半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)
種類 | 行気剤 |
出典 | 金匱要略 |
組成 | 半夏12g、厚朴9g、茯苓12g、生姜9g、紫蘇葉6g |
方解 | 君-半夏-化痰散結、降逆和胃 臣-厚朴-下気除満 -茯苓-甘淡滲湿、化痰 佐、使-生姜-辛温散結、和胃止嘔 -紫蘇葉-芳香行気、理肺疏肝 |
用法 | 煎服 |
効能 | 行気散結、降逆化痰 |
主治 | 梅核気。 咽喉中に何かが詰まったようで、排出できず、呑むこともできず、胸脇満悶、あるいは咳あるいは嘔等。 |
病機 | 肝気鬱結、肺胃宣降失調による梅核気である。 七情が不暢で肝気が鬱結して疏泄が失調し、気機が停滞し、肺気、胃気が宣降できなくなり、津液の布散が障害されて痰を形成し、痰と滞気が結びついて咽喉で結するため、咽に梗塞感があり嚥下しても喀出してもとれない梅核気が生じる。 肺気が宣粛できないので胸苦しい、咳嗽、喘鳴などが、胃気が和降しないので悪心、嘔吐、腹満がみられ、七情不暢による憂鬱、抑鬱などを伴う。 舌苔白膩、脈弦滑は、痰湿と気滞を示している。 |
方意 | 本方の証は、ほとんど情志不暢、肝気鬱結、肺胃宣降失常によって、津聚成痰、気と結合して咽喉に詰まり、それにより、咽喉中に何かが詰まったようで、排出できず、呑むこともできない。 つまり梅核気の証である。 痰と気は咽喉に詰まって肺失宣降になり、だから胸脇満悶、あるいは咳嗽喘急、ひどくなると胃気上逆、悪心嘔吐を起こす。 治療は行気散結、降逆化痰をする。 方中の半夏は化痰散結、降逆和胃で君薬である。 厚朴は下気除満で、半夏を手伝い散結降逆を果たす。 茯苓は甘淡滲湿で、半夏を手伝い化痰する。共に臣薬である。 生姜は辛温散結、和胃止嘔で、紫蘇葉は芳香行気、理肺疏肝で共に佐使薬である。 諸薬は協同して行気散結、降逆化痰の効を果たす。 方中には辛温苦燥の薬が多く、痰気互結かつ無熱者のみに適応するが、気鬱化火、陰傷津少による顴赤、口苦、舌紅少苔等の証候には梅核気の証があっても適さない。 |
注意 | 辛温苦燥の薬が多いが、痰気互結かつ無熱者のみに適応するが、気鬱化火、陰傷津少しによる顴赤、口苦、舌紅少苔等の症候には梅核気の証があっても適さない。 |