鹿茸(ろくじょう)
- 分類
- 助陽薬
- 出典
- 神農本草経
- 処方用名
- 鹿茸、鹿茸片、鹿茸血片、鹿茸粉片、鹿茸粉
- 基原
- シカ科 Cervidae のマンシュウジカ Cervus nippon TEMMINCK var. mantchuricus SWINHOE、マンシュウアカジカ C. elaphus L. var. xanthopygus MILNE-EDWARDS などの雄のまだ角化していない幼角(袋角)
- 性味
- 甘、鹹/温
- 帰経
- 肝、腎
- 効能
- 補腎陽、益精血、強筋骨
1.腎陽不足、精血虚虧による寒冷を嫌う四肢の冷え、インポテンツ、不妊症、頻尿、腰や膝がだるく痛む、眩暈、難聴、倦怠無力感などに用いる。
これは鹿茸が腎陽を補い、精血を増やすからである。
単味で粉末にして服用することができる。
効力を増強するために、人参、熟地黄、枸杞などの補気養血益精の薬を配伍して使用することもできる。例:参茸固本丸。
2.精血が不足し、筋肉に力がない、あるいは小児の発育不良、運動能力の発達不良、歩き始めるのが遅い、泉門の閉鎖が遅いなどに用いる。
「腎は精を蔵し、骨を主る。
肝は血を蔵し、筋を主る」といわれ、鹿茸は、肝腎の精血を補うことができるので、筋骨を強める効能もある。
多くは熟地黄、山薬、山茱萸などを配伍する。例:加味地黄丸。
3.女性の虚寒による白帯過多、不妊症、不正性器出血などに用いる。
鹿茸は肝腎を補い、衝脈と任脈を整え、帯脈を固摂することができる。
『千金方』では、当帰、烏賊骨、蒲黄なとを配伍し、不正性器出血を治療するとある。『済生方』では狗脊、白蘞を配伍して白帯過多を治療するとある。
他は、瘡瘍が潰れてから長く収斂していない(難治性潰瘍など)、陰証に属する化膿症などに用いる。
鹿茸は陽気を温補し、内に陥入した邪毒を外に追い出す効力がある。 - 注意
- 陽気の昇動による眩暈、目の充血あるいは陰液の損傷による出血を避けるために、一般に少量から始め、次第に増量し、急に多量に服用しない方がよい。
およそ陰虚陽亢、血分に熱がある、胃火旺盛、肺に痰熱があるおよび外感熱病などには、すべて禁忌。