二陳湯(にちんとう)
種類 | 燥湿化痰剤 |
出典 | 太平恵民和剤局方 |
組成 | 半夏15g、橘紅1g、茯苓9g、炙甘草5g、生姜3g、烏梅1枚 |
メモ | 半分聞こうか、今日にちんとね(半茯橘紅甘姜烏、二陳) |
方解 | 君-半夏-辛温燥、燥湿化痰、降逆和胃、止嘔 臣-橘紅-理気燥湿 佐-茯苓-健脾滲湿、祛湿健脾 -生姜-降逆化飲 -烏梅-収斂肺気 使-甘草-薬性調和、潤肺和中 |
用法 | 生姜3g、烏梅1枚を加え、煎服 |
効能 | 燥湿化痰、理気和中 |
主治 | 湿痰咳嗽。 痰多色白、吐き出しやすい、胸膈痞悶、悪心嘔吐、肢体因倦、あるいは頭眩心悸、舌苔白潤、脈滑。 |
病機 | 脾が健運できないために湿邪が凝聚し、気機を阻滞し、鬱積して痰を生じた状態。 「脾は生痰の源たり、肺は貯痰の器たり」で、湿痰が肺を犯すと咳嗽、多量の喀出しやすい白色痰が、痰が気機を阻滞し胃が和降できないと悪心、嘔吐、胸が痞えて苦しいなどが、濁陰が清陽を阻遏すると目眩、動悸が、湿が脾を困阻すると食欲不振、肢体が重だるいなどがみられる。 |
方意 | 湿痰を治す主方である。 温痰はよく脾失健運、湿邪凝聚、気機阻滞、鬱積によるものである。 脾は痰を生じる源であり、肺は、痰を貯蔵する容器である。 湿痰が肺を犯したら、咳嗽痰多を起こす。 痰阻気機、胃失和降であれば、胸膈痞悶、悪心嘔吐を起こす。 陰濁凝聚、阻碍清陽であれば、頭眩心悸を起こす。 脾為湿困、運化失司であれば、肢体困倦、不欲飲食を現す。 治療は燥湿化痰、理気和中をする。 本方は、半夏・陳皮が陳旧のものほど効果が良いために「二陳」と名づけられている。 方中の半夏は君薬で、辛温燥で、燥湿化痰、降逆和胃、止嘔をする。 橘紅は臣薬で、理気燥湿で気暢痰消をする。 茯苓は佐薬で健脾滲湿をし、袪湿健脾で、痰の源を治す。 生姜は降逆化飲で、半夏の毒を抑制すると同時に半夏、橘紅を手伝って行気消痰をする。 烏梅は収斂肺気をし、半夏と配伍して散・収を併用して、袪痰をすると同時に正を傷つけない。 甘草は使薬で、諸薬を調和し、兼ねて潤肺和中をする。 諸薬は協力して燥湿化痰、理気和中の効を果たす。 |