柴胡(さいこ)
柴胡
ミシマサイコ
- 分類
- 辛涼解表薬
- 出典
- 神農本草経
- 処方用名
- 柴胡、北柴胡、梗柴胡、竹葉柴胡、山柴胡、南柴胡、狭葉柴胡、香柴胡、軟柴胡、細柴胡、春柴胡、秋柴胡、芽胡、嫩柴胡、醋柴胡、鼈血拌柴胡、サイコ
- 基原
- セリ科 Umbelliferae のミシマサイコ Bupleurum falcatum L. またはその変種の根。
現在日本や韓国で栽培利用されているものは本種である。
中国から輸入される野生種はマンシュウミシマサイコ B. chinense (北柴胡)やホソバミシマサイコ B. scorzoneraefolium WILLD. (南柴胡)に由来するものである。
野生品は軽質、栽培品は硬くて淡色であるので、容易に区別がつく。 - 性味
- 苦、微辛/微寒
- 帰経
- 肝、胆、心包、三焦
- 効能
- 和解退熱、疏肝解鬱、昇挙陽気
1.傷寒、邪が少陽にあり、寒熱往来、胸脇苦満、口苦、咽乾き、目眩などの証に用いる。
本品は疏肝半表半泄熱の効能があり、少陽証要薬として治療に用いる。
常に、黄芩、半夏を配伍する。例:小柴胡湯。
外感発熱に対して透表泄熱の効能があり、甘草を配伍する。例:柴胡散。
あるいは葛根を配伍する。例:柴葛解肌湯。
現代、柴胡で注射剤を作って、外感発熱に対して解熱効果がある。
2.肝気鬱結による胸肋脹痛、頭痛、生理不順、生理痛などに用いる。
柴胡は、肝気を条達でき、疏肝解鬱する。
常に白芍、当帰を配伍し、作用を増強する。例:逍遙散。
胸脇脹痛に対して、香附、川芎、枳殻を配伍する。例:柴胡疏肝散。
3.気虚下陥による脱肛、子宮脱垂および短気、倦乏などの証に用いる。
本品は気を昇清陽でき挙陥する。
常に升麻、党参、黄芩、白朮など補脾益気薬を配伍する。例:補中益気湯。 - 注意
- 陰虚による咳、潮熱には柴胡を用いるべきでない。
肝陽上亢に用いるべきでない。 - コメント
- 柴胡をもっとも有名にしているのは、小柴胡湯ではないでしょうか。
日本では肝臓病に多く使われていますが、中医学的にみれば、証に合わせて処方されていなければ、対症療法の一環として西洋薬の一部のような使い方としかいえないのではないでしょうか。
中医学は証で分け、西洋医学は病気で分類しているのですから、分類方法の違うものに薬を当てはめるのは愚かなことと思えます。
解鬱に効くので、肝気滞や肝脾不和に用いられますが、値段がわりと高い方の漢方薬なので、お茶で飲むのはいささかもったいない気がします。
根や木皮部分を使う漢方薬は、成分をしっかり抽出する湯液や薬酒にし、お茶は葉っぱ部分を使う漢方薬を使うのが私の好みです。 - 参考
- Bupleurum falcatum L.の画像
Bupleurum chinense の画像