草根木皮みな薬
 

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猪苓湯(ちょれいとう)

種類 利水滲湿剤
出典 傷寒論
組成 猪苓茯苓沢瀉阿膠滑石各9g
メモ 沢山のブーたれ猪が滑って頭を強打した(沢茯猪滑阿膠)
方解 君-猪苓-滲利小便
臣-茯苓-滲利小便
   -沢瀉-滲利小便
佐-阿膠-甘鹹、滋陰潤燥
   -滑石-清熱通淋
用法 煎じて阿膠を薬汁に溶かし服用
効能 利水清熱養陰
主治 水熱互結。
小便不利、発熱、口渇欲飲、あるいは兼ねて咳嗽、嘔悪、下痢。
また、血淋、小便渋痛、出にくい、小腹満痛。
病機 下焦において熱邪と水湿が結びついた病症。
水熱互結は、風寒の邪が化熱して少陰(腎)に伝入し、下焦で熱邪と水湿が結びつくと同時に、熱邪の消灼や誤治による傷陰を伴った状態である。
水湿が熱邪と互結しているために、膀胱の気化不行が生じて尿量減少(小便不利)が現れ、停積した水湿が三焦気機を阻滞して津液が布散、上承できないだけでなく、熱邪による傷陰も伴うので、口渇があり水分を欲する。
停積した水湿が大腸に下泄すると下痢が生じ、三焦を通じて上逆し、肺を犯すと咳嗽が、胃を犯すと悪心、嘔吐が発生する。邪熱の上擾と陰虚のために、いらいら、不眠を伴い、多くは舌質紅絳、脈数を呈する。
湿熱蘊結下焦の血淋は、湿熱の邪が腎、膀胱の気化失調を引き起こして排尿困難、排尿痛を呈し、熱邪が血絡を灼傷して血尿を伴ったものである。
方意 傷寒の邪が陽明あるいは少陰に伝入され、熱に変わって水と結合して水熱になり、邪熱傷陰、小便不利の証を治す。
水熱互結、気化されず、陰津不布の上に熱邪傷陰があって、だから、口渇欲飲を現す。
水熱互結、気化されなければ、小便不利を起こす。水湿が下滲して大腸に入り、だから、下痢を起こす。
水気上逆で肺に入り、咳逆を起こす。
水気が胃を攻めると、嘔逆を起こす。
陰虚の上に邪熱上擾なので、心煩不寝を起こす。
治療は利小便、滲水湿し、兼ねて清熱養陰を治す。
方中の猪苓、茯苓、沢瀉は滲利小便である。
滑石は清熱通淋である。
阿膠は甘鹹で、滋陰潤燥である。
五薬は滲利と清熱養陰を併用し、利水をすると同時に陰を傷つけなく、滋陰をすると同時に邪を引き止めなく、袪水気、清邪熱、復陰液を果たし、諸証は治る。
本方は滲利を主とし、兼ねて清熱養陰をする。
血淋、小便不利の者も本方で利水通淋、清熱止血をする。
本方と五苓散は共に利水の方剤である。
水気停滞の小便不利の証を治す。
五苓散は沢瀉、猪苓、茯苓と桂枝を配伍して通用化気をし、さらに白朮を配伍して崇土制水をし、化気利水の方剤を組成し主に膀胱の気化不利の逐水証を治す。
猪苓湯は猪苓、茯苓、沢瀉、滑石を配伍して清熱通淋をし、さらに阿膠を配伍して滋陰潤燥をし、清熱滋陰、利水の方剤を組成し、主に水熱互結の小便不利を治す。