瀉黄散(しゃおうさん)
種類 | 清臓腑熱剤 |
出典 | 小児薬証直訣 |
組成 | 藿香葉21g、山梔子6g、石膏15g、甘草90g、防風120g |
方解 | 石膏-辛寒、熱を治す 山梔子-苦寒、瀉火 防風-昇散、除脾中伏火 藿香-芳香醒脾 |
用法 | 水煎服。 蜜または酒で微炒したのち細末にし、1回3〜6gを水煎服してもよい |
効能 | 瀉脾胃伏火 |
主治 | 脾胃伏火(脾胃熱鬱)。 口瘡口臭、煩渇易飢、口燥唇乾、舌紅、脈数、および脾熱弄舌等。 |
方意 | 本方の証は、脾胃伏火の上炎によるものである。 脾は、口に竅を開く。 だから、口瘡、口臭、口燥、唇乾等の症を現す。脾胃に伏熱があるので煩渇易飢、ときに弄舌等がみられる。 方中の石膏は辛寒で熱を治す。 山梔子は苦寒で火を瀉す。 脾胃伏火は胃中実火とは違い、清降だけでは伏火積熱を除去しにくい。 だから、方中で大量に防風を使うのは、その昇散で脾中伏火を除くことにある。 これも「火鬱であれば発する」の治療原則である。 さらに石膏、山梔子を併用するのは、清降と昇散を併用し、清降しても脾胃の陽は傷つかない、昇散を通して、伏積の火を除く。 藿香は芳香醒脾で、一方、脾胃気機を励まし、防風を手伝って脾胃伏火を除く。 甘草は瀉火和中であり、かつ蜜、酒で服用すると、緩調中上の作用があるので、瀉脾だが脾を傷つけない。 本方の配伍の特徴は清瀉と昇発を併用し、醒脾和中で瀉脾、傷脾を防ぐ。 これは脾胃伏火の証にとって万全の対策だといえる。 本方と清胃散は共に清胃の作用を持つ。 しかし、本方は脾胃伏火を瀉して脾胃伏火の諸証を治療する。 清胃散は清胃凉血で胃中火熱の諸証を治療する。 前者は清瀉と昇発を併用して脾、胃とも配慮する。 後者は清胃凉血を主として昇散解毒を兼ねる。 |
注意 | 大便稀薄の者には不適応 |