黄土湯(おうどとう)
種類 | 止血剤 |
出典 | 金匱要略 |
組成 | 甘草・乾地黄・白朮・炮附子・阿膠・黄芩各9g、伏竜肝30g |
方解 | 君-伏竜肝-温中止血 臣-白朮-温脾陽、補中気 -附子-温脾陽、補中気 佐-乾地黄-甘寒、滋陰養血、止血 -阿膠-滋陰養血、止血 -黄芩-苦寒 使-甘草-諸薬調和 |
用法 | 煎服 |
効能 | 温陽健脾、養血止血 |
主治 | 脾陽不足、中焦虚寒。 大便下血、あるいは吐血、衄血、および婦人崩漏、血色暗淡、四肢不温、顔色萎黄、舌淡苔白、脈沈細無力。 |
方意 | 脾は血を主とし、気は摂血をする。 脾陽不足であれば脾気も虚になり、統摂の権を失い、血が上へ溢れ、吐血、衄血を起こす。 下へ溢れると便血、崩漏を起こす。 しかし、血色黯淡、四肢不温、顔色萎黄、舌淡苔白、脈沈細無力の場合は、脾気虚寒および陰血不足の象である。 治療は温陽止血を主とする。 方中の伏竜肝は温中止血で君薬である。 白朮、附子は温脾陽かつ補中気で、君薬を手伝って統摂の権を回復させる臣薬である。 しかし、辛温の白朮、附子は妄血動血を起こしやすい。 そしてもともと出血量も多いので陰血を消耗する。 だから乾地黄、阿膠を佐とし、滋陰養血、止血を果たす。 苦寒の黄芩と甘寒滋潤の乾地黄、阿膠は力を合わせ、白朮、附子の温燥の性を抑制する。 かえて白朮、附子は乾地黄、阿膠の滋膩呆滞を抑制する。 甘草は諸薬を調和する使薬である。 諸薬は協力して寒熱を併用し、標本を併治して温陽しながら陰を傷つけない。 滋陰しながら、陽を妨害しない。 本方は陽気虚乏による便血、吐血、衄血、崩漏下血を治し、比較的良い効果が得られる。 |