五積散(ごしゃくさん)
種類 | 解表温裏剤 |
出典 | 太平恵民和剤局方 |
組成 | 白芷・川芎・炙甘草・茯苓・当帰・肉桂・白芍・半夏各2g、陳皮・枳殻・麻黄各4g、蒼朮16g、桔梗8g、乾姜・厚朴3g |
方解 | 君-麻黄-発汗解表 -白芷-発汗解表 -乾姜-温裏袪寒 -桂皮-温裏袪寒 蒼朮-燥湿健脾 厚朴-燥湿健脾 陳皮-理気化痰 半夏-理気化痰 茯苓-理気化痰 当帰-活血止痛 川芎-活血止痛 芍薬-活血止痛 桔梗-昇降気機 枳殻-昇降気機 炙甘草-和中健脾、諸薬調和 |
用法 | 水煎服。粉末にし1回9gを生姜と水煎服用してもよい |
効能 | 発表温裏、順気化痰、活血消積 |
主治 | 外感風寒、内傷生冷。 身熱無汗、頭痛身痛、項背拘急、胸満悪食、嘔吐腹痛、および女性の血気不和、心腹痛、生理不順等の寒性に属する者。 |
病機 | 外感風寒と同時に内傷生冷、脾運不足などがあり、寒、湿、気、血、痰の五積をともなった状態 |
方意 | 本方は寒、湿、気、血、痰の五積を治すので五積散と称する。 外感風寒、邪鬱肌表、腠理閉塞なので発熱無汗、頭痛身痛、項背拘急等の表実証がみられる。 内傷生冷、あるいは宿有積冷により脾胃陽気が損害され、運化失常、痰湿内停、痰阻気滞、気血不和を起こす。 だから、胸満悪食、嘔吐腹痛、あるいは腹脇脹痛等の症を現す。 治療は発汗解表、温裏袪寒を主として、内外の寒を除く。 燥湿健脾、順気化痰、活血消積のものを佐として、気・血・痰・湿の積を治す。 このように気機宣痛、痰消湿化になり、脾運が回復され、諸症はいずれも治る。 方中の麻黄、白芷は発汗解表で、乾姜、桂皮は温裏袪寒で、本方の主薬である。 蒼朮、厚朴は燥湿健脾で、陳皮、半夏、茯苓は理気化痰で、当帰、川芎、芍薬は活血止痛である。 桔梗と枳殻は昇降気機で、理気化痰の効を増強し、痰阻気滞の症に適応する。 炙甘草は和中健脾で諸薬を調和する。 以上は本方の輔助薬である。 本方は行気和血、温裏袪寒の作用を持つので、女性の気血不和、寒凝気滞による心腹痛、生理不順等に対して適当に加減して治療できる。 |