貝母(ばいも)
浙貝母
川貝母
- 分類
- 清化熱痰薬
- 出典
- 神農本草経
- 処方用名
- 貝母、川貝母、川貝、京川貝、京川貝、松貝、青貝、西貝、浙貝母、浙貝、象貝母、象貝、大貝、バイモブシ
- 基原
- ユリ科 Liliaceae のアミガサユリ属植物各種 Fritillaria spp.の鱗茎。
きわめて多種基原の生薬で川貝、松貝、青貝、西貝などと称されるものは F.cirrhosa D. DON、 F.unibracteata HISAO et K..C.HSIA など、浙貝、大貝、象貝などと称されるものはアミガサユリ F.thunbergii MIQ.に由来する。
現在の日本市場品は大半が後者。 - 性味
- 川貝母:苦、甘/微寒
浙貝母:苦/寒 - 帰経
- 心、肺
- 効能
- 化痰止咳、清熱散結
1.肺虚の慢性咳嗽、痰が少ない、咽が渇く、また外感風熱の咳嗽および痰熱の咳嗽、痰が黄色で粘稠である証に用いる。
川貝母も浙貝母も清肺化痰止咳の作用があるので、よく知母と配合されて、痰熱咳嗽に用いられる。例:二母散。
しかし川貝母の性味は凉かつ甘で、潤肺の効能も兼ねているので、よく沙参、麦門冬、天門冬など養陰潤肺の薬物を配合し、肺虚の慢性咳嗽、痰少、咽喉乾燥などの証に用いる。
浙貝母の性味は苦寒で、開泄、清火散結の作用が比較的強いので、よく桑葉、牛蒡子、前胡、杏仁など宣肺祛痰の薬物を配合して、外感風熱あるいは痰熱の咳嗽に用いる。
2.癥瘕瘡瘍腫毒および乳癰、肺癰などの証に用いる。
川貝母も浙貝母も清熱散結の効能があるが、浙貝母のほうが比較的強い、瘰癧を治療するときに、玄参、牡蠣などを配合する。例:消類丸。
瘡瘍、乳癰を治療するときに、蒲公英、天花粉、連翹などを配合し、肺癰を治療するときには、十薬、芦根、薏苡仁などを配合する。
また、甲状腺腫瘍を治療するときに、浙貝母に夏枯草、海藻、昆布、莪朮などを配合して使用されることもある。 - 注意
- 烏頭との配合は禁忌。
- コメント
- 写真で見えているとおり、川貝母の方が浙貝母より小さく、より高価といわれています。
- 参考
- Fritillaria spp. の画像