全蝎(ぜんかつ)
- 分類
- 平肝熄風薬
- 出典
- 開宝本草
- 処方用名
- 全蝎、淡全蝎、全虫、蠍尾
- 基原
- トクササソリ科 Buthidae のキョクトウサソリ Buthus martensi KARSCH を食塩水に入れて殺し乾燥したもの
- 性味
- 甘、辛/平。有毒。
- 帰経
- 肝
- 効能
- 熄風止痙、活絡止痛、攻毒散結
1.急性、慢性の驚風、卒中、顔面神経麻痺などの痙攣に用いる。
全蝎には著しい熄風解痙の効能があるので、蜈蜙を配伍して粉末にすりつぶして止痙散となる。
これは臨床でよく使われる方剤である。
小児の急性痙攣に対して、天麻、釣藤鈎、山羊角などを配伍して使用し、脾虚による慢性痙攣に対して、党参、白朮、天麻などを配伍して使用する。
卒中による口眼歪斜の治療には、白附子、白僵蚕を配伍する。例:牽正散。
破傷風の治療には、天南星、蝉退を配伍する。例:呉虎追風散。
2.瘡瘍腫毒、瘰癧結核に用いる。
全蝎は解毒散結、通絡止痛の作用を持っているので、中医外科の常用薬である。
3.難治性の頭痛、偏頭痛、風湿痺痛などに用いる。
全蝎には著しい通絡止痛の効果があり、単独でその粉末を服用しても効果がある。
もし蜈蜙、白僵蚕などを配伍すれば効果はより強くなる。 - 注意
- 毒があるので、過量に用いてはならい。
また血虚生風には慎重に使用しなければならない。 - 参考
- Buthus martensi の画像