四逆散(しぎゃくさん)
種類 | 調和肝脾剤 |
出典 | 傷寒論 |
組成 | 炙甘草・炙枳実・柴胡各6g、白芍9g |
メモ | 四逆、舎監は再規約(四逆、炙甘柴枳薬) |
方解 | 君-炙甘草-甘温益気、健脾 臣-柴胡-透邪昇陽、解鬱、昇降調気、疏肝理脾 佐使-枳実-下気破結、昇降調気 -芍薬-益陰養血、疏肝理脾 |
用法 | 水煎服 |
効能 | 透邪解鬱、疏肝理脾 |
主治 | 少陰病四逆の証。あるいは頦、あるいは悸、あるいは小便不利、あるいは腹中痛、あるいは泄利下重 |
病機 | 陽気内鬱の病態である。 少陰病四逆は、風寒が外犯して少陰に深入りしたが、少陰陽気は衰弱しておらず、邪が厥陰と少陽三焦に影響を及ぼした状態。 寒邪によって厥陰の陽熱の布達が遏阻され四肢抹消に達しないために四肢が冷える。 少陽三焦の気機が阻滞され水津が停積して飲邪が変性し、飲邪が肺を上犯すると咳嗽が、心を上凌すると動悸が生じ、水道を阻遏するので尿量が減少する。 寒邪が気機を遏阻すると腹痛、下痢が生じ、鬱阻された寒気が陽に下迫して気機が渋滞するためにテネスムスを伴う。 肝脾不和は内傷七情によって生じ、肝気が鬱結し情志が暢達しないために抑鬱感、憂鬱感、イライラ、ヒステリックな反応などがあり、肝経経気が阻滞されると胸脇部が脹って痛む。 肝気が鬱結し脾胃に横逆すると、脾気を阻滞して腹痛、腹満、下痢を引き起し、胃気を阻滞すると胃痛、悪心、嘔吐などもみられる。 弦脈は肝気鬱滞を示す。 |
方意 | 四逆とは、手足不温のことで、四肢厥逆とは違い、陽気が四肢に届かないことを指す。 『素問・陰陽応象大論』には「清陽は四肢を実す」という記載がある。 脾は四肢を主とする。だから、本証は脾気素虚によるものである。 また、外邪が少陰に入り、陽気を抑えて陽気は四肢に届けなくなる。 だから四逆になる。 陽が抑えられ、熱に返るが、明確な熱証は見られない。 だから治療は平調兼施をする。 本方の炙甘草は甘温益気で健脾である。 柴胡は透邪昇陽で、鬱を解く。 枳実は下気破結で柴胡と合わせて昇降調気を果たす。 白芍は益飲養血で柴胡と合わせて疏肝理脾を果たす。 四薬は協同して邪を除き、鬱を解き、気血調暢、清陽上昇し、四逆は治る。 |