大定風珠(だいていふうしゅ)
種類 | 平熄内風剤 |
出典 | 温病条弁 |
組成 | 白芍18g、阿膠9g、亀板12g、乾地黄18g、麻子仁6g、五味子6g、牡蠣12g、麦門冬18g、炙甘草12g、鶏子黄2個、鼈甲12g |
方解 | 君-鶏子黄-滋陰養液、内風を熄す -阿膠-滋陰養液、内風を熄す 臣-乾地黄-滋陰柔肝 -麦門冬-滋陰柔肝 -白芍-滋陰柔肝 -亀板-滋陰潜陽 -鼈甲-滋陰潜陽 佐、使-麻子仁-養陰潤燥 -牡蠣-平肝潜陽 -五味子-酸甘化陰 -炙甘草-酸甘化陰 |
用法 | 煎じて、鶏子黄を入れて服用 |
効能 | 滋陰熄風 |
主治 | 温病熱邪久覇、熱灼真陰、あるいは誤って汗法、下法を使い、陰液が大いに傷つく、神倦瘈瘲、脈気虚弱、舌絳苔少、時に欲脱。 |
方意 | 本方の証は温病に長くかかって邪熱灼傷真陰、あるいは誤って汗法、下法で、陰液が大いに傷つくことによるものである。 真陰大虧なので神倦脈虚、舌絳少苔、時に欲脱の症を現す。 虚風内動なので手足瘈瘲になる。 このときには邪気の8〜9割くらいが去って、真陰が1〜2割しか残っていない。 だから、治療は味厚滋補の薬を主とし、滋陰養液で、欲遏の真陰を填補し、内動の袪風を平熄する。 方中の鶏子黄、阿膠は滋陰養液で、内風を熄し、君薬である。 乾地黄、麦門冬、白芍は滋陰柔肝をする。 亀板、鼈甲は滋陰潜陽をし、臣薬である。 麻子仁は養陰潤燥をする。 牡蠣は平肝潜陽をする。 五味子、炙甘草は酸甘化陰をし、滋陰熄風の効果を増強し、佐使薬である。 諸薬は協力して滋陰養液、柔肝熄風の効を果たす。 本方は温病条弁の加減復脈湯から変化してきたものである。 邪熱久羈で、陽がたいへん傷つく。 だから、鶏子黄、五味子、亀板、鼈甲、牡蠣等の滋陰潜陽薬を加えて、滋陰復脈剤から滋陰熄風剤に変化した。 |
注意 | 本方を臨床で応用するときに真陰大虧、虚風内動の神昏瘈瘲、脈気虚弱、舌絳少苔を弁証の要点とする。 もし、陰液虚でありながら、邪気はまだ盛の場合は本方には適さない。 清熱熄風を種とし、適宜養陰薬を配伍して治療すべきである。 |