藿香正気散(かっこうしょうきさん)
種類 | 燥湿和胃剤 |
出典 | 太平恵民和剤局方 |
組成 | 大腹皮・白芷・紫蘇・茯苓各30g、半夏曲・白朮・陳皮・姜厚朴・桔梗各60g、藿香90g、炙甘草75g |
方解 | 藿香-辛散風寒、方向化濁、昇清降濁、治霍乱 蘇葉-辛香発散、外解風寒、芳化湿濁 白芷-辛香発散、外解風寒、芳化湿濁 半夏-燥湿和胃、降逆止嘔 陳皮-燥湿和胃、降逆止嘔 白朮-健脾運湿、和中止瀉 茯苓-健脾運湿、和中止瀉 厚朴-行気化湿、暢中除満 大腹皮-行気化湿、暢中除満 桔梗-宣肺利膈、解表化湿 生姜-調和脾胃、調和薬性 大棗-調和脾胃、調和薬性 甘草-調和脾胃、調和薬性 |
用法 | 散剤にして毎回6gを生姜、大棗の煎汁とともに服用。 |
効能 | 解表化湿、理気和中 |
主治 | 外感風寒、内傷湿滞。 霍乱吐瀉、発熱悪寒、頭痛、胸膈満悶、脘腹痛、舌苔白膩、および山嵐瘴瘧。 |
病機 | 外感風寒、内傷湿滞による霍乱吐瀉である。 湿気が多い時期に冷えたり、暑熱の時期に生冷物を摂取したうえ納涼して、風寒湿邪を感受するか、あるいは脾虚湿滞の者が風寒の侵襲を受けることにより、発症することが多い。 外邪により衛陽が鬱阻されて悪寒、発熱、頭痛が生じ、湿邪が肌表にも停滞するために頭が重く、身体が重だるい、湿邪が気機を困阻するので胸苦しい、腹満、腹痛などが強く、湿濁が脾胃の昇降を失調させるために悪心、嘔吐下痢が発生し、突然吐瀉が現れるのが特徴の一つである(霍乱吐瀉)。 舌苔白膩は湿滞を示す。 脈が浮は外感を示し、湿滞のために細弱になり、濡脈(浮、細、無力)を呈するのである。 |
方意 | 本方は霍乱吐瀉を治す常用方である。 その証は外感風寒、内傷湿滞、清濁互結、揮霍変乱によるものである。 外感風寒、衛陽が鬱され、悪寒発熱、頭痛を起こす。 湿濁内阻、気機不暢であれば、胸膈満悶、脘腹痛を起こす、湿滞腸胃であれば、清気不昇、濁気不降になり、霍乱吐瀉を起こす。 舌苔白膩は湿鬱の象である。 治療は外散風寒、内化湿濁をし、かねて和中理気をする。 方中の藿香は大量に使用され、その辛散風寒、芳香化濁、昇清降濁で霍乱を治す。 蘇陽、白芷は辛香発散で、藿香を手伝って外解風寒、芳化湿濁をする。 半夏、陳皮は燥湿和胃、降逆止嘔をする。 白朮、茯苓は健脾運湿、和中止瀉をする。 厚朴、大腹皮は行気化湿、暢中除満をする。 桔梗は宣肺利隔、解表化湿をする。生姜、大棗、甘草は調和脾胃、調和薬性をする。 諸薬は協力して風寒外散、湿濁内化、清昇濁降、気機通暢をさせ、諸証は治る。 本方は主に化湿和胃であり、解表散寒の力はやや緩和である。 夏の感寒傷湿、脾胃失和にはもっとも適する。 山嵐瘴瘧、水土不服にも本方で治せる。 近代ではよく、湿傷脾胃、外感風寒の急性胃腸炎を治す。 |