防已(ぼうい)
- 分類
- 利水滲湿薬
- 出典
- 神農本草経
- 処方用名
- 防已、粉防已、漢防已、木防已、広防已、ボウイ
- 基原
- ツヅラフジ科 Menispermaceae のシマハスノハカズラ Stephania tetrandra S.MOORE. (中国産)の根、日本では同科のオオツヅラフジ Sinomenium acutum REHD. et Wils. (日本産)の蔓性の根茎および茎を防已(漢防已)に当てており、これは中国における清風藤と同一基原である。
木防已と称されるものはウマノスズクサ科のウマノスズクサ属植物 Aristolochia fangchi WU やツヅラフジ科の Cocculus trilobus DC. などの根である。 - 性味
- 苦、辛/寒
- 帰経
- 膀胱、腎、脾
- 効能
- 祛風湿、止痛、利水
1.風湿痺痛に用いる。性は寒であるので、湿熱証に適用する。
寒湿による痺痛に対しては、桂皮、附子などの温経止痛薬を配合しなければならない。
2.水腫、腹水、脚気の浮腫に用いる。
利尿、下焦の湿熱を清利することができる。
常に利水退腫薬と配伍する。
たとえば、葶藶子、椒目、大黄を配合すると、已椒葶黄丸となる。
虚証なら、益気健脾薬を配合する。例:防已黄耆湯。
3一般に漢防已(S.tetcrandra S. Moore)は利水退腫の作用が強い。
木防已(A.westlandi Hemsl)は祛風止痛の効果が良いと認められている。 - 注意
- 性味の苦寒は激しいから胃気を傷つけないように大量に使用することを避ける。
食欲不振や陰虚で湿熱がないときには、禁忌である。 - コメント
- とある1月の朝、前日に降った雪もすっかりなくなり、晴れて道路もしっかり乾燥していたので50ccバイクで駅まで行きました。
まっすぐな道路なのにタイヤがマンホールを踏んだ途端、後輪がスリップして右膝をとんでもなく打ってしまいました。
その打ち身は相当ひどく、3週間立っても膝を床につけることも、正座もできない状態。
そこで、漢方薬局に薦められた防已黄耆湯を飲み続け、2瓶飲んでやっと痛みがひきました。
その防已黄耆湯を自分で作ってみようと、防已を購入したのです。
『金匱要略』の処方では、防已、黄耆、炒甘草、白朮ですが、丸薬で買ったものには大棗、生姜も配合されていたので、補気して温まり薬性も緩和されるかと一緒に煎じました。
さて、お味はいかに。大棗のほわほわした匂いと、甘草の喉にひっかかるような独特の風味がたまりません。
はっきり言って、まずいことこのうえなし。
丸薬は、湯液より効き目は遅くとも、抵抗なく飲めるからありがたい品です。 - 参考
- Stephania tetrandra の画像
Aristolochia fangchi の画像
Cocculus trilobus の画像