橘皮(きっぴ)
橘皮
うんしゅうみかん
- 分類
- 理気薬
- 出典
- 神農本草経
- 処方用名
- 陳皮、広陳皮、陳広皮、新会皮、橘皮、チンピ、キッピ
- 基原
- ミカン科の常緑小高木植物橘 Citrus reticulata Blanco および同属多種植物の成熟果実の果皮。
正名は橘皮。日本市場のものはウンシュウミカン C. unshiu MARCOV. およびコウジ C. leiocarpa HORT. et TANAKA に由来するものである。 - 性味
- 辛、苦/温
- 帰経
- 脾、肺
- 効能
- 理気、調中、燥湿、化痰
1.脾胃気滞による上腹部が脹って苦しい、曖気、悪心、嘔吐などの証に用いる。
橘皮の性は温で、気をめぐらせ、降下させることができ、理気運脾、中焦を調え、横隔膜の機能を改善する効能を持つ。
脘腹脹満、あるいは疼痛のときには、よく枳殻、木香などを配伍し、胃失和降、悪心、嘔吐のときには、生姜と配合して用いる。例:橘皮湯。
嘔吐と同時に痰熱があるものには、竹筎、黄連などを配合し、肝気乗脾による腹痛、下痢には、白朮、白芍、防風を配合して使う。例:痛瀉要方。
脾気虚による消化不良には、よく党参、白朮、炙甘草などを配合する。例:異功散。
2.湿濁中阻による胸苦しい、腹脹、食欲不振、倦怠感、軟便、舌苔が厚膩、また痰湿壅滞、肺失宣降による咳、痰が多い、気逆の証に用いる。
橘皮は脾、肺二経の気分薬で、気を調えることができるし、燥湿の効能も持つ。
前者に対して、よく蒼朮、厚朴を配合し、燥湿健脾する。例:平胃散。
後者に対しては、よく半夏、茯苓を配伍して燥湿化痰する。例:二陳湯。 - 注意
- 橘皮は辛酸、苦燥の性味で、温が熱を助けることができるので、舌質が赤く、津液が少ないもの、体内に実熱があるものに慎重に用いる。
- コメント
- 他の漢方薬の袋はビニール袋ですが、橘皮だけアルミの袋に入っており、不思議に思いつつ封を開けると、中から立ちのぼるふくいくとしたオレンジの香り。
何種類かの中薬と一緒に橘皮をお茶に入れると、この独特の香りで存在感があります。