五味子(ごみし)
- 分類
- 収渋薬
- 出典
- 神農本草経
- 処方用名
- 五味子、北五味子、北五味、ゴミシ
- 基原
- マツブサ科 Schizandraceae のチョウセンゴミシ Schizandra chinensis BAILL. の成熟果実
- 性味
- 酸/温
- 帰経
- 肺、腎、心
- 効能
- 斂肺滋腎、生津斂汗、渋精止瀉、寧心安神
1.肺腎不足による慢性咳嗽、呼吸困難に用いる。
五味子の酸は収斂でき、薬性は温潤で、斂肺滋腎の作用があり、肺虚による慢性咳嗽と肺腎不足による咳嗽、呼吸困難に適していて、止咳平喘の効力がある。
肺虚による慢性咳嗽には、罌粟殻を配合する。例:五味子丸。
腎虚による呼吸困難には、六味地黄丸を配合する。例:都気丸。
肺寒による咳嗽にも用いられ、ただし細辛、乾姜など辛温宣散薬を配合すべきである。例:五味細辛湯。
2.津液不足による口渇、自汗、盗汗に用いる。
五味子は酸渋で、生津もできるし、斂汗もでき、口渇多汗の症状に適している。
たとえば、熱邪が気陰を損傷して起こった動悸、脈が虚、口渇、多汗に使用する生脈散は、人参、麦門冬、五味子を配合したものである。
陰虚による盗汗と陽虚による自汗には、柏子仁、人参、麻黄根、牡蠣などを配合する。例:柏子仁丸。
消渇にも用いられる、たとえば黄耆湯は、五味子に黄耆、乾地黄、麦門冬、天花粉などの益気生津薬が配合され、消渇を治療する。
3.遺精、滑精、慢性下痢に用いる。
補腎渋精、収斂止渇の効力がある。
たとえば『医学入門』には、五味子を膏剤にして遺精に使用すると述べられている。
脾腎虚寒による五更泄瀉を治療する四神丸は、五味子に補骨脂、呉茱萸、肉豆蔲などを配合したものである。 - 注意
- 薬性は酸渋収斂であるので、表邪や実熱があるとき、咳嗽や麻疹の初期には使用しない方がよい。
- コメント
- 韓国には五味子茶という伝統茶があり、ピンク色したお茶とのこと。
きっとフレッシュ五味子を使っているのでしょうね。
漢方薬局で購入すると乾燥したものなので、お茶にすると当然茶色っぽくなります。
眼をつぶって出されたら、柑橘の入ったお茶と思うような味です。
北京で購入したものは、日本の漢方薬局のより色が赤くて綺麗です。
これをお茶にすると、鮮やかな赤い色が出ました。
味も黒い日本のものより複雑な味がします。
古くなって黒くなると、だんだん酸味が勝って来るのでしょうか。
五味子の名前の由来は、酸、苦、甘、辛、鹹の五つの味を持つからといわれていますが、酸っぱい匂いが最も強い。
当然、酢とは相性よく、五味子を入れておいたお酢は複雑な香りと味を持ち、酢めしや酢の物に使うと、おいしくなります。
ハーブ酢と同じ使い方ですね。 - 参考
- Schizandra chinensis の画像