越婢湯(えっぴとう)(越脾湯)
種類 | 辛涼解表剤 |
出典 | 金匱要略 |
組成 | 麻黄9g、石膏18g、生姜9g、甘草5g、大棗5枚 |
用法 | 水煎し分三で温服する |
効能 | 発汗利水 |
主治 | 風水悪風、全身浮腫、脈浮、不渇、続々時間、無大熱 |
病機 | 風邪が伏在する水飲と結びつき、水道を阻滞して風水挟熱(熱飲)になり、全身浮腫を呈した状態。 風邪が外襲して脾運不足で内伏している水飲と結びつき、肺気の宣発を阻滞するために水道が通暢しなくなって水飲が停滞し、水飲が肌表に溢れて突発性の全身浮腫が生じる。 肺は水の上源であるから、浮腫は顔面に始まり上半身に顕著である。 風水によって陽気が内鬱されて悪風が生じ、次第に陽気が化熱するので発熱し、壅滞した熱邪が津液を外迫すると汗が出る。 陽熱が内鬱しているときには熱が高く無汗であるが、熱迫津泄により汗が出たときにはある程度は熱が外散するので、体表部の熱感が軽減する。 水飲が壅滞しているので口渇がないが、熱邪が傷津すると口渇が生じる。 風水が表にあるために脈は浮を呈する。 |
方意 | 肺気を宣発して水道を通調するとともに内熱を清する。 越婢湯と麻杏甘石湯はいずれも有汗を治療する。 ともに麻黄と石膏を配伍して清肺泄邪である。 しかし、本証の一身浮腫の水は肌表にあり、麻黄の量を増やして生姜を配伍するのは、肌表の水を発泄するわけである。 喘はないので杏仁を取り出す。 大棗を加えて、滋脾を図り、生姜と協同して営衛を調和する。 |