草根木皮みな薬
 

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新加香薷飲(しんかこうじゅいん)

種類 袪暑解表剤
出典 温病条弁
組成 香薷6g、金銀花8g、鮮扁豆花9g、連翹6g、厚朴6g
メモ 新加工は銀扁れんこう(新加香、銀扁連厚)
清熱化湿
暑寒混雑
閉塞腠理、汗不出
薬性は涼に偏り、主に暑温兼湿、悪寒無汗を治すが口渇、面赤の点で香薷散と違う。
方解 君-香薷-辛温芳香、発汗解表
臣-金銀花-辛涼芳香、除上焦暑熱
   -鮮扁豆花-辛涼芳香、除上焦暑熱
   -連翹-辛涼芳香、除上焦暑熱  
佐-厚朴-辛温、化湿除満、解胸悶

辛温と辛涼を併用して邪が外に出るようにする
暑寒混雑、腠理閉詰まりによる「汗が出られない」を治療する
用法 水煎して分二にし、まず一杯を服用して汗がでれば中止し、汗が出なければ再度服用する。発汗がみられない場合は再度煎じ服する。
効能 祛暑解表、清熱化湿
主治 暑温初期に外感風寒。発熱頭痛、悪寒無汗、口渇面赤、胸悶不暢、苔白膩、脈浮数。
病機 夏の納涼で発症することが多い。
炎熱の気候で暑熱を受け、涼む、冷気に当たる、水を浴びるなどで寒湿の邪を受け、寒湿が外束し暑熱が内蘊した状態。
寒湿が腠理を閉塞して衛用を阻むので悪寒、無汗を呈し、邪正が相争して発熱する。
湿邪が気血を阻滞するので頭や身体が重だるく痛み、裏で気機を停滞させるために胸や腹が痞えて苦しい、暑熱が内蘊して津液を消耗し、口渇があって尿量が少なく濃い。
暑熱が擾心すると焦燥感が生じる。
舌苔が薄白膩を呈するのは、湿邪が困表しているだけで裏熱と結びついていないことを示す。
濡脈は湿を、数脈は熱を表す。
方意 『局方』の香薷散から扁豆をとり、銀花、連翹、鮮扁豆花を加えてできたものであり、夏の暑温感寒を治す常用の方剤である。
暑は火熱の気である、だから、夏に暑邪に犯されて発熱頭痛、口渇面赤、脈浮数等の症を現す。
はなはだしければ悪寒。暑は陽熱の邪であり、熱であれば腠理が開く、津液が外泄し、汗が出るはずだが、風露をも受けているので、外感寒凉で腠理が閉じる。
だから、悪寒無汗が見られる。
胸悶苔膩は湿の象であり、治療は外解表寒、内清暑熱、兼ねて化湿をする法を用いる。方中の香薷 は辛温芳香、汗解表で、袪暑化湿、除寒熱を果たす。
鮮扁豆花、銀花、連翹は辛涼芳香で、上焦気分の暑熱を除き、序熱解渇を果たす。
「湿は陰邪であり、温でないと治らぬ」、だから、辛温の厚朴を佐薬として香薷と合わせて化湿除満、解胸悶、去膩苔を果たす。
本方の配伍は辛温と辛涼を併用して邪が外に出るようにする。
つまり、原書の言う通り「辛温に辛涼を重ねる法」である。
本方のポイントは暑寒混雑、腠理閉詰まりによる「汗が出られない」を治療する。
もし、単純な暑温病、発熱出汗の場合は、悪寒があっても辛温解表の香薷は適応しない。
もし、胸悶苔膩がない場合には、湿はないので厚朴は適応しない。
新加香薷飲と香薷飲は同じ袪暑方剤であり、二方は辛温の香薷、厚朴で、袪暑解表、散寒化湿をする。
しかし、香薷飲の薬性は温に偏り、主に暑寒湿混雑の証を治し、必ず無汗の場合に使う。
新加香薷飲の薬性は凉に偏り、主に暑温兼湿、悪寒無汗を治すが口渇、面赤の点で違う。