木香(もっこう)
- 分類
- 行気薬
- 出典
- 神農本草経
- 処方用名
- 木香、広木香、雲木香、煨木香、モッコウ
- 基原
- キク科 Compositae トウヒレン属植物 Saussurea lappa CLARKE の根を正品とする。異物同名品が多く注意が必要。
- 性味
- 辛、苦/温
- 帰経
- 肺、肝、脾、胃、大腸、三焦
- 効能
- 行気止痛、健脾消食、止瀉
1.脾胃気滞による食欲不振、食滞、腹痛、腹部膨満感、腸鳴、下痢、渋り腹などの症候に使用する。
枳殻、川楝子、延胡索を配合して気滞による上腹部の脹痛によく使い、湿熱互阻による下痢後の渋り腹には、檳榔、枳殻、大黄、黄連などを配合して用いる。例:木香檳榔丸。
2.脾運失調による肝失疏泄に使用する。
たとえば、湿熱が積もって蒸して側胸部、季肋部に脹痛が現れ、口苦、舌苔が黄色、甚だしければ黄疸が起るようなときには、疏肝理気の作用がある柴胡、鬱金、枳殻と、清熱利湿の作用がある大黄、茵蔯、金銭草などを併用することができる。
3.脾胃気虚、運化無力による腹部膨満感、食欲不振、あるいは嘔吐、下痢、喜温、喜按、舌苔が白膩などの証に使用する。
党参、白朮、縮砂などを配合することができる。例:香砂六君子湯。
木香は補虚薬と併用すると、補う効能があって補益薬のしつこさを減じることができる。 - 注意
- 木香の性味は辛温香燥であるので、陰虚火旺のものには使わない方がよい。
- 参考
- Saussurea lappa の画像