左金丸(さきんがん)
種類 | 清臓腑熱剤 |
出典 | 丹渓心法 |
組成 | 黄連6g、呉茱萸1g |
方解 | 君-黄連-苦寒瀉火 佐-呉茱萸-辛熱、黄連の寒を抑制、肝胃調和 肝木火旺には瀉心火(黄連)の方法で肝木を抑制する。 |
用法 | 水煎服、黄連、呉茱萸を6:1の割合で粉末にし、丸剤にして1回2〜3gを湯で服用してもよい |
効能 | 清肝瀉火、降逆止嘔 |
主治 | 肝火犯胃。 症は脇脹痛、嘈雑呑酸、嘔吐口苦、脘痞噯気、舌紅苔黄、脈弦数。 |
病機 | 肝鬱化火し、肝火が横逆して胃気上逆を引き起こした状態 |
方意 | 本方の証は、肝鬱化火によるものである。 肝経は病になると両脇痛を起こす。 胃を犯すと嘈雑呑酸、嘔吐、口苦、脘痞噯気等がみられる。 『素問、至真要大論』は「諸逆沖上が皆火に属する」、「諸嘔吐酸、暴注下迫が皆熱に属する」と指摘している。 だから、本方の主証の嘔逆、吐酸等はいずれも火熱上沖によるものである。 肝火が胃を犯すと嘔吐呑酸を起こす。 肝に火があり、胃に熱がある場合は、黄連の苦寒だけで熱を治したら、肝胃を配慮できない。 だから、黄連と少量の呉茱萸(6:1)を配伍する意義は、黄連の苦寒瀉火を主として呉茱萸の辛熱を佐とする。 熱薬の反佐で黄連の寒を抑制する。 そして、呉茱萸は辛熱で寒に入り、逆を治し、寒胃を調和する。 前人は本方の配伍の意義について、「実すればその子を瀉す」から説明する。 肝木火旺には、瀉心火(黄連)の方法で肝木を抑制する。 |