牡蠣(ぼれい)
- 分類
- 重鎮安神薬
- 出典
- 神農本草経
- 処方用名
- 牡蠣、生牡蠣、煅牡蠣、ボレイ
- 基原
- イタボガキ科 Osteridae のマガキ Crassostrea gigas THUNB.、イタボガキ Ostrea rivularis GOULD、その他同属動物の貝殻。通常は左殻が利用される。
- 性味
- 甘/微寒
- 帰経
- 肝、腎
- 効能
- 平肝潜陽、軟堅散結、収斂固渋
1.陰虚陽亢による煩躁不安、動悸不眠、眩暈めまいおよび耳鳴りなどの証に用いる。
牡蠣には平肝潜陽の作用があり、竜骨、亀板、白芍などを配合して使用する。
熱病傷陰、寒風内動、四肢痙攣などの証に使用するときに、亀板、鼈甲などを配合して、滋陰潜陽による熄風解痙の効果を強める。例:三甲復脈湯。
2.牡蠣には軟堅散結の効能があり、痰化結合による瘰癧、痰核などの証に対して、浙貝母、玄参などを配合する。例:消瘰丸。
この数年来、臨床では、牡蠣に丹参、沢蘭、鼈甲などを配合して、肝臓、脾臓の腫大の治療に使用している。
3.煅牡蠣には収斂固渋の作用があり、虚寒、遺精、帯下、崩漏などの証に用いる。
自汗、盗汗症には、黄耆、小麦、麻黄根などを配合する。
たとえば、牡蠣散を用い、腎虚による遺精には、沙苑子、芡実、蓮鬚などを配合する。例:金鎖固精丸。
崩漏、帯下などの証には、煅牡蠣に煅竜骨、烏賊骨、山薬などを配合して使用する。
また、牡蠣は胃酸を中和する作用があるので、胃酸過多、胃潰瘍などにも使用する。