附子(ぶし)
- 分類
- 散寒薬
- 出典
- 神農本草経
- 処方用名
- 附子、生附子、生附、川附子、熟附子、炮附子、淡附子、製附子、黒附子、熟附片、淡附片、製附片、黒附片、ブシ、加工ブシ
- 基原
- キンポウゲ科 Ranunculaceae のカラトリカブト Aconitum carmichaeli DEBX. その他の同属植物の子根、加工、炮製して利用することが多い。
- 性味
- 辛/熱。有毒。
- 帰経
- 心、腎、脾
- 効能
- 回陽救逆、補火助陽、散寒止痛
1.冷汗をかき、四肢が冷え、脈が微で触れにくいなどを呈する亡陽証に用いる。
附子は心陽を助けて脈を通暢させ、腎陽を補い亡脱した元陽を回復させる効能があるので、回陽救逆の要薬となる。
常に乾姜、甘草を配伍すると、回陽救逆の効能が強まる。例:四逆湯。
もし、大汗がしたたる、呼吸逼迫などの陽気暴脱証がみられると、大補元気の人参と配伍し、回陽固脱する。例:参附湯。
2.陽虚証に用いる。
本品は補火助陽の作用を特徴である。
およそ腎、脾、心など各臓の陽気衰弱証にはすべて適用する。
もし腎陽不足、命門火衰により、悪寒、四肢の冷え、腰がだるい、下肢が無力、インポテンツ、頻尿などの症状が見られると、肉桂、熟地、山茱萸などを配伍する。例:桂枝八味丸。
脾陽虚弱、陰寒内盛により、腹部が、泥状便あるいは水様便などを呈すると、益気温脾の人参、白朮、乾姜などを配伍する。例:附子理中丸。
脾腎陽虚、水湿内停により、小便量の減少、浮腫などをきたせば、助陽化気の効能を用い、常に健脾利水薬である白朮、茯苓などとともに用いる。例:真武湯。
心陽衰弱によって動悸、息切れ、心前区疼痛などを生じると、人参、桂枝などとともに用いる。
他に、衛陽虚による自汗には、黄耆、桂枝を、陽虚の上に風寒を感受したものには、麻黄、細辛を配伍する。
要するに附子は全身の陽気を温めることができ、およそ陽虚証である限り、みな用いられる。
3.痺痛に用いる。
寒湿偏盛による関節疼痛がひどい場合に適用する。
附子は祛除寒湿、温経止痛の作用がある。
常に桂枝、白朮などとともに用いる。例:甘草附子湯。 - 参考
- Aconitum carmichaeli の画像