飢。一名白水石。生山谷。
128 陽起石 ようきせき 鹹/微温 角閃石族の鉱物陽起石と陽起石石綿 主崩中漏下、破子蔵中血、癥瘕結気。寒熱、腹痛、無子、陰痿起、補不足。一名白石。生山谷。
129 理石 りせき 辛/寒 繊維状の石膏 主身熱、利胃解煩、益精明目、破積聚、去三虫。一名立制石。生山谷。
注)利胃−和。
130 長石 ちょうせき 辛/寒 硬石膏 主身熱、四肢寒厥、利小便、通血脈、明目、去翳眇、下三虫、殺蠱毒。久服不飢。一名方石。生山谷。
131 石胆 せきたん 酸/寒 胆礬のこと、硫酸銅の決勝 主明目、目痛、金創、諸癇痙、女子陰蝕痛、石淋寒熱、崩中下血、諸邪毒気、令人有子。錬餌服之不老、久服増寿神仙、能化鐵為銅成金銀。一名[比十]石。生山谷。
132 白青 はくしょう、はくせい 甘/平 淡緑色の銅を含む鉱物の一種 主明目、利九竅、耳聾、心下邪気、令人吐、殺諸毒、三虫。久服通神明、軽身、延年不老。生山谷。
133 扁青 へんしょう、へんせい 甘/平 藍銅鉱 主目痛、明目、折跌、癰腫、金創不瘳、破積聚、解毒気、利精神。久服軽身不老。生山谷。
134 膚青 ふしょう、ふせい 辛/平 白青に似たものではなないか 主虫毒及蛇、菜、肉諸毒、悪瘡。生川谷。
135 乾薑 かんきょう 辛/温 ショウガ科の多年草、ショウガの根茎 主胸満、咳逆上気、温中止血、出汗、逐風湿痺、腸澼下痢、生者尤良。久服去臭気、通神明。生山谷。
136 枲耳実 しじじつ 甘/温 蒼実子といいキク科の1年草、オナモミの総苞をつけたままの果実 主風頭寒痛、風湿周痺、四肢拘攣痛、悪肉死肌。久服益気、耳目聡明、強志、軽身。一名胡枲、一名地葵。生川谷。
137 葛根 かっこん 甘/平 マメ科の多年草、クズの根 主消渇、身大熱、嘔吐、諸痺、起陰気、解諸毒。葛穀、治下痢十歳己上。一名雞斉根。生川谷。
注)葛穀−為葛的種子。
138 栝楼根 かろこん、かろうこん 苦/寒 ウリ科の多年草、チョウセンカラスウリの根 主消渇、身熱、煩満大熱、補虚安中、続絶傷。一名地楼。生川谷及山陰地。
139 苦参 くじん 苦/寒 マメ科の多年草、クララの根 主心腹結気、癥瘕、積聚、黄疸、溺有余瀝、逐水、除癰腫、補中明目止涙。一名水槐、一名叫苦[クサ識]。生山谷及田野。
140 紫胡 さいこ 苦/平 セリ科の多年草、ミシマサイコの根 主心腹去腸胃中結気、飲食積聚、寒熱邪気、推陳致新。久服軽身明目、益精。一名地薫。生川谷。
141 芎藭 きゅうきゅう 辛/温 川芎といいセリ科の多年草川芎の根茎 主中風入脳頭痛、寒痺筋攣緩急、金創、婦人血閉無子。生川谷。
142 当帰 とうき 甘/温 セリ科の多年草、当帰の根 主咳逆上気、温瘧寒熱洗洗在皮膚中、婦人漏下絶子、諸悪瘡瘍、金創、煮飲之。一名乾帰。生川谷。
143 麻黄 まおう 苦/温 マオウ科の小低木、草麻黄、木賊麻黄、中麻黄の地上茎 主中風、傷寒頭痛、温瘧、発表出汗、去邪熱気、止咳逆上気、除寒熱破癥堅積聚。一名龍沙。生山谷。
144 通草 つうそう 辛/平 アケビ科の藤本、アケビの茎 主去悪虫、除脾胃寒熱、通利九竅、血脈、関節、令人不忘。一名附支。生山谷。
注)悪−糞便。
145 芍薬 しゃくやく 苦/平 キンポウゲ科の多年草シャクヤクの根 主邪気腹痛、除血痺、破堅積、寒熱、疝瘕、止痛、利小便、益気。生山谷及丘陵。
146 蠡実 れいじつ 甘/平 アヤメ科の多年草、ネジアヤメの種子 主皮膚寒熱、胃中熱気、風寒湿痺、堅筋骨、令人嗜食。久服軽身。花、葉、去白虫。一名劇草、一名三堅、一名豕首。生川谷。
147 瞿麦 くばく 苦/寒 ナデシコ科の多年草、セキチク、エゾカワラナデシコの茎や葉 主関格、諸癃結、小便不通、出刺、決癰腫、明目去翳、破胎墮子、閉血。一名巨旬麦。生川谷。
注)関格−『諸病源候論』陰陽気否結、腹内脹満、気不行于大小腸、故関格而大小便不通也。
決−破裂。
閉血−閉経。
148 玄参 げんじん 苦/微寒 ゴマノハグサ科の多年草、ゴマノハグサと同属植物の玄参の根 主腹中寒熱、積聚、女子産乳余疾、補腎気、令人目明。一名重台。生川谷。
注)女子産乳余疾−余剰、多出来。
149 秦艽 しんぎょう、じんぎょう 苦/平 リンドウ科の多年草、リンドウ属植物秦艽や小秦艽などの根 主寒熱邪気、寒湿風痺、肢節痛、下水、利小便。生川谷。
注)下−去除。
150 百合 ひゃくごう 甘/平 ユリ科の多年草、カタユリ、細葉百合、ヒメユリなどの鱗茎 主邪気腹脹心痛、利大、小便、補中益気。生川谷。
151 知母 ちも 苦/寒 ユリ科の多年草、ハナスゲの根茎 主消渇熱中、除邪気、肢体浮腫、下水、補不足、益気。一名蚳母、一名連母、一名野蓼、一名地參、一名水參、一名水浚、一名貨母、一名貨母。生川谷。
注)熱中−体内有熱。
152 貝母 ばいも 辛/平 ユリ科の多年草、アミガサユリ浙貝母、川貝母、甘粛貝母、平貝母、伊貝母などの鱗茎 主傷寒煩熱、淋瀝邪気、疝瘕、喉痺、乳難、金創風痙。一名空草。
注)乳難−難産。
153 白芷 びゃくし 辛/温 セリ科の多年草ヨロイグサ、エゾノヨロイグサの根 主女人漏下赤白、血閉陰腫、寒熱、風頭侵目涙出、長肌膚潤沢、可作面脂。一名芳香。生川谷。
154 淫羊藿 いんようかく 辛/寒 メギ科の多年草イカリソウ、ホザキノイカリソウの全草 主陰痿絶傷、茎中痛、利小便、益気力、強志。一名剛前。生山谷。
155 黄芩 おうごん 苦/平 シソ科の多年草コガネバナの根 主諸熱、黄疸、腸澼泄利、逐水、下血閉、悪瘡疽蝕、火瘍。一名腐腸。生川谷。
156 石龍芮 せきりゅうぜい 苦/平 キンポウゲ科の2年草、タガラシの果実 主風寒湿痺、心腹邪気、利関節、止煩満。久服軽身明目、不老。一名魯果能、一名地椹。生川澤石辺。
157 芽根 ぼうこん 甘/寒 イネ科の多年草チガヤの根茎 主労傷虚羸、補中益気、除瘀血、血閉、寒熱、利小便。其苗、主下水。一名蘭根、一名茄根。生山谷、田野。
注)血血−血。
158 紫菀 しおん 苦/温 キク科の多年草、シオンの根と根茎 主咳逆上気、胸中寒熱結気、去蠱毒、痿蹶、安五蔵。生山谷。
注)痿蹶−痿。
159 紫草 しそう 苦/寒 ムラサキ科の多年草で、軟紫草は新疆紫草の根、硬紫草はムラサキ紫草の根 主心腹邪気、五疸、補中益気、利九竅、通水道。一名紫丹、一名紫芙。生山谷。
注)五疽−指御酒黄疽病。
160 茜根 せんこん 苦/寒 アカネ科の多年草アカネの根 主寒湿風痺、黄疸、補中。生山谷。
161 敗醤 はいしょう 苦/平 キク科の多年草、ハチジョウナ、アブラナ科の1年草グンバイナズナの全草 主暴熱、火瘡赤気、疥瘙、疽、痔、馬鞍熱気。一名鹿腸。生山谷。
162 白鮮 はくせん 苦/寒 ミカン科の多年草白鮮の根の皮 主頭風、黄疸、咳逆、淋瀝、女子陰中腫痛、湿痺死肌、不可屈伸、起止行歩。生山谷。
163 酸漿 さんしょう 酸/平 ナス科の多年草ホオズキの全草 主熱煩満、定志益気、利水道、産難、呑其実立産。一名醋漿。生川澤。
164 紫参 しじん 苦/寒 タデ科の多年草イブキトラノオの根茎 主心腹積聚、寒熱邪気、通九竅、利大小便。一名牡蒙。生山谷。
165 蒿本 こうほん 辛/温 セリ科の多年草遼蒿本や蒿本の根と根茎 主婦人疝瘕、陰中寒腫痛、腹中急、除風頭痛、長肌膚、悦顏色。一名鬼卿、一名地新。生山谷。
166 狗脊 くせき 苦/平 タカワラビ科の大形シダ植物タカワラビの根茎 主腰背強、機関緩急、周痺寒湿膝痛、頗利老人。一名百枝。生川谷。
167 萆薢 ひかい 苦/平 ヤマノイモ科のタネンソヴオニドコロの肥厚した根茎 主腰脊痛、強骨節、風寒湿周痺、悪瘡不瘳、熱気。生山谷。
注)不瘳−不癒合。
168 白兔藿 はくとかく 苦/平 つる草の一種 主蛇虺、蜂、躉、猘狗、菜、肉、蠱毒、鬼[疒主]。
注)蛇虺−蜥蜴類動物或蝮蛇。
躉−蠍。
169 営実 えいじつ 酸/温 バラ科の落葉低木ノイバラの偽果や果実 主癰疽、悪瘡結肉、跌筋敗瘡、熱気陰蝕不瘳、利関節。一名墻薇 、一名墻麻、一名牛棘。生川谷。
170 白薇 びゃくび、はくび 苦/平 ガガイモ科の多年草フナバラソウ、シロバナオオカモメズルの根 主暴中風、身熱肢満、忽忽不知人、狂惑、邪気寒熱、疼、温瘧洗洗、発作有時。生川谷。
171 薇銜 びがん、びかん 苦/平 草本の一種らしい 主風湿痺歴節痛、驚癇吐舌、悸気、賊風鼠瘻、癰腫。一名靡街。生川澤。
注)歴節痛−傷風後全身関節疼痛。
賊風−冬至之日、有疾風从南方来、菜曰虚風。此風能傷害于人、故言賊風也。
172 翹根 ぎょうこん 甘/寒 モクセイ科の落葉低木レンギョウの根 主下熱気、益陰精、令人面悦好、明目。久服軽身耐老。生平澤。
173 水萍 すいひょう 辛/寒 ウキクサ科の1年草ウキクサ、コウキクサの全草 主暴熱身痒、下水気、勝酒、長須髮、止消渇。久服軽身。一名水花。生池澤。
174 王瓜 おうか 苦/寒 ウリ科の多年草オオスズメウリの根 主消渇、内痺瘀血月閉、寒熱酸疼、益気、愈聾。一名土瓜。生平澤。
175 地楡 ちゆ、じゆ 苦/微寒 バラ科の多年草ワレモコウの根 主婦人乳痙痛、七傷、帯下病、止痛、除悪肉、止汗、療金創。生山谷。
176 海藻 かいそう 苦/寒 ホンダワラ科の海藻ホンダワラと同属の褐藻の羊栖菜、海蒿子の全草 主癭瘤気、頸下核、破散結気、癰腫、癥瘕、堅気腹中上下鳴、下十二水腫。一名落首。生池澤。
注)十二−虚数、言其多也。
177 沢蘭 たくらん 苦/微温 シソ科の多年草シロネの全草 主乳婦内衄、中風余疾、大腹水腫、身面、四肢浮腫、骨節中水、金創、癰腫瘡膿。一名虎蘭、一名龍棗。生大澤傍。
注)内衄−内臓凝滞。
178 防已 ぼうい 辛/平 ツヅラフジ科の多年草つる草、ハスノハカズラと同属植物の粉防已、ウマノスズクサ科の多年草つる草オオバウマノスズクサと同属植物の広防已などの根 主風寒温瘧、熱気諸癇、除邪、利大小便。一名解離。生川谷。
注)風寒温瘧−『諸病源候論・瘧病諸候・温瘧候』先傷于寒而後傷于風、故先寒後熱、病以時作、菜曰寒瘧。先傷于風而後傷于寒、故先熱而後寒、亦以時作、名曰温瘧。
179 牡丹 ぼたん 辛/寒 キンポウゲ科の落葉低木ボタンの根の皮 主寒熱、中風瘛瘲、痙、驚、癇邪気、除癥堅、瘀血留舍腸胃、安五蔵、療癰瘡。一名鹿韭韭、『本草和名』作韮。一名鼠姑。生山谷。
注)瘛瘲−俗称抽風。縮而急為瘛、伸而緩為瘲、二者交替出現為瘛瘲。
舍−停留、停止『素問・瘧論』舍於何蔵。
180 欵冬花 かんとうか 辛/温 キク科の多年草フキタンポポのまだ花の開かない頭状花 主咳逆上気善喘、喉痺、諸驚癇寒熱邪気。一名橐吾、一名顆凍、一名虎須、一名菟奚。生山谷。
181 石韋 せきい 苦/平 ウラボシ科の多年草オオヒトツバ、ヒトツバなどの全草 主労熱、邪気五癃閉不通、利小便水道。一名石[革庶]。生山谷石上。
注)五癃−『霊枢・五癃津液別』中指津液代謝失常、其流而不行者為液、成為水腫、在分肉之間、聚泡為痛、在膀胱為溺与気、在心系与肺則為泣而有咳、在胃則為唾。疑此五癃当為五淋。
182 馬先蒿 ばせんこう 苦/平 ノウゼンカズラ科のハナゴマの茎葉 主寒熱、鬼[疒主]、中風湿痺、女子帯下病、無子。一名馬屎蒿。生川澤。
183 積雪草 せきせつそう 苦/寒 せり科の多年草、ツボクサの全草 主大熱、悪瘡、癰疽、浸淫、赤熛皮膚赤、身熱。生川谷。
注)赤熛−『諸病源候論・赤熛火丹候』疑為赤熛火丹。熛火丹者、発于背、亦在于臂、皮色赤是也。
184 女菀 じょおん 辛/温 キク科と思われる 主風寒洗洗、霍乱、泄利腸鳴上下無常処、驚癇、寒熱百疾。生山谷或山陽。
185 王孫 おうそん 苦/平 草本の一種 主五蔵邪気、寒湿痺、四肢疼酸、膝冷痛。生川谷。
186 蜀羊泉 しょくようせん 苦/微寒 ナス科の多年草、ヒヨドリジョウゴと同属植物青杞の茎や葉 主頭禿、悪瘡熱気、疥瘙痂、癬虫。療齲歯、生川谷。
187 爵床 しゃくじょう 鹹/寒 キツネノマゴ科の1年草、キツネノマゴの全草 主腰脊痛、不得著床、俛仰艱難、除熱、可作浴湯。生川谷及田野。
188 梔子 しし 苦/寒 アカネ科の常緑低木クチナシの果実 主五内邪気、胃中熱気、面赤、酒皰、白癩、瘡癰。一名木丹。生川谷。
注)白癩、赤癩−『諸病源候論』主要為今之麻風病及其他皮膚病。
189 竹葉 ちくよう 苦/平 イネ科のメダケと同属植物若竹の葉 主咳逆上気、溢筋急、悪瘍、殺小虫。根、作湯、益気止渇、補虚下気。汁、主風痙。実、通神明、益気。
190 蘗木 ばくぼく 苦/寒 ミカン科の落葉高木キハダ、黄皮樹の樹皮 主五蔵、腸胃中結熱、黄疸、腸痔、止泄痢、女子漏下赤白、陰陽傷、蝕瘡。一名檀垣。生山谷。
注)腸痔−『諸病源候論・腸痔候』肛辺腫核痛、発寒熱而出血者、腸痔也。
陰陽証−陰陽指男・女生殖器。
蝕瘡−蝕、瘡不癒合、通「食」。
191 呉茱萸 ごしゅゆ 辛/温 ミカン科の落葉低木または小高木のゴシュユ、ホンゴシュユの未熟果実 主温中、下気止痛、咳逆寒熱、除湿、血痺、逐風邪、開湊理。根、殺三虫。一名[クサ毅]。生川谷。
注)血痺−『諸病源候論・血痺候』邪入于血而痺。
192 桑根白皮 そうこんはくひ 甘/寒 クワ科の根の皮 主傷中、五労六極、羸痩、崩中、脈絶、補虚益気。葉、主除寒熱出汗。桑耳、黒者、主女子漏下赤白汁、血病癥瘕積聚、陰痛、陰陽寒熱無子。五木耳、名檽、益気不飢、軽身強志。生山谷。
注)五木耳−『唐本草』[木者]、槐、楡、柳、桑樹上寄生的木耳。
193 蕪夷 ぶい 辛/平 ニレ科の落葉高木チョウセンニレの種子 主五内邪気、散皮膚、骨節中淫淫温行毒、去三虫、化食。一名無姑、一名[クサ殿][クサ塘]。生川谷。
注)淫淫−如虫行。
194 枳実 きじつ 苦/寒 ミカン科の省力小高木ダイダイ、カラタチなどの未熟果実 主大風在皮膚中如麻豆苦痒、除寒熱結、止痢、長肌肉、利五蔵、益気軽身。生川澤。
195 厚朴 こうぼく 苦/温 モクレン科の落葉高木ホオノキと同属植物厚朴、凹葉厚朴の樹皮や根皮 主中風、傷寒頭痛、寒熱、驚悸、気血痺死肌、去三虫。生山谷。
196 秦皮 しんぴ 苦/微寒 モクセイ科の落葉高木トネリコと同属植物苦藶白蜡樹やクルミ科の落葉高木万衆愚具ミの樹皮 主風寒湿痺、洗洗寒気、除熱、目中青翳、白膜。久服頭不白、軽身。生川谷。
注)芽中青翳−芽青盲、更加以風熱乗之、気不外泄、蘊積于晴間而生翳、以蠅翅者覆瞳子上、故謂青盲翳也。
197 秦椒 しんしょう 辛/温 ミカン科の落葉低木イヌザンショウの果皮 主風邪気、温中除寒痺、堅歯長髮、明目。久服軽身、好顏色、耐老増年、通神。生川谷。
198 山茱萸 さんしゅゆ 酸/平 ミズキ科の落葉小高木サンシュユの果実 主心下邪気、寒熱、温中、逐寒湿痺、去三虫。久服軽身。一名蜀棗。生川谷。
199 紫威 しい 酸/微寒 ノウゼンカズラ科の落葉藤本ノウゼンカズラの花 主婦人乳余疾、崩中、癥瘕血閉、寒熱羸痩、養胎。生川谷。
200 猪苓 ちょれい 甘/平 サルノコシカケ科の担子菌チョレイマイタケの菌核 主痎瘧、解毒、蠱[疒主]不祥、利水道。久服軽身耐老。一名[犭暇]猪屎。生山谷。
注)蠱[疒主]−多于飲食内而行用之、人之中者、心悶腹痛、其食五臓尽則死。
201 白棘 はくきょく 辛/寒 iクロウメモドキ科の落葉小高木、ナツメ棗の幹や枝に出る棘 主心腹痛、癰腫潰膿、止痛。一名棘針。生川谷。
202 龍眼 りゅうがん 甘/平 龍眼肉といい、ムクロジ科の常緑高木、リュウガン龍眼の仮種皮 主五蔵邪気、安志、厭食。久服強魂魄聡明、軽身不老、通神明。一名益智。生山谷。
注)強魂−魂、肝臓魂。指使魂旺盛。言能治肝虚。
203 木蘭 もくらん 苦/寒 モクレン科の落葉低木、モクレン木蘭の樹皮 主身有大熱在皮膚中、去面熱赤皰、酒[査皮]、悪風、癩疾、陰下痒湿、明耳目。一名林蘭。生山谷。
204 五加皮 ごかひ 辛/温 ガガイモ科の落葉藤反、杠柳、ウコギ科の落葉低木で、ウコギと同属植物の細柱五加などの根皮や樹皮 主心腹疝、気腹痛、益気療躄、小児不能行、疽瘡、陰蝕。一名豺漆。
205 衛矛 えいぼう 苦/寒 鬼箭といい、ニシキギ科の落葉低木ニシキギ衛矛の枝に出るコルク質の翼 主女子崩中下血、腹満汗出、除邪、殺鬼毒、蠱[疒主]。一名鬼箭。生山谷。
206 合歓 ごうかん 甘/平 マメ科の落葉高木ネムノキ合歓の樹皮 主安五蔵、和心志、令人歓楽無憂。久服軽身、明目、得所欲。生山谷。
207 彼子 ひし 甘/温 榧子といい、イチイ科の常緑高木でカヤと同属植物の榧の種子 主腹中邪気、去三虫、蛇螫、蠱毒、鬼[疒主]、伏尸。生山谷。
208 梅実 ばいじつ 酸/平 烏梅といい、バラ科の落葉高木ウメ梅の未熟果実を煙でくすべたもの 主下気、除熱煩満、安心、肢体痛、偏枯不仁、死肌、去青黒誌、悪肉。生川谷。
注)悪肉−『諸病源候論・悪肉候』被悪風所傷、風入肌肉、結瘀血積而生也。
209 桃核仁 とうかくにん 苦/平 桃仁といい、バラ科の落葉小高木でモモ桃やノモモヤマモモの種子 主瘀血、血閉癥瘕、邪気、殺小虫。桃花、殺[疒主]悪鬼、令人好顔色。桃梟、微温。主殺百鬼精物。桃毛、主下血瘕、寒熱積聚、無子。桃蠹、殺鬼邪悪不祥。生川谷。
210 杏核仁 きょうかくにん 甘/温 杏仁といい、バラ科の落葉高木杏樹およびそのく変種のアンズ山杏や西伯利亜杏、遼杏などの種子 主咳逆上気雷鳴、喉痺、下気、産乳、金創、寒心賁豚。生川谷。
211 蓼実 りょうじつ 辛/温 タデ科の1年草ヤナギタデ水蓼の果実 主明目、温中、耐風寒、下水気、面目浮腫、癰瘍、馬蓼、去腸中蛭虫、軽身。
212 葱実 そうじつ 辛/温 葱子といいユリ科の多年草ネギ葱の種子 主明目、補中不足。其茎、可作湯、主傷寒寒熱、出汗、中風、面目腫。生平澤。
213 かい 辛/温 薤白といい、ユリ科の多年草、ノビル小蒜やラッキョウ薤の鱗茎 主金創瘡敗、軽身不飢、耐老。生平澤。
214 仮蘇 かそ 辛/温 シソ科の1年草めぼうき羅勒の全草 主寒熱、鼠瘻、瘰癧、生瘡。破結聚気、下破瘀血、除湿痺。一名湿痺。一名鼠蓂。生川澤。
注)鼠瘻−瘰癧。
215 水蘇 すいそ 辛/微温 シソ科の多年草ケナシイタゴマ水蘇の全草 主下気辟口臭、去毒辟悪。久服通神明、軽身耐老。生池澤。
216 水芹 すいきん 甘/平 セリ科の多年草セリ水芹の茎 主女子赤沃、止血養精、保血脈、益気、令人肥健、嗜食。一名水英。生池澤。
注)赤沃−流下赤白物。
217 髪髲 はつひ 苦/温 血余炭といい、人の頭髪を焼いて炭にしたもの 主五癃、関格不通、利小便水道、療小児癇、大人[疒至]、仍自還神化。
218 白馬茎 はくばきょう、はくばけい 鹹/平 白馬陰茎ともいい、ウマ科の家畜、馬の雄の陰茎 主傷中脈絶、陰不足、強志益気、長肌肉、肥健生子。眼、治驚癇、腹満、瘧疾、当殺用之。懸蹄、主驚癇、瘈瘲、乳難、辟悪気鬼毒、蠱[疒主]不祥。生平澤。
注)当−頭。
懸蹄−為馬蹄後不着地的二趾角化部分。
219 鹿茸 ろくじょう 甘/温 シカ科の哺乳動物シカ梅花鹿およびアカシカ馬鹿の雄のまだ骨化していない幼角 主漏下悪血、寒熱、驚癇、益気強志、生歯、不老。角、主悪瘡、癰腫、逐邪悪気、留血在陰中。
220 牛角[角思] ぎゅうかくさい、ごかくさい 苦/温 ウシ科の家畜、ウシ牛の角の心にある骨質部 下閉血、瘀血疼痛、女子帯下血。髄、補中填骨髄。久服増年。胆、治驚、寒熱。可丸薬。
221 羖羊角 こようかく 鹹/温 ウシ科の家畜、ヒツジヒツジの角 主青盲明目、殺疥虫、止寒泄、辟悪鬼、虎狼、止驚悸。久服安心、益気軽身。生川谷。
222 牡狗陰茎 ぼくいんきょう、ぼくいんけい 鹹/平 イヌ科の家畜、イヌ狗の雄の陰茎および睾丸 主傷中、陰痿不起、令強熱大、生子、除女子帯下十二疾。一名狗精。胆、主明目。
注)十二−言其多也。
223 羚羊角 れいようかく 鹹/寒 ウシ科の哺乳動物、サイガ賽加羚羊の角 主明目、益気起陰、去悪血注下、辟蠱毒悪鬼不祥、安心気、常不魘寐。久服強筋骨、軽身。生川谷。
注)悪血−瘀血。
魘−悪夢。
224 犀角 さいかく 苦/寒 サイ科のインドサイ印度犀、ジャワサイ、スマトラサイ蘇門犀、クロサイ黒犀、シロサイ白犀の角 主百毒蠱[疒主]、邪鬼、鄣気、殺鉤吻、鴆羽、蛇毒、除邪不迷惑、魘寐。久服軽身。生山谷。
225 牛黄 ごおう 苦/平 ウシ科の家畜、ウシ牛の胆嚢中にある結石 主驚、癇、寒熱、熱盛狂[疒至]、除邪逐鬼。生平澤。
注)邪逐鬼−邪鬼。
226 豚卵 とんらん 甘/温 猪卵といい、イノシシ科の家畜、ブタ猪の雄の睾丸 主驚、癇、癲疾、鬼[疒主]、蠱毒、除寒熱、賁豚、五癃、邪気攣縮。一名[真頁]。是蹄、主五痔、伏熱在腸、腸癰、内蝕。
227 麋脂 びし 辛/温 シカ科の哺乳動物、オオシカ麋の脂肪 主癰腫、悪瘡死肌、寒風湿痺、四肢拘緩不收、風頭腫気、通腠理。一名官脂。生山谷。
注)『金匱要略方論・臓腑経絡先後病脉第一』腠理−腠者、是三焦通会元貞之処。理者、是皮膚、臓腑之文理也。
228 丹雄鶏 たんゆうけい 甘/微温 キジ科の家禽、ニワトリ鶏のいろいろな部分 主女人崩中漏下、赤白沃、補虚温中、止血、通神、殺毒辟不祥。頭、主殺鬼、東門上者無良。肪、治耳聾。腸、主遺溺、[月比][月至]裏黄皮、主泄利、屎白、主消渇、傷寒寒熱。黒雌鶏、主風寒湿痺、五緩六急、安胎。翮羽、主下血閉。鶏子、主除熱、火瘡、癇、痙。可作虎魄神物。鶏白蠹、肥脂。生平澤。
注)[月比][月至]裏黄皮−鶏内金。
229 雁肪 がんぼう 甘/平 ガンカモ科の鳥ヒシクイからとった脂肪 主風撃拘急、偏枯、気不通利。久服益気不飢、軽身、耐老。一名鶩脂。生池澤。
230 鼈甲 べっこう 鹹/平 スッポン科のシナスッポン鼈の背甲 主心腹癥瘕、堅積寒熱、去痞、息肉、陰蝕、痔、悪肉。性池澤。
注)悪肉−『諸病源候論』身里忽有肉如小豆突出、細細長、乃如牛馬乳、亦如鶏冠之状、不痒不痛、久不治、中不己、由春冬被悪風処傷、風人肌肉、結瘀血積而生也。
231 鮀魚甲 だぎょこう 辛/微温 ワニ科のチョウコウワニ長江鰐の皮 主心腹癥瘕、伏堅積聚寒熱、女子崩中下血五色、小腹陰中相引痛、瘡疥、死肌。生池澤。
注)女子崩中下血五色−『諸病源候論・崩中五色倶下候』其状、白崩形如涕、赤崩形如紅汁、黄崩形如爛瓜汁、青崩形如藍色、黒崩形如于血色。
232 蠡魚 れいぎょ 甘/寒 鱧魚ともいい、タイワンドジョウ科の淡水魚カムルチー烏魚の肉 主湿痺、面目浮腫、下大水。一名鮦魚。生池澤。
233 鯉魚胆 りぎょたん 苦/寒 鯉胆ともいいコイ科の淡水魚コイ鯉の胆嚢 治目熱赤痛、青盲、明目。久服、強悍、益志気。
234 烏賊魚骨 うぞくぎょこつ 鹹/微温 海螵蛸といい、コウイカ科の海産軟体動物、コウイカ烏鰂の甲 治女子漏下、赤白、経汁、血閉、陰蝕腫痛、寒熱、癥瘕、無子。
235 海蛤 かいこう 苦/平 文蛤とともに蛤殻といい、マルスダレガイ科の海産2枚貝でタイワンハマグリ文蛤やオキシジミ青蛤の殻 主咳逆上気喘息、煩満、胸痛寒熱。一名魁蛤。生池澤。
236 文蛤 ぶんこう 苦/平 海蛤とともに蛤殻といい、マルスダレガイ科の海産2枚貝でタイワンハマグリ文蛤やオキシジミ青蛤の殻 主悪瘡、蝕五痔。
237 石龍子 せきりゅうし、せきりょうし 鹹/寒 トカゲ科の小形爬虫類アオスジトカゲとされる 主五癃、邪結気、破石淋下血、利小便水道。一名蜥蜴、生川谷。
238 露峰房 ろほうぼう 苦/平 蜂房といいスズメバチ科のアシナガバチ属の胡蜂とよばれるハチの類の巣 主驚癇、瘈瘲寒熱邪気、癲疾、鬼精、蠱毒、腸痔。火熬之良。一名蜂腸。生川谷。
239 蚱蝉 さくぜん 鹹/寒 セミ科の昆虫でクマゼミと同属の黒蝉の成虫 主小児驚癇、夜啼、癲病、寒熱。生楊柳上。
240 白殭蚕 びゃくきょうざん、はくきょうざん 鹹/平 殭蚕といい、カイコガ科の昆虫、カイコガ家蚕蛾の幼虫カイコの病死したもの 主小児驚癇、夜啼、去三虫、滅黒[黒干]、令人面色好、男子陰痬病。生平澤。

(注) [ ] 内は一語。クサはくさかんむり。
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