加味香蘇散(かみこうそさん)
種類 | 辛温解表剤 |
出典 | 医学心悟 |
組成 | 紫蘇葉4.5g、陳皮・香附子各4g、炙甘草2g、荊芥・秦艽・防風・蔓荊子各3g、川芎1.5g、生姜3g |
方解 | 君-蘇葉-辛温芳香、発汗解表 -荊芥-辛温芳香、発汗解表 臣 -防風-除肌袪風湿、治身痛 -秦艽-除肌袪風湿、治身痛 佐-香附-三焦の気を調整 -川芎-血中の気を運行 -陳皮-肺脾の気を良くし、調和気血 佐、使-甘草-和中 -生姜-辛散 |
用法 | 水煎し1回で温服 |
効能 | 発汗解表 |
主治 | 四時感冒。 頭痛項強、鼻づまり鼻汁があり、身痛、発熱悪寒あるいは悪風、無汗、苔薄白、脈浮 |
病機 | 風寒の邪は四季を問わず存在し、身体がやや虚弱で腠理が疏鬆であるときは、不摂生などによって風寒の侵襲を受けやすく、風寒表証を呈する。 本証は病邪が軽く浅いのが特徴である。 |
方意 | 風寒の邪は四時にある。もし、体質が比較的弱で腠理疏松の者は生活に不注意すれば感冒にかかる。 しかし、病邪が軽くて、浅いので猛烈剤はいらない。 程鐘齢は、加味香蘇散を作って、麻黄湯、桂枝湯二方に変わって、前述の表寒軽証を治療する。 「薬性が穏やかで効く。医門の良法である。」 本方は辛温芳香、発汗解表の蘇葉、荊芥を君薬とし、腠理を開き風寒を除去する。 防風、秦艽は肌袪風湿を除き、身痛を治す。 蔓荊子は昇散で風を除き頭痛を治す。 ともに臣薬である。 香附は三焦の気を調整し、川芎は血中の気を運行し、陳皮は肺脾の気をよくし、気血を調和して君、臣薬を手伝って解表散邪して、ともに佐薬である。 甘草は中で生姜は辛散でともに佐、使薬である。 このように配伍して気血を調和し、やや汗を出させて風寒を除去して病を治す。 四時の感冒に敵視、女性生理中の感冒風寒者にも適する。 頭痛が激しい者は羗活2.5g、葱白2本を加えたら発汗散寒、袪風止痛の働きを増強できる。 咳嗽に桔梗、前胡各5g、杏仁3gを加えると宣肺袪痰、止咳平喘ができ、涼血で吐衄を治す。 咽喉腫痛に桔梗、牛蒡子各5gを加えて利咽止痛をする。 もし、食欲がない、胸膈痞悶を兼ねたら、山楂子、麦芽、莱菔子5gを加えて消食痞ができる。 もし、女性生理中だったら、当帰、丹参を加えて和血調経をする。 産後が風寒に犯されたら、黒姜、当帰を加えると、その散の性質が大半減る。 もし、体質がきわめて虚の場合は、散に応えられない者に補中兼散の法を用いる。 これらはいずれも臨床で参考になる。 薬が軽くて力が小さいのは体の丈夫で風寒湿邪に犯された表寒重証には適さない。 |