牡蠣散(ぼれいさん)
種類 | 固表止汗剤 |
出典 | 太平恵民和剤局方 |
組成 | 黄耆・麻黄根・牡蠣各30g |
方解 | 君-牡蠣-益陰潜陽、除煩斂汗 臣-黄耆-益気実衛、固表止汗 佐、使-麻黄根-止汗 -小麦-益心気、養心陰、清心除煩 |
用法 | 毎回9gと小麦30gを煎服 |
効能 | 固表斂汗 |
主治 | 諸虚不足。 体が常に出汗、夜になるとひどくなる、長く治らず、心悸驚タ、短気煩倦。 |
方意 | 汗は自汗と盗汗の違いがある。 もし、昼夜を問わず動かないのに、自ら出汗するのは自汗という。 寝ると出汗、目覚めたら汗が止まるのは盗汗という。 自汗は陽虚を主とし、盗汗は陰虚を主とする。 本方は陽虚の自汗、陰虚の盗汗を治す。 汗は心の液であり、陽虚であれば衛外は不能で肌表が疏松になり、体は常に自汗する。 陰虚であれば内営は不能で、陰液外泄になり、寝ると出汗する。 心悸驚タ、短気煩倦については出汗しすぎ、長く治らず心経の気陰が耗損され、虚火内犯によるものである。 治療は益気陰、固肌表、斂汗液をすべきである。 方中の牡蠣は益陰潜陽で、兼ねて除煩斂汗もできる君薬である。 黄耆は益気実衛、固表自汗で臣薬である。 麻黄根は止汗の専用薬である。 小麦は益心気、清心火、止汗を果たす。 本方と当帰六黄湯はともに滋陰清熱、固表止汗の作用を持ち、陰虚寝汗の証を治す。 しかし、本方は滋陰清熱の力がやや弱いが収斂止汗の功が比較的強いため、諸虚不足、常に出汗の証を治す常用の方剤である。 当帰六黄湯は滋陰清熱に遍り、主に陰虚火擾、発熱寝汗を治す。 |