左帰丸(さきがん)
種類 | 補陰剤 |
出典 | 景岳全書 |
組成 | 熟地黄240g、炒山薬120g、枸杞子120g、山茱萸120g、酒川牛膝90g、莵絲子120g、鹿角膠120g、亀板膠120g |
方解 | 熟地黄-滋陰 枸杞子-益精明目 山茱萸-渋精斂汗 亀板-滋陰、益精填髄 鹿角膠-補陽、益精填髄 莵絲子-強腰膝、健筋骨 川牛膝-強腰膝、健筋骨 山薬-滋益脾腎 |
用法 | 15gの蜜丸にし、朝晩空腹時に1丸 |
効能 | 滋陰補腎 |
主治 | 真陰不足、頭目眩暈、遺精滑泄、自汗寝汗、口燥咽乾、渇欲飲水、舌光少苔、脈細あるいは数。 |
方意 | 本方の証は真陰不足、精髄内虧による頭目眩暈、腰酸腿軟、口燥舌乾、舌光少苔がみられる。 陰虚であれば陽が動きやすくなると腎の封蔵を失い、遺泄を起こす。 陰虚であれば、気が外を防衛できず自汗盗汗が見られる。 およそ精髄内に虧し、津液枯涸などの証、ともに速やかに水の主を壮にすべし、もって左腎の元陰を培いて、精血おのずと充つるなり。 この方によろしくこれを主る。 方中は大量の熟地黄の滋陰で真陰を充実する。 枸杞子で益精明目する。 山茱萸は渋精斂汗をする。 亀板、鹿角膠は血肉有情のものであり、鹿角膠は補陽に偏り、亀板は滋陰に偏り、二薬は協力して任、督二脈を通じて益精填髄を果たし、補陰中に「陽中求陰」の意味を含む。 莵絲子と川牛膝を配伍して強腰膝、健筋骨を果たす。 山薬は滋益脾腎を果たす。 共に滋腎填陰、育陰潜陽の効を果たす。 本方の組成は陰柔滋潤を主とし、長く、常に服用すると滞脾碍胃を起こし、脘悶、食少等の症状を現す。 だから、本方を応用するときに陳皮、縮砂等を加えて理気を通して醒脾胃を果たし、その弊を防ぐ。 |