甘遂(かんつい)
- 分類
- 峻下逐水薬
- 出典
- 神農本草経
- 処方用名
- 甘遂、生甘遂、製甘遂、炒甘遂、煨甘遂
- 基原
- トウダイグサ科 uphorbiaceae のトウダイグサ属植物 Euphorbia kansui LIOU の根
- 性味
- 苦、甘/寒。有毒。
- 帰経
- 肺、腎、大腸
- 効能
- 瀉水逐飲、消腫散結
1.浮腫、腹水および胸水などに用いる。
瀉下作用が強いので、服用してから、持続的な下痢を起こし、体内の水飲を排出することができる。
単味で用いられる。
一般に他の逐水薬とともに使用する。
たとえば『聖済総録』の二気湯は牽牛子を、十棗湯は大戟、芫花を配合している。
十棗湯の中では、大棗で副作用を低められている。
水飲と熱邪が結びついた水飲結胸を治療するには、大黄、芒硝を配合した、大陥胸湯を用いる。
近年腸内の水液が多いイレウスを治療する場合、よく大黄、厚朴、桃仁などを配合し、甘遂通結湯を用いる。
2.風疹による癲癇に用いる。
その痰液を排出する作用を利用する。
たとえば『済生方』の遂心丹は、甘遂の粉末を豚の心臓に入れて煨し、また朱砂の粉末を丸薬として服用する。
このほか、癰腫瘡毒に外用して消腫散結の効果がある。 - 注意
- 虚弱体質と妊娠中の婦人には禁忌。
- 参考
- Dryopteris crassirhizoma の画像