大補陰丸(だいほいんがん)
種類 | 補陰剤 |
出典 | 丹渓心法 |
組成 | 黄柏120g、酒知母120g、熟地黄180g、亀板180g |
方解 | 熟地黄-滋補真陰、潜陽制火 亀板-滋補真陰、潜陽制火 豚脊髄-血肉甘潤、填精補陰 蜂蜜-血肉甘潤、填精補陰 黄柏-苦寒、瀉火 |
用法 | 豚脊髄を適量加えて15gの蜜丸にし、朝晩各1丸を薄い塩水で服用 |
効能 | 滋陰降火 |
主治 | 肝腎陰虚、虚火上炎、骨蒸潮熱、寝汗遺精、咳嗽喀血、心煩易怒、足膝痛熱あるいは萎軟、舌紅少苔、尺脈数かつ有力。 |
病機 | 肝腎陰虚でない熱が生じるとともに、肝腎相火が制約されずに上炎し、虚火によって陰虚がさらに増悪する状態 |
方意 | 本方は肝腎皆虚、真陰不足によるものを治す。 腎中の水火はもともと互いに共存するが、腎水が損失したら相火が抑制されず、虚火、虚熱等が生じる。 遺精、盗汗は相火内擾、あるいは陰虚内熱によるものである。 骨蒸潮熱、咳嗽喀血、舌紅少苔はいずれも相火内動、耗傷真陰、肺腎両傷によるものである。 本方は滋陰降火を治法とする。 熟地黄、亀板で滋補真陰、潜陽制火を果たす。 豚脊髄、蜂蜜は血肉甘潤のものであり、填精補陰を通して津液を生じる。 これは培本の意味である。 黄柏は苦寒、瀉火で真陰を助ける。 知母は苦寒で、上においては清潤肺熱をし、下においては滋潤腎陰をする。 これは清源の意味である。 両方は配伍して培本清源の効を果たす。 しかし、培本だけでは虚火を除ききれない、また清熱だけでも病に再びかかる恐れがある。 だから、培本清源を併用して陰盛陽潜、虚火降、虚熱清を果たせる。 |
注意 | 食少便溏、および火熱実の場合は本方に適応しない。 |