草根木皮みな薬
 

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帰脾湯(きひとう)

種類 気血双補剤
出典 済生方
組成 黄耆30g、龍眼肉30g、人参15g、当帰3g、酸棗仁30g、白朮30g、茯神30g、炙遠志3g、木香15g、炙甘草8g
メモ キーヒーと、黄色い竜が遠くで誘い、ブータレ忍術家は木刀で狂騒する(帰脾湯、黄龍遠酸棗茯人朮甘木香姜棗)
方解 君-黄耆-甘温、補脾益気
   -龍眼肉-甘平、養心安神
臣-人参-甘温、補脾益気
   -当帰-甘辛温、養肝
佐-茯神-甘平、養心安神
   -炙遠志-交通心腎
   -酸棗仁-甘平、養心安神
   -白朮-甘温、補脾益気
   -炙甘草-甘温、補脾益気
   -木香-理気醒脾
使-生姜-甘温、補脾益気
   -大棗-甘温、補脾益気
用法 生姜6g、大棗3〜5枚を加え、水煎服。
あるいは原方の比率にしたがい適当に加減して15gの蜜丸にして1日3回1丸ずつ服用
効能 益気補血、健脾養心
主治 1.心脾両虚。
思慮過度、労傷心脾、気血不足。心悸怔中、健忘不眠、寝汗虚熱、食少体倦、顔面萎黄、舌質淡、苔薄白、脈細緩。
2.脾不統血。
便血、女性の崩漏、生理が早い、量が多い、色が淡い、あるいは淋漓不止、あるいは帯下。
病機 心血虚と脾気虚が同時に見られる病態態
方意 本方は、主に心脾両虚の証を治す。心は神を蔵し、血を主とする。
脾は思を主とし、血を統帥する。思慮過度、労傷心脾、脾気損虚になると、体倦、食少、虚熱を起こす。
心血暗耗、心失所養なので驚悸、怔忡、健忘、不眠、寝汗を起こす。
顔面萎黄、舌質淡、苔薄白、脈細緩はいずれも気血不足の象である。
治療は益気補血、健脾養心である。
人参、黄耆、白朮、甘草、生姜、大棗の甘温で補脾益気を果たす。
当帰の甘辛温で養肝を通して心血を生じる。
茯神、酸棗仁、龍眼肉の甘平で養心安神を果たす。
遠志は交通心腎で定志寧心を果たす。
木香は理気醒脾で益気補血薬の滋膩滞気の脾胃運化の邪魔を防ぐ。
だから本方は養心と益脾を併用する方剤である。
つまり、益気と養血を結合する方剤である。
脾は統血摂血するが、脾気虚であれば統摂不能になり、便血を起こす。
女性の場合は血海不固を起こし、方中漏下、あるいは生理が早い、量が多い、色淡い等が見られる。
脾虚であれば湿を運化できず、湿濁下注になると白帯を起こす。
本方は益脾気、扶脾陽、養肝血ができるが、便血、崩漏、帯下諸証も治せる。
現代は本方で神経衰弱、心臓病、貧血、子宮効能性出血、血小板減少性紫斑症等を治療する。
すべての心脾両虚証に対し、適宜加減するといずれも効果が得られる。
注意 本方と補中益気湯は、両方とも補気できるが、違いは、
1.配伍が違う。
本方は補気補脾と養心安神、交通心腎を併用する。その意義は健脾養心、統血、生血である。補中益気湯は補気補脾と昇陽を併用する。その意義は補気昇提、昇清降濁である。
2.主治が違う。
本方は主に心脾両虚と脾不統血による心悸怔忡、食少体倦、便血、下血等を治す。補中益気湯は主に脾胃気虚の発熱、体倦、少気懶言および気虚下陥の下脱、下垂等を治す。