呉茱萸湯(ごしゅゆとう)
種類 | 温中散寒剤 |
出典 | 傷寒論 |
組成 | 呉茱萸3g、人参6g、大棗4枚、生姜18g |
方解 | 君-呉茱萸-辛苦、燥熱、温胃散寒、開鬱化滞、下気降濁 臣-人参-大補元気、益陰、補胃虚 佐-生姜-温胃散寒 -大棗-益気滋脾 |
用法 | 水煎服 |
効能 | 温中補虚、降逆止嘔 |
主治 | 1.胃中虚寒、食穀欲嘔、胸膈満悶、あるいは胃脘痛、呑酸嘈雑。 2.厥陰頭痛、乾嘔吐涎。 3.少陰吐利、手足逆冷、煩躁欲死。 |
病機 | いずれも、胃寒の濁陰上逆による嘔吐を主症状とし、「素問・拳痛論」に「寒気は腸胃に客すれば、厥逆して上に出づ、故に板見て嘔すなり」とあるのに相当する |
方意 | 本方の主治は、病の陽明、少陰、厥陰の別があるが、その証はいずれも嘔吐がある。 『素問・挙痛論』は、「寒気が腸胃に客在であれば厥逆が上へ出る、だから、痛くて嘔吐する」と論述している。 だから、胸膈満悶でも、厥陰頭痛でも、手足逆冷でも、煩躁欲死でも、いずれも胃中虚寒、濁飲上逆と関連する。 呉茱萸は味辛苦、性燥湿で、温胃散寒、解鬱化滞の効を持ち、また、下気降濁の効もあり、本方の君薬である。 人参は大補元気、兼ねて益陰で、臣薬で胃の虚を補する。 生姜は温胃散寒で、大棗は益気滋脾で、君、臣薬を手伝って温胃補虚を果たす。 生姜、大棗が協力して、調和営衛もでき、皆、佐薬である。 このように配伍して温中補虚、消陰扶陽の効を果たし、逆気を抑え、嘔吐を止め、他の証も治す。 しかし、嘔吐呑酸は寒、熱の違いがあり、臨床のポイントは嘔吐涎沫、舌質赤くない、苔白滑、脈細遅あるいは弦細、数ではないものである。 もし、吐利だが手足逆冷、煩躁欲死等の証がない場合は人参を党参に替える。 |