小児回春丹(しょうにかいしゅんたん)
種類 | 涼開剤 |
出典 | 敬修堂薬説 |
組成 | 川貝母・陳皮・木香・白豆蔲・枳殻・法半夏・沈香・天竹黄・僵蚕・全蝎・檀香各37.5g、牛黄・麝香各12g、胆南星60g、釣藤鈎240g、大黄60g、天麻37.5g、甘草26g、朱砂適量 |
方解 | 牛黄-清熱解毒、豁痰開竅、熄風定驚 川貝母-清熱化痰 天竹黄-清熱化痰 胆南星-清熱化痰 法半夏-清熱化痰 釣藤鈎-熄風鎮痙 天麻-熄風鎮痙 全蝎-熄風鎮痙 僵蚕-熄風鎮痙 朱砂-重鎮安神、清心定驚 大黄-清熱瀉火 枳殻-調理気機 木香-調理気機 陳皮-調理気機 沈香-調理気機 白豆蔲-調理気機 檀香-調理気機 甘草-諸薬調和 |
用法 | 重さ0.09gの丸剤にして1日2〜3回、1歳以下は毎回1丸、1〜2歳は毎回2丸.3g〜0.9g服用 |
効能 | 開竅定驚、清熱化痰 |
主治 | 小児急驚、痰熱蒙蔽。 発熱煩躁、あるいは反胃嘔吐、夜泣吐乳、痰咳喘息、腹痛泄瀉。 |
方意 | 小児の体の天性は「稚陰稚陽」、臓腑未実、気血未充、腠理不密で、時令の邪に犯されやすいが痰熱内生を起こし、さらに急驚を起こす。 痰熱壅盛、蒙蔽心竅なので発熱、煩躁、神昏が見られる。 熱盛であれば動風を起こし、痙厥が見られる。 痰咳喘息、反胃嘔吐、夜泣吐乳、腹痛泄瀉等の症はいずれも痰熱の壅阻肺胃、昇降失常によるものである。 治療は開竅定驚、清熱化痰を主とする。 方中の牛黄は清熱解毒、豁痰開竅、熄風定驚である。 麝香は芳香開竅である。 川貝母、天竹黄、胆南星、法半夏は清熱化痰である。 以上六薬は配伍して清熱開竅、袪痰の力がいっそう強くなる。 釣藤鈎、天麻、全蝎、白僵蚕は熄風鎮痙で、朱砂は重鎮安神で、かつ牛黄を手伝って清心定驚を果たす。 さらに大黄の清熱瀉火で去積導滞を果たし、痰熱を腸腑から追い出す。 枳殻、木香、陳皮、沈香、白豆蔲、檀香は調理気機で気暢痰消を果たし、痰熱が内盛できなくなる。 甘草は諸薬を調和する。 以上の諸薬を配伍して開竅定驚、清熱化痰の方剤を組成する。 |
注意 | 本方は小児急驚風を治療する良方である。 急驚の主な特徴は発病が暴急で、高熱煩躁、神昏痙厥が見られる。 その病機をまとめると「熱・痰・風驚」である。 本方は清熱、化痰、開竅、熄風、定驚の作用を持ち、薬物と証候が適応する。 しかし、脾腎虚寒による慢驚は本方には適応しない。 |