六味地黄丸(ろくみじおうがん)
種類 | 補陰剤 |
出典 | 小児薬証直訣 |
組成 | 熟地黄24g、山薬12g、山茱萸12g、牡丹皮9g、沢瀉9g、茯苓9g |
メモ | 六味熟知した三種さん、ぶーたれタンタク(六味熟地山茱山茯丹沢) |
方解 | 君-熟地黄-滋腎陰、益精髄 臣-山薬-滋腎補脾 -山茱萸-酸温、滋腎益肝 佐-沢瀉-瀉腎降濁 -茯苓-滲脾湿 -牡丹皮-瀉肝火 |
用法 | 15gの蜜丸にし1日3回、毎回1丸、空腹時 |
効能 | 滋補肝腎 |
主治 | 肝腎陰虚。 腰膝酸軟、頭目眩暈、耳鳴耳遠い、寝汗遺精、および小児の泉門閉合不良、あるいは虚火上炎による骨蒸潮熱、手足心熱、あるいは消渇、あるいは虚火歯痛、口燥咽乾、舌紅少苔、脈細数。 |
病機 | 腎精不足と虚熱の病態 |
方意 | 腎は先天の本であり、骨を主とし、髄を生じる。『霊枢・海論』は、「脳は髄の海である」「髄海の不足であれば、脳転耳鳴、脛痠眩冒を起こす」とある。 だから、腰膝痠軟、頭目眩昏、耳鳴耳遠い等はみな腎陰虚、髄海の不足によるものである。 小児の泉門閉合不良は腎虚による骨の成長が遅くなるためである。 腎は陰陽(水火)が併存する臓であり、腎陰虚であれば陽は上亢になりやすい。 すなわち「水虧火旺」である。 寝汗、遺精、骨蒸潮熱、消渇、歯痛、口燥咽乾、舌紅少苔等の症はいずれも陰虚陽亢、あるいは水虧火旺によるものである。 だから、本方は腎、肝、脾の三陰を補うと同時に補腎陰を主とする。 方中の熟地黄は滋腎陰、益精髄で、君薬である。 山茱萸は酸温で滋腎益肝である。 山薬は滋腎補脾である。共に三陰を併補して補腎治本の効を果たす。 本方配伍のもう一つの特徴は、「補中有瀉」である。 すなわち、沢瀉は熟地黄を配伍して瀉腎降濁をする。 牡丹皮は山茱萸を配伍して肝火を瀉す。 茯苓は山薬を配伍して滲脾湿をする。 いわゆる「三瀉」あるいは「三開」である。 このように配伍して補瀉を併用するが、瀉は滋補薬の滞膩の弊を防ぐためである。 実際はやはり、補を主とする。 また、補と瀉の薬料から見れば、「三補」の用量は「三瀉」より多い。 |
注意 | 現代はよく、本方で慢性腎炎、高血圧、糖尿病、神経衰弱等の病を治療する。 しかし、必ず肝腎陰虚の証候の場合に用いる。 |