天王補心丹(てんのうほしんたん)
種類 | 滋養安神薬 |
出典 | 摂生秘剖 |
組成 | 生地黄120g、人参15g、丹参15g、玄参15g、茯苓15g、五味子15g、炒遠志15g、桔梗15g、酒当帰60g、天門冬60g、麦門冬60g、炒柏子仁60g、酸棗仁60g |
メモ | 小次元、天麦タントウ人、ブータレ産後は遠いハクシュキキョ |
方解 | 生地黄-滋腎水、養血 玄参-甘寒滋潤、清虚火 天門冬-甘寒滋潤、清虚火 麦門冬-甘寒滋潤、清虚火 丹参-補血養血 当帰-補血養血 人参-益気寧心 茯苓-益気寧心 酸棗仁-酸、心気収斂、心神安定 五味子-酸、心気収斂、心神安定 柏子仁-養心安神 遠志-養心安神 朱砂-養心安神 |
用法 | 蜜丸にし、表を朱砂で包む。毎回9g服用。 あるいは原方の比率に従い適宜加減し水煎服。 |
効能 | 滋陰養血、補心安神 |
主治 | 陰虧血少。 虚版少眠、心悸神疲、夢精健忘、大便乾結、口舌生瘡、舌紅少苔、脈細かつ数。 |
方意 | 本方証は陰虧血少、心腎の陰不足によるものである。 虚煩少眠、心悸神疲は陰虚血少、陰虚陽亢によるもの、夢精健忘は心腎の陰不足によるものである。 大便不利は血燥津によるもの、口舌生瘡は心火炎上によるものである。 本方の生地黄は滋腎水で陰を補い、水が盛んになり火を抑える。 また養血で血燥津を治す主薬である。 玄参、天門冬、麦門冬は甘寒滋潤で清虚火の効を果たす。 丹参、当帰は補血、養血をする。 人参、茯苓は益気寧心で、酸棗仁、五味子は酸で心気を収斂し、心神を安定する。 柏子仁、遠志、朱砂は養心安神である。 諸薬は協力して陰血不足の本を補い、虚煩少眠の標を治す。 このようにして諸症は治る。 |
参考 | 天王補心丹、柏子養心丸、枕中丹は共に、虚煩不眠を治す。 違いは天王補腎丹は滋陰補血、益気寧心、および収斂心気、養心安神を併用して標本兼顧、治本を主とする方剤であるのに対し、柏子養心丸は補腎滋陰、寧心安神で、滋補を主とする方剤である。 枕中丹は寧心益智と潜鎮安神を併用して交通心腎を主とする方剤である。 天王補心丹と朱砂安神丸の違いは、天王補心丹が滋補収斂、養心安神を主とし陰血不足、虚煩不眠の症を治すのに対し、朱砂安神丸は鎮心安神、瀉火養陰を主とし、心下上炎、陰血不足の煩乱、失眠の証を治す。 |