地竜(じりゅう)
- 分類
- 平肝熄風薬
- 出典
- 神農本草経
- 処方用名
- 地竜、広地竜、蚯蚓、地竜乾、乾地竜、地竜肉、鮮地竜、土地竜
- 基原
- フトミミズ科 Megascolecidae の Pheretina asiatica Michaelsen の内容物を去って乾燥したもの、あるいはツリミミズ科 Lumbricidae のカッショクツリミミズ Allolobophora caliginosa trapezoides ANT. DUGES をそのまま乾燥したもの。前者を広地竜、後者を土地竜と称す。
- 性味
- 鹹/寒
- 帰経
- 肝、腎、膀胱
- 効能
- 清熱熄風、平喘、通絡、利尿
1.高熱による痙攣などの証に用いる。
地竜には熄風解痙の作用があり、また清熱の作用もあるので、よく高熱による急性痙攣の治療に使用する。
たとえば、地竜に釣藤鈎、白僵蚕、七葉一枝花などの清熱熄風の薬物を配合して、以上の証に使用する。
地竜を砂糖に浸して、その液体を精神分裂症の熱狂証の治療に用いることもある。
2.痰鳴喘息に用いる。
地竜には気管支を拡張し、呼吸困難を緩和する作用があるので、肺熱による気管支喘息には効果がある。
地竜を単独で粉末にして使用するか、あるいは麻黄、杏仁、石膏などを配合して使用する。
3.熱痺による関節の紅腫熱痛、運動障害に用いる。
地竜は性が寒で、清熱、通絡の効能があり、桑枝、忍冬藤、絡石藤、赤芍薬などを配合して使用する。
寒湿痺痛、関節運動不利に対して、地竜に川烏、草烏、天南星などを配合する。例:小活絡丹。
気虚血瘀、経絡不利による半身不随に対して、地竜に黄耆、当帰、紅花などを配合する。例:補陽還王湯。
4.熱結膀胱、小便不利などの証に用いる。
地竜には清熱利尿の効能があり、単独で、あるいは他の利尿薬を配合して使用する。
たとえば、地竜に車前子、木通などを配合して、熱結膀胱、小便不利を治療することができる。
また、地竜には降圧作用があり、肝陽上亢による高血圧に効果がある。
生きた地竜を砂糖と一緒にすりつぶして外用すれば、急性の耳下腺炎、慢性の下肢の潰瘍、火傷などにも一定の治療効果がある。