王不留行(おうふるぎょう)
- 分類
- 活血化瘀薬
- 出典
- 神農本草経
- 処方用名
- 王不留行、王不留、留行子
- 基原
- ナデシコ科 Caryophyllaceae のフシグロ属植物 Merandrium spp. の全草が正品であると考えられるが、現在中国では同科のドウカンソウ Vaccaria pyramidata MEDIC. の種子を多く使用している。
その他クワ科のオオイタビ Ficus pumila L. の成熟果殻、ノボタン科の Melastoma candidum D. DON の幹、根、果実など、本生薬の基原はきわめて混乱している。 - 性味
- 苦/平
- 帰経
- 肝、胃
- 効能
- 活血通経、下乳
1.生理痛、無月経などの証候に用いる。
王不留行は活血通経の効能があり、生理がすっきり出ないことによる腹痛および血滞による無月経には、よく当帰、川芎、紅花、香附子などを併用する。
2.産後の胚乳困難、乳汁分泌不足に用いる排乳困難には、よく穿山甲を配合し、通乳の力を強める。
産後の気血両虚による乳汁分泌不足には、黄耆、当帰など益気補血薬を配合し、乳汁分泌を増加させる。
急性乳腺炎の腫痛には、蒲公英、夏枯草、瓜萎などを配合し、王不留行の苦泄先通の効能を利用するのである。
このほか、王不留行は利尿作用があり、近年来、臨床では利尿の作用と活血の力があるのを利用して、利水通淋、活血消腫薬を配合して、尿道結石および前立腺炎などをに用いられている。
方剤例は、尿道結石には駆尿石湯、前立腺炎には前立腺炎湯。 - コメント
- 王不留行は、よく耳鍼に使われます。
- 参考
- Vaccaria pyramidata の画像