行軍散(こうぐんさん)
種類 | 涼開剤 |
出典 | 霍乱論 |
組成 | 牛黄・麝香・真珠・氷片・硼砂各3g、雄黄24g・硝石0.9g・飛金20頁 |
方解 | 君-麝香-芳香開竅、行気闢穢、止痛 -氷片-芳香開竅、行気闢穢、止痛 臣-牛黄-清心解毒 佐-硝石-瀉熱破結 -硼砂-清熱解毒 -雄黄-闢穢解毒 -真珠-重鎮安神 飛金-重鎮安神 |
用法 | 散剤にして1日2〜3回、毎回0.3g〜0.9g服用 |
効能 | 清熱開竅、豁痰解毒 |
主治 | 暑月瘀脹。 吐瀉腹痛、煩悶欲絶、頭目昏暈、意識不明、口瘡咽痛、風熱障翳。 |
方意 | 暑月瘀脹は穢濁の気によるものである。 中焦気機の逆乱のため、清濁相乾、昇降失常になり、ゆえに吐瀉腹痛、ひいては煩悶欲絶を起こす。 包絡の神明は蒙蔽されるため、頭目昏暈、意識不明を起こす。 治療は開竅行気、闢穢解毒をする。 方中の麝香、氷片は芳香開竅、行気闢穢、止痛で、吐瀉腹痛、竅閉神昏を治す君薬である。 牛黄は清心解毒で、臣薬である。 硝石は瀉熱破結である。 硼砂は清熱解毒である。 雄黄だけは用量が大きく、闢穢解毒である。 真珠は重鎮安神である。 以上諸薬は共に佐薬である。 本方の組成から分析すると、清熱開竅を主とし、闢穢、解毒、安神が配伍され、清熱開竅の効は強くなるわけである。 方中の牛黄、氷片、硼砂、真珠は清熱解毒、防腐消翳の効を持ち、口瘡咽痛、風熱障翳等の証を治療することができる。 しかし、本方は辛香走竄なので、妊婦には慎重に投与する。 |
注意 | 本方は本来、飛金を使う。 その重鎮安神の効果を取るためである。 『中国薬典』1977年版は、金の代わりに姜粉を用いる。 すると降逆和中の作用持ち、かつ闢穢解毒の効果を増強する。 しかし、姜粉は味辛性熱で、口瘡咽痛、風熱障翳にはあまり適応しない。 |