保和丸(ほわがん)
出典 | 丹渓心法 |
組成 | 山楂子180g、神曲60g、半夏90g、茯苓90g、陳皮30g、連翹30g、萊菔子30g |
メモ | 飽和して、さんざんらしんブクは散れ(保和、山楂萊神茯半陳連) 食積 |
方解 | 君-山楂子-消化不良、消積肉食油膩 臣-神曲-消食健脾、消積食陳腐 -萊菔子-下気消食、米麦類の積を消す 佐-茯苓-健脾利湿 -半夏-行気化滞、和胃止嘔 -陳皮-行気化滞、和胃止嘔 -連翹-清熱散結 |
用法 | 丸剤にし毎回6〜9g服用、あるいは原方の1/10で湯剤として服用 |
効能 | 消食和胃 |
主治 | すべての食積。 脘腹痞満脹痛、曖腐呑酸、悪食嘔逆、あるいは大便泄瀉、舌苔厚膩、脈滑 |
病機 | 飲食過度、暴飲暴食などにより食積が内停し、胃失和降を引き起こした状態。 食積内停が化熱して胃気上逆、気機阻滞を引き起こすので、腹満、痞え、ときに腹痛、腐臭のある噯気、呑酸、悪心、嘔吐を呈する。 食不消のために、食べたくなくて飲食を嫌う。脾運を阻害したときには下痢もみられるが、食積が少しでも解消するので、下痢すると気持がよい。 舌苔厚膩、脈滑は裏の積滞を示す。 |
方意 | 食積を治す通用方である。 主な症状は脘痞腹脹、悪食噯腐である。 この病は普通、飲食不節、暴飲暴食によるものである。 食べ過ぎ、食積内停であれば、胃失和降、気機不暢になり、脘腹脹満、噯腐呑酸、悪食嘔逆等を起こす。 治療は消食化滞、理気和胃する。 方中の山楂子は君薬で、すべての消化不良を治し、特に肉食の油膩の積を消化する。神曲は消食健脾で、特に酒食の陳腐の積を消化する。 萊菔子は下気消食で、特に米、麦類の積を消化する。 二薬は臣薬である。 以上の三薬は各種の食物の積滞を治す。 半夏、陳皮は行気化滞、和胃止嘔をする。 茯苓は健脾利湿、和中止瀉をする。 食積は熱に変わりやすいが連翹で清熱散結をする。 諸薬は配伍して化食積、和胃気を果たす。 本方の薬力は比較的緩和であるが食積が重症の場合には枳実、檳榔を加える。 苔黄脈数の場合は黄連、黄芩を加える。 便秘の場合には黄芩、大黄を加える。 |