大青竜湯(だいせいりゅうとう)
種類 | 辛温解表剤 |
出典 | 傷寒論 |
組成 | 麻黄12g、桂枝4g、炙甘草5g、杏仁6g、生姜9g、大棗3g、石膏12g(先煎) |
用法 | 水煎し分三で温服し、汗が出れば中止する |
効能 | 発汗解表、発熱悪寒 |
主治 | 外感風寒。 発熱悪寒、寒熱とも重い、脈浮緊、体痛い、汗が出られないで煩躁する。 |
病機 | 風寒の邪が束表して表閉営鬱を引き起し、さらに少陽の気機を阻滞した状態。 風寒が太陽の表を緊束して表閉営鬱を引き起し、悪寒、発熱、身体痛、無汗、脈浮緊などの表寒表実(麻黄湯証)がみられる。 邪正相争によって発生した熱が表閉のために外泄できずに壅滞し、少陽三焦に内逆して気機を阻滞すると身体が重だるくなり、心神を上擾すると煩躁がみられる。 なお、少陽の気機がたまに通じると身体が軽くなる場合もあり、陽熱が外氾して脈行を壅滞させると脈が浮緩を呈することもある。 |
方意 | 表寒表実であると同時に壅熱が少陽の気機を阻滞しているので、辛温発汗と清裏による表裏双解を行う必要がある。 麻黄の量は麻黄湯より倍に増えたので、発汗力は特に猛烈である。 外に寒熱とも盛んで汗がない、内に煩躁で外感がいっそう盛んになり、衛気が鬱で毛竅が閉じ、被毛を開き、急速に風寒を追い出す必要がある。 しかし、鬱熱煩躁は辛温発汗だけで熱を増す恐れがある。 だから石膏を加えて清熱除煩で佐とする。 鬱熱煩躁は必ず津液を傷つけるが、炙甘草が倍に増え、さらに生姜、大棗を加え、辛温猛烈性を緩和すると同時に甘寒生津の効を得る。 また、益気和中で営衛を調節して汗源を助ける。 汗が表に出て、寒熱煩躁はいっしょに除かれる。 本方の発汗力は特に強い。 だから、方剤の後に『微汗し、汗が多いと温粉で除去する。 一服で汗が出たら、直ちに投与を止める。 さもないと汗が大いに出て、亡陽で虚になり悪風煩躁で眠れなくなる』と明確に指摘している。 「傷寒論第38条」には、『もし、脈微弱で汗が出て、悪風の者は飲んではいけない。 飲んだら厥逆、筋タ肉[目閏]になり、これは逆効果になる』とある。 そのほか、大青竜湯の発汗解表、清裏熱を兼ねる作用を利用して、溢飲の裏熱煩躁を兼ねる者に用いると効果はかなりよい。 |