麻黄湯(まおうとう)
種類 | 辛温解表剤 |
出典 | 傷寒論 |
組成 | 麻黄9g、桂枝4g、杏仁9g、炙甘草3g |
メモ | 魔王の鬘は草木(麻黄桂草杏) 風寒、表実 調和営衛 |
方解 | 君-麻黄-苦寒温、発汗解表、宣肺平喘 臣-桂枝-温経散寒、透営達衛 佐-杏仁-降気、散風寒 佐使-炙甘草-薬性緩和 |
用法 | 水煎し分三で服用する。服薬後は被覆して汗をかくようにし、効果があれば中止する。 |
効能 | 発汗解表、宣肺平喘 |
主治 | 外感風寒。 悪寒発熱、頭痛身疼、無汗、喘息、苔薄白、脈浮緊 |
病機 | 風寒の邪を感受し、寒邪偏盛のために凝斂して表閉営鬱を呈した病態。傷寒論では太陽病傷寒と称している |
方意 | 風寒は人の肌表を犯して毛竅が閉じ、肺気が宣せず、衛気が体表に達せず、営の流れが不暢になる。 だから、外に悪寒発熱、頭痛、身疼、無汗、脈浮、内に喘息が表れる。 このときに発汗解表、宣肺平喘をすべき肺気が宣になり、毛竅を開き、営衛が通暢になる。 汗が出たら、表にある風寒は除かれ、諸症は治る。 麻黄は営渋衛鬱なので発汗作用で衛気の鬱のみを解く。 桂枝は発汗解表力を増強して風寒、身疼を治す。 当証の喘は肺気が鬱になって逆に昇ることによるもので麻黄、桂枝はみな上行発散の性がある。 さらに肺気を降下でき、風寒を治す杏仁は、麻黄と協同して一宣、一降で解鬱平喘の作用を増強する。 炙甘草は汗が出過ぎないように正気を傷つけない、これは使薬が佐薬の作用を兼ねる意義である。 麻黄は桂枝の協同で一方衛の鬱を解き、一方営の邪を除く。 柯琴は『これは表を開き、邪を追い出し、汗を発する猛烈剤である』と評している。 そのため「傷寒論」は瘡家、淋家、衄家、亡血家および傷寒の表虚自汗、血虚で脈が尺中遅、誤って投薬による身重心悸等に対しては、表寒証があっても本方の使用を禁止すると主張している。 そして風熱、温熱による表証、あるいは表寒証で治さないうちに邪が熱に変わったものは、本方も適宜ではない。 要するに発熱、口渇、脈数、あるいは患者の気、血、津液は虚に偏り、あるいは裏熱を兼ねた場合は、悪寒、発熱、無汗、身疼、脈浮等の証があっても、いずれも麻黄湯で治療してはいけない。 |