草根木皮みな薬
 

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小柴胡湯(しょうさいことう)

種類 和解少陽剤
出典 傷寒論
組成 柴胡15g、黄芩9g、人参6g、半夏9g、炙甘草6g、生姜9g
メモ 最後は黄金の犯人が正体(柴胡黄芩半人甘生大)
方解 君-柴胡-軽清昇散、疏邪透表
臣-黄芩-苦寒、清少陽相火
佐-半夏-和胃降逆、散結消痞
   -人参-益胃気、生津、和営衛
   -炙甘草-益胃気、生津、和営衛
使-生姜-扶正、袪邪
   -大棗-扶正、袪邪
用法 水煎服
効能 和解少陽
主治 1.傷寒少陽証。往来寒熱、胸脇苦満、食欲不振、心煩喜嘔、口苦、咽乾、目眩、苔薄白、脈弦。
2.婦人傷寒、熱入血室、およびマラリヤ、黄疸と内傷雑病で少陽証を見られる場合。
病機 風寒散漫少陽(往来寒熱・胸脇部が脹って苦しい・食欲不振・胸苦しい・悪心・口が苦い・咽の乾燥感・目がくらむ・舌苔が薄白・脈が弦)
熱入血室(往来寒熱・胸脇部が脹って痛む・下腹部が硬くなり痛む・夜になると言語錯乱や意識の異常が生じる・月経が中途で停止したり月経期ではないのに来潮する・身体が重い・頭汗・舌苔が薄白・脈が弦)
方意 和解少陽の主方
少陽は三陽の中枢であり、邪が少陽を犯したら、半表半裏の間に行ったり来たりする。
邪が外で陽と争って寒になり、内で陰と争って熱になる。
だから、往来寒熱がみられる。
少陽経は目から耳に入ってその分枝と缺盆で会合して胸中に入り、膈、脇を通過して肝、胆と連絡する。
だから、邪は少陽にあれば経気不利になる。少陽相火が鬱で熱になる。
だから、口苦、咽乾、目弦、胸脇苦満がみられる。
胆熱が胃を犯して、胃の和降を失うので、心煩喜嘔、食欲不振になる。
苔薄白は邪がまだ、裏に入って熱になっていないことを示す。
脈弦は少陽の経気が鬱で疏泄されないわけである。
柴胡は少陽の専用薬であり、軽清昇散、疏邪透表で君薬である。
黄芩は苦寒で、清少陽相火で臣薬であり、柴胡と配伍して一散一清で協力して少陽の邪を除く。
半夏は和胃降逆、散結消痞で佐薬であり、君、臣薬を手伝って邪を攻める。人参、甘草は佐薬で、生姜、大棗は使薬で、益胃気、生津液、和営衛を果たし、扶正しながら、祛邪を手伝う。そして裏を充実させ邪の進入を防ぐ。
このように配伍し、祛邪は主とするが正気も配慮する。
少陽を主とするが兼ねて胃気を調和する。だから、「上焦が通となり、津液が下に行ける。胃気が調和され、体が出汗して治る」(傷寒論)。少陽病は邪が半表半裏の間にあり、行ったり来たりする。
だから、その証は多少異なる。しかし、寒熱往来、苔白、脈弦は主である。
その他、胸中煩で嘔しない者は、熱が胸にたまるが気が逆していない。
半夏、人参を取り、瓜荽を加えて、開結散熱で煩を除く。
渇は熱傷津液なので、半夏を取り、人参、天花粉を加えて清熱生津で渇を除く。
もし、腹中痛の場合は、胆が肝に影響して肝鬱乗脾のせいであり、黄芩を取り芍薬を加えて泄木安土で痛みを止める。
脇下痞硬の場合は、経気が鬱で津液が溜まって痰になったわけであるが、大棗をとり牡蠣を加えて化痰軟堅で痞を消す。
心下悸小便不利の者は、水気が心を犯したわけであるが、黄芩をとり、茯苓を加えて淡滲去水で悸を安定させる。
渇きがなく微熱があるものは表邪を兼ねたせいで、人参をとり桂枝を加えて微汗させ、解肌発表で邪を除く。
咳をする者は肺寒気逆のせいであり、人参、大棗、生姜をとり、五味子乾姜を加えて温肺散寒で咳を止める。
以上はみな原書の加減法であるが臨床での参考にする。
そして、熱入血室、マラリヤ、黄疸および内傷雑病の場合は往来寒熱、胸脇苦満、心煩喜嘔、苔白、脈弦等の小柴胡湯証が見られるときも小柴胡湯を加減して治療できる。